2020年度からセンター試験は「大学入試共通テスト」へ。英語の試験や検定料はどう変わる?
配信日: 2019.10.17
英語に関しては、従来の「読む」「聞く」に加え、「話す」「書く」の試験も課されます。この4技能をテストし評価する試験は、英検などの英語民間試験(資格・検定試験)が利用されます。
執筆者:新美昌也(にいみ まさや)
ファイナンシャル・プランナー。
ライフプラン・キャッシュフロー分析に基づいた家計相談を得意とする。法人営業をしていた経験から経営者からの相談が多い。教育資金、住宅購入、年金、資産運用、保険、離婚のお金などをテーマとしたセミナーや個別相談も多数実施している。教育資金をテーマにした講演は延べ800校以上の高校で実施。
また、保険や介護のお金に詳しいファイナンシャル・プランナーとしてテレビや新聞、雑誌の取材にも多数協力している。共著に「これで安心!入院・介護のお金」(技術評論社)がある。
http://fp-trc.com/
大学入試の英語が大きく変わる
学力の3要素をご存じでしょうか。
(1)「知識・技能」
(2)「思考力・判断力・表現力」
(3)「主体的に学習に取り込む態度」
を学力の3要素といいます。
従来の試験では、「知識・技能」を測ることに偏重していた傾向がありましたので、共通テストでは、「知識・技能」だけではなく「思考力・判断力・表現力」も重視されます。主体性等については各大学の個別試験で評価します。
具体的には、共通テストでは、国語と数学に記述式が導入(2024年度からは地歴・公民分野や理科分野でも記述式を導入予定)され、英語では、従来の「読む」「聞く」に加え、「話す」「書く」の試験も課されます。この4技能をテストし評価する試験は、英検などの英語民間試験(資格・検定試験)が利用されます。
2023年度までは英語の4技能を評価する英語民間試験と、2技能を評価する共通テストの英語科目が併存され、2024年度以降は、共通テストの英語科目は撤廃され、英語民間試験の点数のみで評価される予定です。
国公立大学を受験する場合、2023年度までは、共通テストに加え、英語民間試験の受験を求められる可能性があります。なお、すでに、多くの大学では、大学入学者選抜において英語資格・検定試験を活用しています。
■大学入学者選抜において英語資格・検定試験を活用している大学(平成27年度)
<国立大学>計28.0%、推薦入試17.1%、AO入試14.6%、一般入試7.3%
<公立大学>計22.6%、推薦入試16.7%、AO入試10.7%、一般入試1.2%
<私立大学>計39.5%、推薦入試30.7%、AO入試21.2%、一般入試6.4%
(出典:文部科学省HP)
英語民間試験のスケジュール
英語民間試験を大学入試に使う場合は、いつでも何度でも受けられるわけではありません。英語民間試験は受験生が受験年度の4月~12月に一定の英語民間試験の中から選んで2回まで受験できます。
試験の成績は、「大学入試英語成績提供システム」により、大学入試センターで集約・管理され、各大学へ提供されます。
「大学入試英語成績提供システム」は、英語資格・検定試験を活用して、大学入試で英語の4技能を評価することを支援するために大学入試センターが運営するシステムです。
「大学入試英語成績提供システム」を利用するには、在校生は高等学校を経由して大学入試センターに申込みを行います。
このシステムを利用することにより、受験生は志望する大学・学部等ごとに資格・検定試験実施主体に成績証明書の発行を請求し、受領した上で、それを各大学に提出するといった煩わしさから解放されます。また、大学への出願締切日までに成績証明書の取得・提出が間に合わないといった事態を避けることもできます。
英語民間試験の受験料(検定料)
受験料(検定料)は各資格・検定試験や試験のレベルにより大きく異なります。
ケンブリッジ英語検定(ケンブリッジ大学英語検定)は9000円~2万3500円
IELTS(IDP:IELTS Australia)・IELTS(ブリティッシュ・カウンシル)は2万5380円
TOEFL iBT(CIEE)は235USドル
GTEC(ベネッセコーポレーション)は6700円
GTEC CBT(ベネッセコーポレーション)は9720円
TEAP・TEAP CBT(公益財団法人日本英語検定協会)は1万5000円、
英検CBT・英検2020 1day S-CBT・英検2020 2days S-Interview(公益財団法人日本英語検定協会)は5800円~1万6500円
(※2019年8月時点)
経済的困難者に対しては、受験料(検定料)の割引がある場合があります。各試験の特長、試験日、試験会場など詳細は、各試験実施主体のウェブサイトでご確認ください。
英語民間試験の結果の比較
異なる英語民間試験を統一の基準で評価するのがCEFR(セファール)です。CEFR(Common European Framework of Reference)は、言語の枠や国境を越えて、外国語の運用能力を同一の基準で測ることができる国際標準です。
A1~C2の6つの等級があります。A1/A2レベルは「基礎段階の言語使用者」、B1/B2レベルは「自立した言語使用者」、C1/C2レベルは「熟達した言語使用者」となっています。
各レベルの具体的な内容や、各資格・検定試験とCEFRとの対照表については、文部科学省の資料「大学入試英語成績提供システムへの参加要件を満たしている資格・検定試験とCEFRとの対照表について(※1)」が参考になります。
たとえば、この資料によると、GTEC1000点は英検準2級と大体同じレベル(B1)であることが分かります。
(※1)文部科学省「大学入試英語成績提供システムへの参加要件を満たしている資格・検定試験とCEFRとの対照表について」
出典 文部科学省HP
執筆者:新美昌也
ファイナンシャル・プランナー