更新日: 2020.07.16 子育て

災害により被害を受けた学生への奨学金支援策を活用しよう

災害により被害を受けた学生への奨学金支援策を活用しよう
2020年7月8日現在、豪雨による被害が全国的に広まったことで、日本学生支援機構(JASSO)は7月6日、災害救助法適用地域の世帯の学生への支援策として、「給付奨学金(家計急変採用)」「貸与奨学金(緊急採用・応急採用)」「減額返還・返還期限猶予」「JASSO災害支援金」の申請を受け付けることを公表しました。ポイントを解説します。
新美昌也

執筆者:新美昌也(にいみ まさや)

ファイナンシャル・プランナー。

ライフプラン・キャッシュフロー分析に基づいた家計相談を得意とする。法人営業をしていた経験から経営者からの相談が多い。教育資金、住宅購入、年金、資産運用、保険、離婚のお金などをテーマとしたセミナーや個別相談も多数実施している。教育資金をテーマにした講演は延べ800校以上の高校で実施。
また、保険や介護のお金に詳しいファイナンシャル・プランナーとしてテレビや新聞、雑誌の取材にも多数協力している。共著に「これで安心!入院・介護のお金」(技術評論社)がある。
http://fp-trc.com/

災害救助法適用地域とは

災害救助法適用地域とは、災害直後の応急的な生活の救済などを定めた災害救助法が適用される地域です。7月6日現在、直近では以下の地域が災害救助法適用地域となっています。
 
【熊本県】
八代市、人吉市、水俣市、上天草市、天草市、葦北郡芦北町、葦北郡津奈木町、球磨郡錦町、球磨郡多良木町、球磨郡湯前町、球磨郡水上村、球磨郡相良村、球磨郡五木村、球磨郡山江村、球磨郡球磨村、球磨郡あさぎり町(第1報、法適用日:令和2年7月4日)
 
【鹿児島県】
阿久根市、出水市、伊佐市、出水郡長島町(第2報、法適用日:令和2年7月4日)
鹿屋市、曽於市、志布志市(第3報、法適用日:令和2年7月4日)
 
日本学生支援機構では、災害救助法適用地域に居住する世帯で、当該の災害により家計が急変したことにより奨学金を希望される方に対して、該当者全員の推薦を受け付けています。
 
なお、災害救助法の適用を受けない近隣の地域で、同等の災害に遭った世帯の学生ならびに同地域に勤務し勤務先が被災した世帯の学生で同等の災害に遭ったものについても、適用地域に準じて取り扱われます。

災害により被害を受けた学生への支援策

災害救助法適用地域の世帯の学生への支援策として、「給付奨学金(家計急変採用)」「貸与奨学金(緊急採用・応急採用)」「減額返還・返還期限猶予」「JASSO災害支援金」があります。

1.給付奨学金(家計急変採用)

予期できない事由により家計が急変し、急変後の収入状況が住民税情報に反映される前に緊急に支援の必要がある場合には、急変後の所得の見込みにより要件を満たすことが確認されれば給付奨学金および授業料等減免の支援対象となります。
 
支給金額(返済不要)は、世帯の所得金額、学校の設置者(国公立・私立)および通学形態(自宅通学・自宅外通学)等により決まります。

2.貸与奨学金(緊急採用・応急採用)

失職、破産、事故、病気、死亡等もしくは火災、風水害等の災害等または学校の廃止によりやむを得ず他の学校に入学することで、修学に要する費用が増加したことにより家計が急変し、緊急に奨学金の必要が生じた場合に、随時、申し込むことができます。
 
緊急採用、応用採用は、それぞれ第一種奨学金、第二種奨学金に対応しています。なお、第一種奨学金に比べ緊急採用は学力基準が緩やかです。
 
貸与奨学金(緊急採用・応急採用)は返済義務があります。なお、すでに奨学金を利用している方は借入額を増額するという方法もあります。

3.減額返還・返還期限猶予

災害、傷病、経済困難等により返還が困難な場合には、減額返還・返還期限猶予などの救済措置があります。
 
減額返還は、願出により月々の返還額を1/2または1/3に減額し、適用期間に応じた分の返還期間を延長する制度です。最長15年(180ヶ月)まで適用可能です。
 
返還期限猶予は、願出により返還期限を猶予(先送り)する制度です。最長10年間(120ヶ月)の適用期間の制限があります。

4.JASSO災害支援金

災害により学生本人やその生計維持者が現に住んでいる家が、半壊(半流出・半埋没および半焼失を含む)以上の被害を受けたり、床上浸水となったり、自治体からの避難勧告等が1ヶ月以上続いたりした方に対して10万円が支給されます(返済不要)。
 
いずれの支援策も学校を通じて日本学生支援機構に申し込みます。各支援策の詳細は、日本学生支援機構のウェブサイトで確認できます。
 
突然の出来事にパニックになり、何から手を付けたらいいか分からなくなるかもしれません。まずは、災害により被害を受けた学生は在籍している学校に相談してみましょう。
 
執筆者:新美昌也
ファイナンシャル・プランナー


 

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