新型コロナで売り上げ激減! 小規模店舗や個人事業主が使える給付金・助成金・貸付制度は?(1)

配信日: 2020.06.10

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新型コロナで売り上げ激減! 小規模店舗や個人事業主が使える給付金・助成金・貸付制度は?(1)
新型コロナウイルスによる、休業要請や外出自粛に伴う営業活動への影響で、街の飲食店や小売店は大きな打撃を被っています。
 
4月末の補正予算案成立で新たな給付金制度が開始されるなど、損失補填の仕組みは増えましたが、「今ほしい」お金に対応してくれるのでしょうか?
 
個人事業主や小規模事業者が使える給付金、助成金、貸付制度について解説します。
※本コラムは2020年5月2日時点の情報で執筆しています。
伊藤秀雄

執筆者:伊藤秀雄(いとう ひでお)

FP事務所ライフブリュー代表
CFP®️認定者、FP技能士1級、証券外務員一種、住宅ローンアドバイザー、終活アドバイザー協会会員

大手電機メーカーで人事労務の仕事に長く従事。社員のキャリアの節目やライフイベントに数多く立ち会うなかで、お金の問題に向き合わなくては解決につながらないと痛感。FP資格取得後はそれらの経験を仕事に活かすとともに、日本FP協会の無料相談室相談員、セミナー講師、執筆活動等を続けている。

国の主な給付金・助成金

給付金と助成金、どちらも返済不要なお金ですが、給付金は条件に合えば受け取れるもの、助成金は何かに支払ったあとにその一部が戻ってくる制度です。新型コロナウイルスで注目されている国の制度について、主な取り扱いをまとめてみました。
 
表1

「持続化給付金」(経済産業省)について

5月1日から受付開始した、新型コロナ対策として新設した制度です。家賃などの固定費やテイクアウトを始める準備費用等々、さまざまな目的に利用できます。休業することを条件に求めておらず、幅広い事業に利用可能です。
 
給付金額は、前年同月比で売上高が半分以下の月があれば、その減少した月の売上金額で1年分の売上高をみなし計算して算出します。以下は上限100万円の個人事業者の事例です。
 
表2


 
前年同月との差額が大きいほど給付額が増えるので、どの月で申請するかというタイミングの問題があります。ただ、軒並み大幅減収の飲食店などは、上限額を超えそうならすぐに申請すべきでしょう。
 
大量の申請で給付まで2週間の設定が遅れることも予想されます。必要な時期に間に合うよう幅をもって備えておく必要があります。

「雇用調整助成金の特例措置」(厚生労働省)について

事業主が休業し、従業員に休業手当を支払った場合にその一部を助成します。新型コロナの影響に伴う「経済上の理由」とは、予約客のキャンセルや市民活動の自粛で売上が減少したり、行政からの営業自粛要請を受け、自主的な休業で売上が減少した場合などです。
 
次のケースで助成金を試算してみましょう。実際はもっと複雑ですが、計算のポイントをご理解ください。
 
【ケース】
「4月に客数の激減で前年同月比▲80%の売上減少となった。その間5人の従業員とアルバイト全員に20日間の休業を実施し、8割5分の休業手当を支給した。解雇はしていない」
 


 
事業主は136万円の休業手当(基準賃金額×100人・日)を支払っているため、差額の52.7万円は事業主負担となります。
 
実際に支払った休業手当の9割ではなく、1人1日当たり単価8330円が上限であることに要注意です。上記のケースの場合、労働基準法に定める下限の6割にすると、ほぼ8330円と同額に近づきます。
 
現状の特例措置内容では、事業者側の負担と、従業員側の収入減のどちらも回避することは難しく、どちらも一定の負担を受け止める必要があります。
 
なお、5月初旬現在、受給要件の拡充案が発表されています。一定の条件で休業手当の支払率6割超の部分の助成率を特例的に10/10とする、あるいは休業手当全体の助成率を特例的に10/10とする措置が公開されており、詳細は5月上旬に公表予定です。
 
ただし、この措置についても対象労働者1人1日当たり8330円が上限なので、上記ケースの場合だと助成額は増えません。
 
特例措置では、申請書類の大幅簡素化(記載事項を73項目から38項目に削減)を図るなどの工夫がなされていますが、「分かりにくい」「時間がかかる」という声も多いようです。いっそうの改善とともに、1人1日当たり上限単価の緩和を期待したいところです。
 
以上、国の2つの制度をご紹介しましたが、その目的や支給条件が大きく異なるのをお分かりいただけたと思います。大きく売上が落ち込んでいるなら、利用範囲が広く個人事業でも最高100万円が比較的早期に調達できる「持続化給付金」をまず申請してはいかがでしょうか。
 
(出典)
経済産業省「持続化給付金に関するお知らせ(速報版)」
厚生労働省「雇用調整助成金」
厚生労働省「雇用調整助成金ガイドブック簡易版(令和2年4月24日現在)」
 
執筆者:伊藤秀雄
CFP(R)認定者、ファイナンシャルプランナー技能士1級、第1種証券外務員、終活アドバイザー協会会員、相続アドバイザー


 

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