たった1滴の血液でがんを発見? 最新のがん検査事情
配信日: 2020.03.27
ここでは、これらのがん検査キットの概要と最新のがん検査事情について確認してみたいと思います。
執筆者:高橋庸夫(たかはし つねお)
ファイナンシャル・プランナー
住宅ローンアドバイザー ,宅地建物取引士, マンション管理士, 防災士
サラリーマン生活24年、その間10回以上の転勤を経験し、全国各所に居住。早期退職後は、新たな知識習得に貪欲に努めるとともに、自らが経験した「サラリーマンの退職、住宅ローン、子育て教育、資産運用」などの実体験をベースとして、個別相談、セミナー講師など精力的に活動。また、マンション管理士として管理組合運営や役員やマンション居住者への支援を実施。妻と長女と犬1匹。
がんは早期発見すれば完治できる病気
がんという病気は「万が一」ではなく、「2人に1人」は罹患するといわれています。しかし、わが国のがん検査の受診率は、おおむね30~40%程度と低調となっています。その最大の原因は、検査に要する費用の高さにあるといわれています。
例えば、胃がん検診のための胃カメラは1万円から2万円、大腸がん検診のための大腸カメラは2万円から3万円、乳がん検診のためのマンモグラフィーは5000円から1万円ほどです。
このように、特定の臓器などの検査ごとに費用負担が必要となると同時に、胃カメラを飲むときのつらさなどの身体への負担も検査を躊躇する要因となっています。
ここで最も重要なことは、「がんは早期発見さえすれば完治できる可能性が高い病気」であり、何よりもがんの病状が進行する前に「早期発見」することが重要だということです。
例えば、肺がんの場合、ステージ2では5年生存率が約60%であるのに対して、ステージ0では約97%と飛躍的に改善されるとのデータもあります(※1)。
注目される「がん検査キット」
がん検査キットには、男性向け、女性向け、生活習慣病、糖尿病などさまざまな種類があります。利用手順については、おおむね以下の通りです。
(1)利用申し込み(キット購入)
(2)キットの到着
(3)自分自身で血液採取(指先から1滴程度)
(4)専用容器を血液検査センターに送付
(5)血液検査センターでの分析
(6)結果の報告(速報は3日から5日、アドバイスコメント付き検査結果シートは郵送で7日から10日)。パソコンなどでの検査結果の閲覧も可能
自分自身で専用キットを使ってわずか1滴程度の血液を採取し、血液検査センターに送るだけで、比較的安価に、おおむね10日以内というスピードで検査結果を受領することができます。
さらに、誰にも知られることなく、個人で検査ができることもメリットのひとつといえるでしょう。また、新たながん検査キットの開発にも多くの企業が参画しており、日々改良が進められているようです。
高精度で13種類のがんを発見できるキットも
最近では、わずか1滴の血液から99%という高い精度で、実に13種類のがんを発見できる技術も開発されています。
このがん検出技術を開発した東芝によると、判定にかかる時間は2時間以内、生存率の高いステージ0の早期がんも発見可能です(※2)。対象となるがんの種類は以下の通りです。
乳がん、すい臓がん、卵巣がん、前立腺がん、食道がん、胃がん、大腸がん、肝臓がん、胆道がん、膀胱がん、肺がん、脳腫瘍、肉腫。
東芝では、早期の社会実装に向けて、2020年から実証試験を進めていくとしています。
まとめ
ご自身の健康と愛するご家族のためにも定期的な健康診断、人間ドックの受診は欠かせないものです。
しかし、病院でのがん検査に抵抗を感じる方も少なからずいるようです。もちろん、それを踏まえてですが、がん検査を比較的手軽にスピーディーにできるツールが、がん検査キットです。
一説には、このような検査方法が将来的に確立され、広く普及すれば、末期がんは無くなるともいわれています。がん根治のために最も重要となる早期発見に向けたひとつの有効なツールとして、がん検査キットに注目してみてはいかがでしょうか?
[出典]
※1 国立がん研究センター中央病院「肺がんの診断・治療・手術」
※2 東芝「研究開発ニュース 2019年11月25日」
執筆者:高橋庸夫
ファイナンシャル・プランナー