誰もが簡単に貧困に陥る時代 貧困化を防ぐためのポイントはどこに

配信日: 2019.05.08 更新日: 2019.06.13

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誰もが簡単に貧困に陥る時代 貧困化を防ぐためのポイントはどこに
現代は、転職や非正規雇用、離婚などといった様々な理由から、貧困に陥る家庭が増えています。
 
そのようなことにならないための解決策とはいったいどのようなことか。住宅費の面から考えてみましょう。
 
加藤桂子

執筆者:加藤桂子(かとう けいこ)

CFP(ファイナンシャル・プランナー)

1級ファイナンシャル・プランニング技能士
㈱ファイナンシャル ファシリテーターズ 代表取締役
東京外国語大学を卒業後、大手企業を対象とした語学講師を務める。退職後にFP資格を取得し、外資系金融機関に勤務。FPとして独立後は、「大切な人がより豊かになるために、選び抜かれた情報と優れたアイデアを」をモットーに会社を設立。個人・法人のご相談にのる傍ら、セミナー講師や執筆活動を行っています。
http://www.fpkato.jp/

現代は誰もが簡単に貧困に陥る可能性がある

かつて高度経済成長時代には終身雇用の制度の下、一度就職したらその後退職を迎えるまで安定した収入を得ることが可能でした。また、離婚する夫婦も少なかったので、現役時代はもちろんリタイア後も退職金と夫婦の年金を合わせれば生活に困ることは少ない時代でした。
 
しかし、現代はというと、終身雇用制度がすでに過去のものになりつつある中で転職や非正規雇用が増え、所得の格差が大きくなっています。また、離婚率が増えたことで単身生活者やひとり親世帯が増え、頼る家族がいないことでの金銭的困難も増しています。
 
こんな時代に貧困化を防ぐための手立てはあるのでしょうか。そもそも収入が多ければある程度貯蓄や資産運用ができ、将来に備えることが可能です。しかし、現時点でそもそも貯蓄ができていない世帯はどうすればいいでしょうか。
 
貯蓄を作るための家計の見直しの中で、効果的なのは大きい支出を減らしていくことです。ほとんどの家庭の家計で大きい割合を占めるのは住居費で、これをいかに低く抑えるかが家計の余裕を生むためのポイントになります。
 

本当にその広さは必要ですか?

私たちが住宅を借りる、あるいは購入するときに目安にするのが、家族の人数に合わせた住まいの広さだと思います。国土交通省の「住生活基本計画」では、家族の人数に応じて目安となる住まいの広さを定めています。
 
例えば、単身者が戸建住宅に住む場合の広さの目安は55平方メートル、マンションで40平方メートル。夫婦の場合は、戸建で75平方メートル、マンションで55平方メートル。4人家族であれば、戸建で125平方メートル、マンションで95平方メートルが目安になるといった具合です。
 
しかし、本当にこの広さを確保する必要があるかというと、そういうわけではありません。ミニマリストという言葉が流行しているように、物を少なくすることによってかえって片付けのわずらわしさから解放され、狭い空間でもすっきりと暮らすことが可能になります。
 
欧米的なライフスタイルがすっかり定着した日本では、ダイニングテーブルやベッド、ソファといった大型家具を置く生活が当たり前になり、それに応じて住宅の面積も広くせざるを得ないような状況となりました。
 
しかし、もともと日本ではそれぞれの用途に応じて部屋を使い分けるといったことはせず、布団を片付ければそこがリビングとしての機能を持つといったように、一つの部屋を多用途に、上手に使い分けることで、狭い空間でも多くの家族が住むことが可能でした。
 
その当時の暮らしに戻れというわけではありませんが、考え方を変えて家具を減らしたり、置き方を工夫したりすることで小さいスペースでも快適に暮らすことが可能ですし、住まいを小さくすることで住居にかかる費用を大幅に削減することができるのです。
 
そうやって工夫して、毎月の住居費を削ることで貯蓄をすることが可能になります。貧困を防ぐ第一歩は、急な支出に備えるための貯蓄をすることが大前提となりますので、その余裕を生み出すための住居費の見直しがとても大切なのです。
 

離婚しても困らない対策を

また、最初に述べた通り、離婚も貧困に陥る大きな要因の一つです。現在は仲の良い夫婦でも、これから住宅を購入するのであれば、万一離婚した場合にはどうするのかというまで決めておくことをおすすめします。
 
家族がずっと仲良くいられることが理想ですが、そうでなくなった場合に財産分与はどうするのかまで考えることが必要になります。
 
共働きが当たり前になった現在では、夫婦の収入を合算してできるだけ大きい住宅を購入したいと考えるご家庭も多いのですが、将来的なリスクを考えると、むしろどちらか一方の収入だけで買える範囲で住宅を購入した方が、離婚した場合もスムーズに財産を分けることができます。
 
そして何より重要なのは、そこまで話し合うことによって自分たちの関係性や家族の将来像を見つめ直すきっかけにできるということです。
 
どんな住まいに暮らしているかということは、そのご家庭の豊かさを示すことにもなるので、できるだけ立派な家、広い家に住みたいと思うのが誰にとっても当たり前の感情だと思います。
 
しかし、将来にわたって経済的な豊かさを維持し続けたいと考えるならば、むしろ住居費は抑えてその分を貯蓄に回していくことで、何があっても安心感のある家計を作っていくことが可能になるでしょう。
 
執筆者:加藤桂子(かとう けいこ)
CFP(ファイナンシャル・プランナー)
 

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