飲食店での「持ち帰り」が一般的になる? 食品ロス削減に向けた厚労省の新ガイドラインとは

配信日: 2025.01.30

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飲食店での「持ち帰り」が一般的になる? 食品ロス削減に向けた厚労省の新ガイドラインとは
家族との外食で、注文した料理の量が多かったときなど、食べ残すケースがあります。子どもや高齢者の場合、普通の量でも食べきれない場合もあるでしょう。そのようなとき、「持ち帰れるなら家で食べられるのに」と思った経験のある方は多いのではないでしょうか。
 
このように残されて廃棄となる食品ロスは大きな問題となっており、世界的に目標を制定し削減が努められているのです。本記事では、食品ロスの現状を解説するとともに、食べ残した食事の持ち帰りについての新しいガイドラインについて解説します。
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食品ロスとロスの現状

食品ロスとは、本来は食べられるのに、捨てられてしまう食品をいいます。環境省が公表した2022年度の食品ロスの発生量の推計値は、約472万トンでした。
 
このうち各家庭から発生する家庭系食品ロス、事業活動をともなって発生する事業系食品ロスともに236万トンとなっており、それぞれ50%ずつの割合を占めています。
 
食品ロスの対策は、「持続可能な開発目標」のターゲットの1つです。2030年までに世界全体の一人当たりの食料の廃棄を半減させることが盛り込まれています。これにより日本においては、家庭系および事業系の食品ロスを2030年度までに2000年度比で半減するとの目標が定められました。
 
2000年度の食品ロスは980万トンであり、2030年度の目標は家庭系が216万トン、事業系が273万トンで合計489万トンと定められました。2022年度時点で食品ロス総量は目標達成できており、事業系は削減目標を達成できているものの、家庭系は20万トンの削減が必要となっています。
 

厚生労働省が示したガイドライン案とは

厚生労働省は、食べ残しの持ち帰りに関する食品衛生ガイドラインの骨子案を策定しています。
 
そのなかで、食事はその場で食べきることを基本とし、持ち帰りはどうしても食べきれない場合の手段の1つであるという考えを示しているのです。食品ロス削減にあたっての外食営業者および消費者双方の意識変化や行動の変容につながることを目的としたものであり、強制されるものではありません。
 
このガイドラインが適用されるのは、顧客の注文に応じて提供された食事をその場で食べることを目的とした施設です。
 
レストランや居酒屋などの一般飲食店や、あらかじめ見込んだ量の食事を調理しておき、客自ら取り分けるオーダー式ビュッフェやホテルなどの宴会やパーティーが対象です。このガイドラインは営業者向けと消費者向けが提示されています。
 

営業者側

飲食店などの営業者は、必要に応じて、手指の消毒液や使い捨て手袋を消費者に提供することや保冷剤の用意、詰め替え容器を衛生的に保管することが求められています。
 

消費者側

料理の詰め替えは、基本的に消費者が行うとされており、使い捨ての手袋着用や手指を消毒して衛生的に詰め替える作業が必要です。微生物の増殖をおさえるために水分はできるだけきり、温度管理しやすいようにすることとされています。
 
また、持ち帰るときは速やかに帰宅し、食品に応じて再加熱するとともに、原則箸をつけた本人が食べることが求められています。
 

持ち帰りによる食品ロスの低減と節約効果

外食時は、注文した食事は持ち帰るよりその場で食べきる方がよいでしょう。例えばうどん3玉が入ったうどん特盛りを注文して半分以上残すのであれば、うどん1玉や1.5玉の並盛や中盛りといったサイズを頼むとロスもなくせますし、お金の節約にもつながる可能性があるでしょう。
 
丸亀製麺で得盛りのきつねうどんを頼んだ場合950円ですが、並盛りだと590円で約400円の節約につながると考えられます。
 
また、すき家でメガ牛丼を頼んだ場合だと980円ですが、並盛だと450円ですので、牛丼の場合でも530円の差があり、もしメガを頼んで半分残すのであれば、最初から並盛を頼む方がよいといえるでしょう。
 
そうすることで食品ロスも低減され、2022年データにおける外食産業での食品ロス60万トンからの減少にもつなげられる可能性があります。
 

ガイドラインから持ち帰り可能な飲食店は増える可能性があるが、ロス対策には残さない意識も重要

食品ロスの2030年目標値の課題は事業系食品ロスではクリアされているものの、まだまだ多くの食べられる食品が廃棄処理されています。飲食店で提供される食品の持ち帰りは、事業系食品ロスの低減だけでなく、家庭においても無駄なく食事がとれるため、家庭系食品ロスの低減にもつながる可能性があるでしょう。
 
とはいえ、基本的には食べ残さず食べきることが一番の食品ロス低減につながる可能性があると考えられます。持ち帰りは手段の1つと考え、食べきれる量を注文し残さない意識ももつとよいでしょう。
 

出典

環境省 我が国の食品ロスの発生量の推計値(令和4年度)の公表について
農林水産省 食品循環資源の再生利用等の促進に関する基本方針
厚生労働省 食べ残しの持ち帰りに関する食品衛生ガイドライン(骨子案)
丸亀製麺 きつねうどん
すき家 牛丼
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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