更新日: 2019.06.13 その他暮らし

センター試験廃止によって変化する受験費用 世間の期待と不安

センター試験廃止によって変化する受験費用 世間の期待と不安
2020年度、大学入試が変わります。これまで行われてきた「大学入試センター試験」が廃止され、新たに「大学入学共通テスト」がスタートします。大学入試といえば試験と同じくらい心配になるのが受験費用です。試験は新しい形式になりますが、受験料はどうなるのでしょう?
 
畑美雪

執筆者:畑美雪(はた みゆき)

フリーライター

雑誌を中心に取材やインタビュー記事を執筆中。
これまでの活動場所:タウン誌「湘南百撰」/情報誌「月刊公募ガイド」/WEBマガジン「カーサミアクラブ」

受験生が抱える期待と不安

平成から令和へ変わる節目の時に、受験生たちはどの程度の予算を想定しているのでしょう?以下では具体的な金額とともに解説していきます。
 
・大学受験の費用で受験料以外の支出を負担と感じる人は6割超
株式会社シンドバッド・インターナショナルでは、首都圏・関西圏など都市部の大学を受験する予定、もしくは受験をした人たちにアンケートを行いました。
 
その結果、65.5%の人たちが大学受験における受験料以外での支出に対し、「とても負担」または「やや負担」と回答しました。「受験料以外」の支出とは「交通費」や「宿泊費」などの諸経費を指します。
 
また、「受験料以外の支出」について予定額を質問したところ結果は以下の通りになりました。割合が多かった順から列挙します。
 
 (交通費) 1万円以上~3万円未満  25.9%
       5000円以上~1万円未満 18.0%
       5万円以上~10万円未満 18.0%
       5000円未満       13.7%
       3万円以上~5万円未満  12.9%
       10万円以上       7.9%
       未定          1.4%
       よくわからない     1.4%
       交通費はかからない   0.7%
 
 (宿泊費) 
       宿泊費はかからない 25.9%
       1万円以上~3万円未満  18.7%
       3万円以上~5万円未満  12.9%
       5000円以上~1万円未満 12.2%
       5万円以上~10万円未満 12.2%
       5000円未満       8.6%
       10万円以上       5.8%
       未定           2.9%
       よくわからない      0.7%
 
交通費、宿泊費のいずれも「3万円以上」が3割を超えています。対して「交通費はかからない」と回答した人は0.7%、「宿泊費はかからない」と回答した人は25.9%でした。
 
受験会場まで一切、交通費・宿泊費がかからない人より、3万円以上かかるという人の方が多いですね。地方から受験にやってくる学生の負担が伺い知れます。
 
・大学受験の際に期待するサービス
同アンケートでは、遠方から受験にやってくる人たちに対しての「こんなサービスがあったら便利だと思うことを選んでください」という質問も行っています。
 
そこでは、半数近い人が「地方会場での受験」を挙げました。次いで挙がったのは「宿泊は伴わない」の20.9%、「大学受験専門の格安交通・宿泊予約サービス」の15.8%です。
 
諸経費に対する不安が反映されている回答ですね。多くの人が費用に関係するサービスや特典を望んでいることが分かります。
 
たしかに希望の大学の受験会場が近ければ、交通費などを気に病む必要はありません。受験シーズンになると、大学近くのホテルは受験生らの予約ですぐに埋まってしまいます。
 
予約しようとしたら泊まる場所がない……なんてことになったら大変です。前泊して万全の体勢で本番に臨みたいのに、アクセスや宿泊のことで悩みたくはありませんよね。
 

平成30年度における教育費の実態

実際のところ、大学受験における費用はいくらかかるのでしょうか。株式会社日本政策金融公庫では、毎年、国内の教育費の実態を調査しています。
 
平成30年度の調査では、高校入学から大学卒業までに必要な入在学費用は、子ども1人当たり953.4万円だと分かりました。前回の調査と比較すると18.1万円の増加です。入学先別にみた入学費用(学校納付金・受験費用・入学しなかった学校への納付金の合計)は、以下の通りです。
 
(高校) 31.9万円
(高専・専修・各種学校) 59.7万円
(短大) 73.1万円
(大学) 88.4万円
 
国公立・私立別に見た入学費用は、以下の通りです。
 
(私立短大) 73.6万円
(国公立大学)80.1万円
(私立大学文系)90.4万円
(私立大学理系)85.5万円
 
大学受験は1つの志望校のみを受験するわけではなく、第2希望、第3希望と滑り止めを受験するのが一般的です。その場合も学校への納付金は受験校ごとに発生します。国公立大学へ入学した場合は、私立大学など入学しなかった学校への納付金の負担が12.8万円と大きくなっています。
 
同調査では「年収200万円以上400万円未満の世帯」は教育費の捻出のため、衣類の購入や交際費、保護者の小遣いを節約していることも分かっています。受験生を抱える親たちの苦労が目に浮かびます。大学受験は受験生本人だけでなく、家計にも関わる一大事です。
 

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まとめ

「働き方改革」だけでなく、教育の分野も「教育改革」と称し、転換の時期をむかえています。新しい時代に受験に挑む若者たちに対し、官民両方からのサポートや配慮を期待せずにはいられません。
 
受験生や保護者のみなさんも、費用面などの情報収集も欠かさずに備えていくようにしましょう。
 
出典
株式会社シンドバッド・インターナショナル「受験にかかる費用に関するアンケート調査」
株式会社日本政策金融公庫平成30年度「教育費負担の実態調査結果」
 
執筆者:畑美雪(はた みゆき)
フリーライター
 

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