子どもの将来の夢はパイロット! パイロットになるための学校の「費用」はどれくらいかかるの?
配信日: 2025.01.26
また、パイロット養成課程のある大学などに進学して「事業用操縦士」をとって航空会社に就職する方法もあります。
執筆者:新美昌也(にいみ まさや)
ファイナンシャル・プランナー。
ライフプラン・キャッシュフロー分析に基づいた家計相談を得意とする。法人営業をしていた経験から経営者からの相談が多い。教育資金、住宅購入、年金、資産運用、保険、離婚のお金などをテーマとしたセミナーや個別相談も多数実施している。教育資金をテーマにした講演は延べ800校以上の高校で実施。
また、保険や介護のお金に詳しいファイナンシャル・プランナーとしてテレビや新聞、雑誌の取材にも多数協力している。共著に「これで安心!入院・介護のお金」(技術評論社)がある。
http://fp-trc.com/
航空大学校
独立行政法人航空大学校は、日本唯一の国(国土交通省)が設置したパイロット養成機関です。2年間の在学中、宮崎や帯広、仙台にあるキャンパスを移動しながら寮生活を送り、必要な資格を取ります。
卒業生の大半はエアラインに就職しており、主要エアラインパイロットに関して航空大学校の卒業生は約40%を占めています。航空大学校を卒業したからといって航空会社に必ず就職できる保証があるわけではない点は留意しましょう。
令和7年度航空大学校学生募集要項によれば、航空大学校の受験資格は、短大、高専、専門学校卒(専門士・高度専門士)、4年制大学の2年修了以上(62単位以上)などとなっています。
学費は、入学検定料4万円、入学料28万2000円、授業料が宮崎学科課程(5ヶ月)100万1000円・帯広フライト課程(6ヶ月)120万2000円・宮崎フライト課程(6ヶ月)120万2000円・仙台フライト課程(7ヶ月)140万3000円です。2年間の授業料は480万8000円です。授業料は課程開始時に支払います。
そのほか、寄宿料月額1500円、光熱水料、食費等は実費(平日1日1800円程度)となっています。
さらに、国家試験受験費用(事業用操縦士、計器飛行証明)および受験会場(東京・大阪等)までの交通費、操縦練習許可身体検査・航空身体検査受診費用(1回につき5万円程度)、各課程間の移動に使う交通費(転居費用)等が必要です。
これらの資金が不足しても、日本学生支援機構の奨学金は利用できません。奨学金を必要とする学生には、一般財団法人空港振興・環境整備支援機構から修学期間中の24ヶ月間、毎月8万円(貸与総額192万円)または3万円(貸与総額72万円)の無利子貸与を受ける制度があります。
パイロットを目指せる主な私立大学
パイロットを目指せる私立大学には、
・桜美林大学(航空・マネジメント学群 フライト・オペレーションコース)
・東海大学(工学部 航空宇宙学科 航空操縦学専攻)
・崇城大学(工学部 宇宙航空システム工学科 航空操縦学専攻)
・千葉科学大学(工学部 宇宙航空システム工学科 航空操縦学専攻)
・第一工科大学(航空工学部 航空操縦学専攻)
・法政大学(2025 年度は新入生受け入れ中止)
があります。なお、日本のパイロット養成コースがある私立大学の中で、指定航空従事者養成施設(指定養成施設)とされているのは、東海大学と法政大学の2校です。指定養成施設の課程を修了した訓練生に対しては、国による実地試験の全部または一部を行わないことができるとされています。
東海大学の航空宇宙学科航空操縦学専攻は、ANA(全日本空輸)の全面的な協力と国土交通省の支援、さらに米国・ノースダコタ大学航空宇宙学部との留学協定を得ることで、エアラインパイロットの養成を行っています。在学中に日米の操縦士ライセンスを取得できます。
ただし、東海大学での学修、アメリカでの学修、それぞれに何度も試験等の関門があり、それらに合格しなければライセンスを取得できません。
令和7年度、入学金は20万円、授業料は165万5000円(ただし4年次は85万5000円)、教育運営費(4年次のみ)は60万円、施設設備費(4年次のみ)は25万円となっています。4年間で687万円になります。このほか、諸会費として学園費、学生会費、学生健保組合費が4年間で18万2200円必要です。
また、2年次から3年次にかけて標準的な期間として約15ヶ月~18ヶ月間、米国のノースダコタ大学(UND)に留学して、その間に飛行訓練を行いますので、学費とは別に留学費用等がかかります。
学費・訓練費・寮費等を含めて、大学4年間合計で3000万円程度は覚悟しておいたほうが良いでしょう。
奨学金を必要とする学生には、日本学生支援機構の奨学金のほか、一般社団法人航空機操縦士育英会による、操縦士養成のための奨学金「未来のパイロット」無利子貸与型奨学(500万円)があります。
まとめ
パイロットになるには高額の学費がかかります。一方、令和5年賃金構造基本統計調査によるとパイロットの平均年収は約1880万円です。パイロットになれれば、学費は回収できるかもしれません。
出典
厚生労働省 職業情報提供サイト job tag パイロット
独立行政法人航空大学校 公式HP
一般財団法人 空港振興・環境整備支援機構(空港支援機構)
国土交通省 指定航空従事者の養成について
執筆者:新美昌也
ファイナンシャル・プランナー。