更新日: 2019.06.19 その他暮らし
持ち家を売却しようと思ってもすぐには売れない謎
不動産を売る時に注意するべきことは、売ろうと思っても、すぐには売れないということです。
不動産を売るためには、さまざまなことが必要となり、時間もかかりますので、早めの対応が必要です。
執筆者:岡田文徳(おかだふみのり)
認知症大家対策アドバイザー
人生100年時代を生き抜くために大家さんの認知症対策と不動産賃貸経営のサポートを行なっている。
祖父が認知症になり、お金が下ろせない、賃貸業はストップ、収益の出ない物件を買わされそうになる。
祖父の死後、両親と認知症対策を行い、自ら賃貸経営ノウハウや人脈を構築し、日々改善している。
現在は、大家さん向けにセミナーやコンサルティングを行なっています。
資産整理したいのであれば、早めの対応が必要!
多くの方は、お持ちの資産の中で不動産の割合が高いと思います。自宅が持ち家の場合には、所有する資産の中で不動産の割合が6、7割になるでしょう。さらに割合が高い家庭もあるかもしれません。
不動産の割合が高い場合において気をつけるべきことは、お金を使いたい時に使うことができる状態であるかということです。
例えば、将来、老人ホームに入りたいと考えている場合はどうでしょう。
まず、老人ホームに入居するための一時金、毎月かかる費用を捻出する必要があります。自分が入居したい施設があれば、一度、費用について調べてください。ただし、その際には本人だけでなく、家族にも意向を理解してもらう必要がありますので、本人だけで話を進めることはやめましょう。
次は、お互いに理解しあった上で、費用を捻出することができるかという問題です。もし、費用が不足するのであれば、さまざまな手立てを講じなければなりません。
(1)入居したい施設を変える。
(2)家族に費用を負担してもらう。
(3)自宅が持ち家であれば、不動産の売却を検討する。
(1)、(2)に関しては、本人の希望、家族との話し合いが必要ですので、割愛いたします。納得いくまで話し合ってください。
(3)を検討するのであれば、早めに対応する必要があります。
不動産はすぐに売れない!
持ち家を売却しようと思っても、残念ながらすぐには売れません。
不動産を売るために、まずは不動産屋さん(宅地建物取引業者)に行きます。不動産屋さんは、不動産を売るために、さまざまなことを調査しなければなりません。それだけでも1週間はかかります。その後、不動産屋さんが、不動産を買いたいという人を見つけるわけです。早くても、2ヶ月くらいはかかります。
買いたい人が現れても、すぐには売れません。ほとんどの方が、不動産を買う時に、銀行などからお金を借ります。買いたい人が銀行などからお金を借りることができなければ、買えません。銀行などがお金を貸し出す審査を行うために、早くても1ヶ月はかかります。
ですから、不動産が売れるまでには、早くて3ヶ月はかかるわけです。早くて3ヶ月ですから、最低でも6ヶ月はかかると思っていた方が良いでしょう。明日お金が必要という場合には、間に合いません。早めに対応しましょう!
自宅の資産価値を確認しよう!
残念ながら、ずっと売れない場合もあります。
不動産を売りに出す前に、不動産屋さんが、売却できるだろう価格を提示します。所有者が思ったよりも低い価格の場合が多いです。
それでも、希望する価格で売りに出すことはできます。人気のエリアであれば、希望する価格で買いたい人がいるかもしれません。しかし、多くの場合、希望する価格は市場価格よりも高いので、買いたい人が出てきません。これでは売れません。
ですから、自宅の資産価値を確認する必要があります。
自宅を所有しているので、固定資産税納税通知書が届き、必ず固定資産税を支払っています。実は、固定資産税納税通知書には、土地と建物の評価額が書かれています。ただし、市場価格よりも低い額で書かれていますので、ちょっとした計算が必要です。
土地であれば、1.25倍 (0.8で割る)
建物であれば、約1.42倍 (0.7で割る)
の額が一般的な市場価格になると考えて良いでしょう。
これで売る価格が決まりました。あとは、買いたい人が出てくるまで待ちましょう。あまりにも出てこないようであれば、さらなる手立てが必要です。
また、売る価格を決める時に、忘れてはならないことは、「売る価格が銀行などへの返済額を上回っているかどうか」です。売る価格が上回っていなければ、売ることはできません。注意しましょう。
資産整理を行う上で気をつけるべきことをまとめると、以下の3点になります。
・必要な費用を計算する。
・持ち家の売却が必要になるかを確認する。
・持ち家を売却する時の価格に注意する。
実際には今回お話ししたこと以外にも、不動産を売る時には注意するべきことがたくさんあります。またの機会にお話しできればと思います。
執筆者:岡田文徳(おかだふみのり)
認知症大家対策アドバイザー