更新日: 2020.08.03 その他暮らし
【相談事例】コロナ離婚をするか否か迷っている方へ。離婚後の人生を成功させる方法
執筆者:寺門美和子(てらかど みわこ)
ファイナンシャルプランナー、相続診断士
公的保険アドバイザー/確定拠出年金相談ねっと認定FP
岡野あつこ師事®上級プロ夫婦問題カウンセラー
大手流通業界系のファッションビジネスを12年経験。ビジネスの面白さを体感するが、結婚を機に退職。その後夫の仕事(整体)で、主にマネージメント・経営等、裏方を担当。マスコミでも話題となり、忙しい日々過ごす。しかし、20年後に離婚。長い間従事した「からだ系ビジネス」では資格を有しておらず『資格の大切さ』を実感し『人生のやり直し』を決意。自らの経験を活かした夫婦問題カウンセラーの資格を目指す中「離婚後の女性が自立する難しさ」を目のあたりにする。また自らの財産分与の運用の未熟さの反省もあり研究する中に、FPの仕事と出会う。『からだと心とお金』の幸せは三つ巴。からだと心の癒しや健康法は巷に情報が充実し身近なのに、なぜお金や資産の事はこんなに解りづらいのだろう?特に女性には敷居が高い現実。「もっとやさしく、わかりやすくお金や資産の提案がしたい」という想いから、FPの資格を取得。第二の成人式、40歳を迎えたことを機に女性が資産運用について学び直す提案業務を行っている。
※確定拠出年金相談ねっと https://wiselife.biz/fp/mterakado/
女性のための電話相談『ボイスマルシェ』 https://www.voicemarche.jp/advisers/781
離婚問題の多様化
私は「夫婦問題コンサルタント」という肩書で活動していますが、お話を聞いてほしいというだけでなく、最近では「早急な解決」を求める方が増えている傾向にあります。
夫婦共働きになったこと、核家族となったこと、SNSの普及などなど、現代の社会情勢が夫婦問題を複雑化させているのかもしれません。
ADR(裁判外紛争解決手続)、弁護士の紹介、不動産コンサル、離婚後のお金の問題、お子さまの面会交流などなど、ご相談に訪れるご夫婦がお持ちの問題は、それぞれに異なり、その解決には多様化する問題を理解し、具体的な解決策を見つけることが必要になっています。
「お話を聞いて寄り添う」というだけでは、いまや解決できにくい状況になっています。
コロナ離婚の3つの共通原因
多様化が進む時代の離婚原因というのは、1つの原因ではなく、2つ3つと理由が重なっているケースがほとんどですが、現在の「コロナ渦では、下記の3つの理由が加わる傾向があります。
1:コロナによる自粛で、物理的なファミリーディスタンスが近過ぎる問題
ステイホームの状況下では、いつもは仲の良かったご夫妻まで、四六時中一緒にいることで、ストレスが増加している人もいます。お子さんがいると、自宅でのPC作業中などにかわいい邪魔が入り、仕事にはならないという人もいるでしょう。
さらには、自宅に滞在する人が多いことで、通常の生活音だけでなく、自宅内で運動をしたり、上層階の人がエレベーター使用を避けて階段を下りたりする音など、通常起きないサウンドが起きていて、マンション内の騒音トラブルも多く発生しているようです。
2:コロナによる経済や生活への不安を身近な人に八つ当たりする問題
会社の経営者、自営業の方は、多かれ少なかれ、売上が厳しくなっている方が多いと思います。売上減少=生活の厳しさとなるでしょう。先行きが見えない、コロナショックへの不安が大きく、ついつい身近な妻や子どもに対して、八つ当たりをする夫が増えています。
これは、この状況下で特別に起こった感情というよりは、もともとその傾向があった方が、この状況下でさらに強まり、大声で怒鳴る、物を投げる、中には暴力を振るうという行為に結び付いているというのが正確な表現かもしれません。
3:コロナにより『ニューノーマル』の価値観改革により、人生に足しての意識の変化
上記2の関連になりますが、今までは耐えていた配偶者、また子どもたちが「これは違うのでは」という疑問を持つ方が急速に増えてきました。
その理由はなぜなのか。この半世紀、今回のように国を挙げての「自衛」という行為を強いられたことはなかったのではないでしょうか。
自衛生活とは、「自らが判断して選択する」という生活です。外出するのも、飲み会に参加するのも、休日の過ごし方も、「感染リスク」は常にあり、その責任は自らが負うという初めての経験ではないでしょうか。
しかし、これはある意味、人を成長させる良い機会だったのではないかと思われます。さまざまなことを、自分で決断する勇気がでたのではないでしょうか。離婚もしかりで、ご主人からの肉体的、精神的な暴力から、自ら逃げ出そうという気持ちが、この状況下で生まれたのではないかと推測できます。
専業主婦が離婚に踏み込む際の注意
厚生労働省が発表した、5月の有効求人倍率は1.20倍となり、前月から0.12ポイントの低下で、46年ぶりの低水準だそうです。特に「女性の求人」の厳しさが聞こえてきます。
この状況下で、新たに従業員を雇用しようとする会社は、その雇用条件を厳しくしてきます。やはり、即戦力となる経験者が優遇されますし、小さなお子さんがいる方は敬遠されるかしれません。このような状態の中で、離婚をしてご自身が働く機会を見つけるのは大変厳しいといえます。
我慢した時間が長い分、即行動したい気持ちはよくわかります。しかし今は、世の中の流れを見定めるときかもしれません。
ライフプランだけでなくライフデザインとビジョンを明確に
私は常日頃、「離婚をする前に自身のライフプランニングをきちんと考え、離婚後に待つご自身の暮らしとお金の問題と向き合ってから離婚の決断はすべき」ということを提唱しております。それは、勢いだけで離婚をしてしまい、経済的に苦労して離婚を後悔している方が大勢いらっしゃるからです。
それも無理はないのかもしれません。長年、夫や子ども、家族のためだけに自分の人生を費やして来た方は、今更「自分の人生のデザイン」といわれても、なかなか現実の問題として捉えることができず、何も湧いてこないかもしれません。
しかし、デザインのない人生のリスクは高いです。行ったこともない場所へ、地図なしで旅行をするようなものです。旅行ならそれも楽しいかもしれませんが、人生となるとそうはいっていられません。
筆者は、ライフプランニングのキャッシュフロー自体よりも「ライフデザイン」を描くことを重要視しています。
例えば、「離婚後は資格を取得して活躍したい」という夢を持っても、その夢を数字化して、資格の取得費、必要勉強時間、勉強中の生活費はどうするのか、起業するにはいくらお金がかかるのか、またランニングコストはいくらかかるのか。
ご相談者と1つひとつ調べて行きます。そうすることで、離婚後の人生への覚悟と準備ができてくるのです。
また、自分の人生のミッションも描いていただく場合もあります。離婚してからでも遅くないのかもしれませんが、シングルマザーは過酷です。離婚前にさまざま考え・検討し、自身のミッションを定めてからでも遅くないと思います。そのほうが、新たなスタートをしてからの勢いがつきます。
離婚という決断をしたときの、自分の気持ちと意思とを改めて見つめ直すところから始めても良いかもしれません。離婚はGOALでも目的ではありません。離婚してもしなくても、あなたが幸せになるための選択をしてください。
執筆者:寺門美和子
ファイナンシャルプランナー、相続診断士