乳幼児医療費助成制度とは? 年齢別の1人あたり医療費はどのくらい?
配信日: 2025.01.29
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本記事では、住む場所による医療費の差を具体的に試算します。
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執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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乳幼児医療費助成制度とは
乳幼児医療費助成制度は、子育て世帯の経済的負担を軽減するために、自治体が医療費を一部または全額補助する仕組みです。簡単にいえば、子どもの通院費や薬代が安くなったり、無料になったりする制度です。
国の医療制度では、義務教育開始前の子ども(乳幼児)は医療費の2割負担、義務教育開始後(小学生以上)は3割負担が原則になります。つまり、乳幼児医療費助成制度は、その負担をさらに軽減するために自治体が独自に支援を行っているものです。
令和6年4月時点の子ども医療費助成
こども家庭庁は、令和6年4月1日時点での各都道府県や市区町村における医療費助成の実施状況を調査しました。その結果、すべての都道府県と市区町村で子どもを対象とした医療費助成が行われていることが確認されています。
都道府県では、通院を就学前まで、入院を中学生まで(15歳年度末)とする制度が最も多く、市区町村では、通院・入院ともに高校生まで(18歳年度末)助成する自治体が最も多いことが分かりました。
年齢別の1人あたり医療費
厚生労働省が公表した「令和4年度 国民医療費の概況」によると、年齢別の1人当たり医療費は表1の通りです。
表1
年齢 | 一人あたりの医療費 |
---|---|
0~14歳 | 18万1700円 |
15~44歳 | 14万4000円 |
45~64歳 | 29万6800円 |
65歳以上 | 77万5900円 |
厚生労働省「令和4(2022)年度 国民医療費の概況」を基に筆者作成
高校生まで医療費が無料の自治体と小学生までしか補助がない地域の医療費の差
上記の表を基に、高校生まで医療費が無料の自治体と小学生までしか補助がない地域の医療費の差を計算します。中学入学から高校卒業までの期間を考えると、一般的に12歳から18歳の間(6年間)が該当します。この期間にかかる1人当たりの医療費は、以下の通りです。
■計算方法
0~14歳の医療費:18万1700円(1年間)
15~18歳の医療費(15~44歳の平均値を使用):14万4000円(1年間)
■合計医療費(6年間)
中学期間(12~14歳): 18万1700円×3=54万5100円
高校期間(15~18歳): 14万4000円×3=43万2000円
総額: 54万5100円+43万2000円=97万7100円
以上の結果から、中学入学から高校卒業までの6年間に必要な医療費の平均は97万7100円であることが分かりました。つまり、高校生まで医療費が無料の自治体と小学生まで補助がある地域では、この金額が差額として発生するということです。
子どもの医療費は無料ではない
東京都江戸川区では、診療や薬の処方時に全額助成が行われていますが、診察や処方薬が完全に無償で提供されているわけではありません。本来負担するはずの医療費は、自治体が代わりに負担しています。他の地域でも、支払いはあっても数百円程度に抑えられていることが多いようです。
国の医療制度においては、小学生以下の医療費は2割負担、小学生以上は3割負担となりますが、子育て世代のさらなる負担軽減の財源として、自治体が徴収した税金が充てられています。つまり、子どもの医療費は、皆さんが納めた税金に支えられているというわけです。
小学生までしか医療費が無料でない地域では、12歳から18歳の6年間で約97万円の医療費負担がある
子どもの医療費補助制度は自治体ごとに大きな差があり、住む場所で経済的な負担は変わります。高校生まで医療費が無料の地域では、12歳から18歳の6年間で約97万円の医療費が軽減されることが分かりました。小学生までしか補助がない地域では、この分の医療費が家計の負担となります。
制度の財源は税金であり、無料に見える医療費も実際は自治体が負担しています。そのため、住む場所の制度を調べ、子育て中の医療費の影響を考えることが重要です。どの地域でも適用される全国共通の制度ではないため、地域ごとの特性を理解して住まいを選ぶ際の参考にしてください。
出典
こども家庭庁 令和6年度「こどもに係る医療費の助成についての調査」
厚生労働省 令和4(2022)年度 国民医療費の概況
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー