更新日: 2019.11.21 その他暮らし
不動産を売却するなら知っておきたい!<税率>と<所有期間>の関係って?
執筆者:岡田文徳(おかだふみのり)
認知症大家対策アドバイザー
人生100年時代を生き抜くために大家さんの認知症対策と不動産賃貸経営のサポートを行なっている。
祖父が認知症になり、お金が下ろせない、賃貸業はストップ、収益の出ない物件を買わされそうになる。
祖父の死後、両親と認知症対策を行い、自ら賃貸経営ノウハウや人脈を構築し、日々改善している。
現在は、大家さん向けにセミナーやコンサルティングを行なっています。
不動産の所有期間という考え方があることを理解する
不動産を売却するときには、戦略的に行う場合とやむを得ず行う場合とがあると思います。やむを得ず行う場合はさておき、戦略的に行う場合には、不動産の所有期間に関する考え方を理解しておくことをオススメします。
なぜ、不動産の所有期間に関する考え方を理解しておくべきなのか?それは、不動産を売却したときに利益(譲渡益)が出た場合の税率が異なるからです。
長期譲渡所得と短期譲渡所得の違いを理解する
不動産を売却したときに、利益(譲渡益)があれば、当然税金がかかります。利益が出ていなければ、税金を払う必要がないかもしれません(詳細は、税理士さんにご相談ください。)
不動産の所有期間が5年を超えていれば、長期譲渡所得という扱いになり、不動産の所有期間が5年以下の場合には、短期譲渡所得という扱いになります。長期譲渡所得と短期譲渡所得では、税率が大きく変わります。
国税庁のHPを確認すると、税率はそれぞれ以下です。
長期譲渡所得に対する税率
所得税:15%
復興特別所得税:2.1%
住民税:5%
短期譲渡所得に対する税率
所得税:30%
復興特別所得税:2.1%
住民税:9%
長期譲渡所得と短期譲渡所得の税率を比較すると、ほぼ2倍になります。この差は非常に大きいといわざるを得ません。
不動産の所有期間は、購入日から考えるものではない!
不動産の所有期間は、購入した日から何年という形で考えるものと思いがちです。しかし、長期譲渡所得と短期譲渡所得を区別するときには、購入した日が重要な日ではありません。注意が必要です。
なぜなら、起算日に所有していることによって、初めて所有していると認められるからです。その起算日は、1月1日です。
確認してみましょう!
例えば、
2013年5月20日に不動産を購入したとします。
2014年1月1日に所有していると、ここで初めて所有していることになります。
2014年1月1日:所有が始まった年
2015年1月1日:所有後1年
2016年1月1日:所有後2年
2017年1月1日:所有後3年
2018年1月1日:所有後4年
2019年1月1日:所有後5年
2018年5月21日になれば、5年間所有したことになりそうですが、2018年はまだ5年目であり、5年を超えていないので、2018年中に売却した場合には、短期譲渡所得として、扱われることになります。注意しなければなりません。
もし、不動産を売却する時期がいつでもよく、譲渡益の税金のことを考えるのであれば、不動産の所有期間が5年を超えていれば、長期譲渡所得になるようにしたほうが支払う税金が少なくなります。
この例では、2019年1月1日以降に売却すると、長期譲渡所得の取り扱いになるということです。ただし、不動産はいつ、どれくらいの価格になるかは、そのときの相場によります。
支払う税金を減らすことができる金額よりも、売却価格が下がってしまっては元も子もありません。あらゆる視点で考える必要があります。
まとめると、
・不動産の所有期間という考え方を理解する。
・長期譲渡所得と短期譲渡所得の違いを理解する。
・購入日ではなく、起算日を理解する。
出典
国税庁HP No.3208 長期譲渡所得の税額の計算
国税庁HPNo.3211 短期譲渡所得の税額の計算
執筆者:岡田文徳
認知症大家対策アドバイザー