更新日: 2021.09.13 その他暮らし
本当に困ってしまった時に! 知っておきたい生活保護制度の仕組み
実際に、生活保護制度を利用している方はどのくらいなのか、また、どのような援助をしてもらえるのかなど、今回は、生活保護制度の実態について、ご紹介します。
執筆者:下中英恵(したなかはなえ)
1級ファイナンシャル・プランニング技能士(資産設計提案業務)、第一種証券外務員、内部管理責任者
“東京都出身。2008年慶應義塾大学商学部卒業後、三菱UFJメリルリンチPB証券株式会社に入社。
富裕層向け資産運用業務に従事した後、米国ボストンにおいて、ファイナンシャルプランナーとして活動。現在は日本東京において、資産運用・保険・税制等、多様なテーマについて、金融記事の執筆活動を行っています
http://fp.shitanaka.com/”
生活保護制度の受給者数はどのくらい?
生活保護制度とは、生活に困窮している人に対し、その困窮の程度に応じて必要な保護を行い、健康で文化的な最低限度の生活を保障するとともに、自立の助長を目的としています。
具体的に、生活保護を受給している人の人数が、厚生労働省から発表されています。令和元年5月分の概数被保護実人員は207万8707人となり、対前年同月と比べると2万4937人減少しています。被保護世帯は163万5049世帯となり、対前年同月と比べると2776世帯減少となっています(※1)。
ここ2年間、生活保護を受けている方の人数は減少し続けているという状況が続いています。さらに、世帯別に見てみると、令和元年5月分では、高齢者世帯が最も世帯数が多く、傷病者世帯、障害者世帯、母子世帯という順番になっています。
<世帯類型別現に保護を受けた世帯数>
高齢者世帯:89万5931世帯
傷病者世帯:20万5707世帯
障害者世帯:20万249世帯
母子世帯:8万1846世帯
生活保護の種類と保護費
生活保護は、扶助の種類によって、いくつかの種類に分けることができます。食費や光熱費など、日常生活に必要な費用を援助してくれるもの、アパート等の家賃のための住宅扶助、医療サービスの費用などの医療扶助です。
実際に、いくらくらいの生活保護を受けることができるのかという点については、各世帯やケースによって大きく異なります。支給される保護費は、厚生労働大臣が定める基準で計算される最低生活費と収入を比較して、収入が最低生活費に満たない場合、最低生活費から収入を引いた差額が支給されます。
<支給される保護費>
支給される保護費 = 最低生活費 — 年金・児童手当等の収入
支給される金額は、厚生労働省の資料(※2)によると、以下のとおりとなっています。
<生活扶助基準額の例 >(平成30年10月1日現在)
3人世帯(33歳、29歳、4歳)
東京都区部等15万7170円、地方郡部等13万1900円
高齢者単身世帯(68歳)
東京都区部等7万8470円、地方郡部等6万4420円
高齢者夫婦世帯(68歳、65歳)
東京都区部等11万8880円、地方郡部等9万8660円
母子世帯(30歳、4歳、2歳)
東京都区部等18万7460円、地方郡部等16万160円
手続きの流れ
では、お金に困ってしまい、生活保護を受けたいと考えた場合、どのような手続きを取ったら良いのでしょうか? 手続きの流れについて、確認しておきましょう。
まず、生活保護制度の利用を希望する方は、地域の福祉事務所の生活保護担当の窓口に、相談に行ってみましょう。生活保護制度の説明を受けることができ、社会保障施策等の活用について検討してもらえます。
そして、生活保護の申請をする場合、保護の決定のために、さまざまな調査が行われます。例えば、生活状況等を把握するための実地調査(家庭訪問等)や、預貯金・保険・不動産等の資産調査、扶養義務者による扶養(仕送り等の援助)の可否の調査、就労の可能性の調査などです。
調査の結果、生活保護を受給できることになった方は、先ほどご説明した、「保護費」が毎月支給されることになります。
ただし、生活保護の受給中は、収入の状況を毎月申告する必要があり、世帯の実態に応じて、ケースワーカーが年に数回、訪問調査を行います。申請を検討している方は、厚生労働省のホームページをチェックしてみましょう(※3)。
いかがだったでしょうか? 生活保護制度は、本当にお金に困ってしまった場合に頼りになる、最後のとりでの制度です。万一に備えて、今回ご紹介した制度の概要について、頭に入れておくと安心でしょう。
出典・参考
(※1)厚生労働省 生活保護の被保護者調査(令和元年5月分概数)
(※2)厚生労働省 生活保護制度に関するQ&A
(※3)厚生労働省 生活保護制度
執筆者:下中英恵
1級ファイナンシャル・プランニング技能士(資産設計提案業務)、第一種証券外務員、内部管理責任者