国の予防接種でB型肝炎に感染した方へ。給付金が支給される場合があります

配信日: 2020.03.04

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国の予防接種でB型肝炎に感染した方へ。給付金が支給される場合があります
予防接種法に基づき集団接種が開始された頃、効率よく接種するため、1人ひとり注射器を変えることなく、何人かに同じ注射器で接種していたことがありました。
 
集団接種の注射器連続使用でB型肝炎ウイルスに感染してしまった方や、症状がなくてもキャリアである(感染し続ける)場合にも、給付金が支給される場合があります。
 
林智慮

執筆者:林智慮(はやし ちりよ)

CFP(R)認定者

確定拠出年金相談ねっと認定FP
大学(工学部)卒業後、橋梁設計の会社で設計業務に携わる。結婚で専業主婦となるが夫の独立を機に経理・総務に転身。事業と家庭のファイナンシャル・プランナーとなる。コーチング資格も習得し、金銭面だけでなく心の面からも「幸せに生きる」サポートをしている。4人の子の母。保険や金融商品を売らない独立系ファイナンシャル・プランナー。

B型肝炎とは

B型肝炎とは、B型肝炎ウイルス感染によって起こる肝臓の病気です。B型肝炎に感染した血液等に接触すると、感染を起こすことがあります。感染しても、一過性で終わる場合と、そのままキャリアになる場合があります。
 
肝炎の発症には、急性肝炎と慢性肝炎がありますが、急性肝炎はまれに劇症化する場合があります。キャリアになると慢性肝炎になることがあり、肝硬変や肝がんなど発症することもあります(厚生労働省ホームページより、要約引用)。
 
感染しても症状が出ないままのことが多く、自覚症状がないため適切な時期に治療を受けられず、本人が気付かないうちに重症化してしまうことがあります。肝炎ウイルスに感染しているかどうかは、採血で検査ができます。

昭和23年7月~63年1月27日に集団接種を受けた方

給付金を受ける要件となるのは、昭和16年7月2日生まれ以降の方で、
・B型肝炎ウイルスに持続感染していること
・7歳になるまでに集団予防接種等(昭和23年7月1日から昭和63年1月27日までに限る)を受けていること
・集団予防接種等における注射器の連続使用があったこと
・母子感染でないこと
・その予防接種以外の感染原因がないこと

 
予防接種法に基づいて集団接種が実施されたのが昭和23年7月1日です。持続感染者になりやすいのは2、3歳(最年長で6歳)頃までと判示されたことから、対象者は昭和16年7月2日生まれ以降とされています。
 
また、給付金対象者から母子(父子)感染等によりB型肝炎ウイルスに感染した場合も対象です。給付額は症状により決められています。
 
●死亡・肝がん・重度の肝硬変:3600万円(20年の除斥期間が経過した場合は900万円)
●軽度の肝硬変:2500万円(20年の除斥期間が経過した場合。軽度の肝硬変に罹患していたら600万円、それ以外は300万円)
●慢性B型肝炎:1250万円(20年の除斥期間が経過した場合。慢性B型肝炎に罹患していたら300万円、それ以外は150万円)
●無症候性キャリア:600万円(20年の除斥期間が経過した場合は50万円)
 
20年間の除斥期間が過ぎてしまっても、それぞれの症状に合わせて給付金があります。病状が悪化した場合は、すでに支給された金額との差額が支給されます。

給付金を受けるために、国に国家賠償請求訴訟を起こします

ところで、給付対象者の認定を受けるには、資料を提出すれば認定されるのではありません。裁判所により和解手続き等によって行われます。国に対して裁判所に国家賠償請求訴訟を起こします。裁判所の仲介で、和解協議を行い、和解が成立したら社会保険診療報酬支払基金に給付金等の支給の請求をします。
 
給付金が支給決定の場合、訴訟手当金として以下のものも支給されます。
・訴訟にかかる弁護士費用(給付金額の4%相当額)
・特定B型肝炎ウイルス感染者であることを確認する検査費用

 
また、特定無症候性持続感染者の場合には、
・慢性肝炎等の発症を確認するための定期検査費
・母子感染防止のための医療費
・世帯内感染防止のための医療費
・定期検査手当

も支給されます。
 
訴訟は自分で手続きもできます。厚生労働省のホームページに訴訟の手引きがあります。訴訟手続きの一部または全部を弁護士に依頼できます。B型肝炎訴訟の弁護士については、厚生労働省のホームページに各地の弁護団の連絡先へのリンクが掲載されています。
 
訴訟の締め切りは、現行(令和2年1月現在)の法律では令和4年1月12日までです。
 
(参照:引用)
厚生労働省「B型肝炎訴訟について(救済対象の方に給付金をお支払いします)」
厚生労働省「B型肝炎」
厚生労働省「予防接種法」
厚生労働省「B型肝炎訴訟の手引き」
 
執筆者:林智慮
CFP(R)認定者


 

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