日本は住宅ばっかり?20年間で40%も増加している謎

配信日: 2019.07.04

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日本は住宅ばっかり?20年間で40%も増加している謎
日本では住宅の数が増え続けています。人口はすでに減り始めているので、住宅の数を増やす必要はなさそうですが、どのくらい増えているのでしょうか?どのような住宅が増えているのでしょうか?
 
2019年4月に発表された住宅・土地統計の調査結果から、居住世帯のある住宅の現状について確認してみました。
 
松浦建二

執筆者:松浦建二(まつうら けんじ)

CFP(R)認定者

1級ファイナンシャル・プランニング技能士
1990年青山学院大学卒。大手住宅メーカーから外資系生命保険会社に転職し、個人の生命保険を活用したリスク対策や資産形成、相続対策、法人の税対策、事業保障対策等のコンサルティング営業を経験。2002年からファイナンシャルプランナーとして主に個人のライフプラン、生命保険設計、住宅購入総合サポート等の相談業務を行っている他、FPに関する講演や執筆等も行っている。青山学院大学非常勤講師。
http://www.ifp.cc/

居住世帯のある住宅のほとんどは一戸建てか共同住宅

日本全国には6242万戸もの住宅があります。そのうち居住世帯のある住宅が5366万戸で、建て方の内訳は下記表の通りです。
 
長屋建てとは、テラスハウスのように2つ以上の住宅が一棟に連なり、それぞれ直接内部へ出入りできる住宅のことです。共同住宅はマンションやアパート等が当てはまり、その他は工場や事務所の一部が住宅になっているような場合が当てはまります。
 

 
2018年の住宅数をみると一戸建て(2876万戸)と共同住宅(2334万戸)が非常に多く、長屋建て等はわずかしかありません。
 
しかも一戸建てと共同住宅は増え続けていますが、長屋建て等は減り続けており、一戸建てと共同住宅の占める割合が1998年の95.3%から20年で97.1%にまで上がっています。
 
一戸建てと共同住宅は共に20年間増え続けていますが、居住世帯のある住宅数全体に占める割合には変化が見られます。
 

 
1998年は一戸建てが2527万戸で57.5%を占めていましたが、2018年には2876万戸へ増えたものの割合は53.6%へ下がっています。
 
共同住宅は1998年に1660万戸(37.8%)で一戸建てとは877万戸の差がありましたが、2018年には2334万戸で542万戸まで差が縮まり、割合は43.5%まで上がってきています。このままで推移すれば数十年後には住宅数が逆転しそうです。
 

共同住宅は20年で674万戸増

居住世帯のある住宅の中で最も多い一戸建てには、どのような構造の住宅が多いのでしょうか?住宅・土地統計調査から一戸建ての構造の内訳も調べてみました。
 
構造の分類
・木造(防火木造を除く)……主要な柱や梁等の骨組みが木造の建物で防火木造を除く
・防火木造……木造のうち屋根や外壁が防火性能のある材料でできている建物
・鉄筋・鉄骨コンクリート造……骨組みが鉄筋コンクリート造、鉄骨コンクリート造または鉄骨鉄筋コンクリート造の建物
・鉄骨造……主要な柱や梁等の骨組みが鉄骨造の建物
・その他……ブロック造やレンガ造等、木造や鉄骨造等に含まれない建物
 

 
一戸建ては木造および防火木造の割合が非常に高く、合わせると1998年から2018年まで一定して92%台で推移しています。
 
一戸建ての総数は20年間で349万戸増えており、特に増えているのが防火木造で、総数以上の391万戸も増えています。鉄筋・鉄骨コンクリート造や鉄骨造も増えていますが、代わりに木造(防火木造を除く)は79万戸も減っています。
 
次に住宅・土地統計調査から居住世帯のある住宅のうち、共同住宅の構造の内訳を一戸建てと同じ5分類に分けてみました。
 

 
共同住宅では鉄筋・鉄骨コンクリート造の割合が非常に高く、2018年は1689万戸で共同住宅の72%を占めています。
 
また、共同住宅の総数は20年間で674万戸増えていますが、常に鉄筋・鉄骨コンクリート造の割合は72%程度で推移しており、共同住宅は鉄筋・鉄骨コンクリート造が中心となって今日まで成長していると言えます。
 
一戸建ても共同住宅も共通して言えるのは、1998年以降の20年間で防火への対策が進んでいることではないでしょうか。
 
1995年の阪神・淡路大震災が教訓となって防災意識が高まり、火災に強い住宅が増えていることは、居住している人だけでなく地域の人の安心にもつながります。さらなる推進を期待しましょう。
 
執筆者:松浦建二(まつうら けんじ)
CFP(R)認定者
 

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