片づけの美学⑲ 子どもと1年間のお片づけ
配信日: 2018.03.16 更新日: 2019.01.10
この1年の子どもの成長の証をスッキリ整理して、スムーズに新しい学年を迎えられるように、大人がリードしてあげましょう。
春休みは時間が取りやすいので、親子の時間を過ごすきっかけにもしてもらえたらと思います。
Text:奥野愉加子(おくの ゆかこ)
美学のある暮らし 代表
整理収納アドバイザー認定講師。(photo:キャラバンサライ)
奈良生まれ。大学では生活環境学部にて建築やインテリアを学び、英国インターンや建築設計会社勤務を経て、2011年より愛知県で結婚生活をスタート。長男出産後、夫の赴任で2年間のドイツ生活を経験。帰国後の現在は建築家デザインの家で暮らす、5歳と2歳の男児の母。子育てがひと段落したら、建築や暮らしに関連するような仕事をしたいと考え、「一般社団法人ハウスキーピング協会」の整理収納アドバイザーの資格を取得。認定講師として資格取得のための講座を定期的に主催している。
<美学のある暮らし>
不要なモノを取り除くだけではなく、もう1つの目的
この整理の目的として、もう使わないモノを決めて、捨てる・しまうことはぜひやっていただきたいことです。
そして、もう1つ目的が。継続して使うモノのサイズアウトや傷み、記名の有無をチェックする機会にもしたいですね。
子ども自身が発信してくれる場合、親は待っていればいいですが、子どもの性格や家庭環境で、発信しづらい場合もあると聞きます。例えば、持ち物にまったく無頓着な子。ほかにも、親に遠慮して新しいモノを買って、と言えない子など、さまざまなケースがあるようです。
例えお子さんが自己判断できるようでも、1年に一度くらいは、子どもの持ち物を一緒にチェックすることも、よいコミュニケーションになるのではないかなと思います。
学年末の整理はだれがするの?
子どもの持ち物なので、「子ども自身がやるべき」は当然だと思いますが、子どもの年齢によってかかわり方がずいぶん変わってきます。
幼稚園・保育園の未就学児や小学校低学年は、親が主体となって整理してあげる時期です。絵などの制作物は残しておく量で悩む人が多いですが、最初に無理をしてギリギリまで減らす必要はないと思っています。
そとてもうれしい子どもの成長の証ですから、保管スペースが許す限り置くこともいいと思います。
時間が経ち、色あせたなと思えるときに、お子さんと相談して量を減らせばいいと思います。時期がくれば、すっぱりと処分できるものです。
その後、小学校3年生くらいから、少しずつ子どもが主体となってモノの必要・不必要を判断していく練習をしていきましょう。教科書・ノート・学習で使ったプリント類やテスト。すべて残していては、小学校の6年間で大変な量になります。
すべて残すことが不可能だと少しずつ理解できてくると思うので、「この箱の中に入る分だけ残そうね」など促してあげてください。
お子さんがまず取捨選択して、その選択が後々困ったことにならないか、というチェックは大人の出番になると思います。
また中学生になったら、高校受験を見据えて教科書を残しておくという配慮も大切になります。中学1年生だと先のことが想像できず、あっさり捨ててしまう可能性もあります。
お子さんの主体性に任せつつ、「お母さんは中学生のときにこうした。」「お父さんはこうしたよ」と自分の経験を交えて、伝えてみるのも会話のよいきっかけになると思います。
春をきっかけに、個室や個人スペースを用意してあげる場合
学年が上がることをきっかけに、個室や個人スペースを用意してあげるのもいいですね。1番大切なのは、お子さんの希望を聞いてあげることだと思います。
家具選びから収納に至るまで、すべてを親が用意してあげたほうが、スペースの効率性や価格的にも収まりがよいとは思います。しかし、ここはグッと心構えをして、可能な限り子どもの希望どおりにしてあげてください。
希望どおりに個室やスペースを用意してもらえると、子どもは喜ぶでしょうし、管理も積極的にしてくれるはずです。
個室を自主的に整理整頓することも大いに期待できます。また「こうしたらもっと使いやすいかもしれない」などの試行錯誤をし始めるかもしれません。
私自身、両親が個室に干渉しなかったことが、整理整頓を好きになったきっかけだと思います。子どものころから自分の使い方次第で、効率的な空間を作れるという感覚が気に入っていました。
まとめ
子どもの年齢や成長によって、試してあげられることが違ってきます。皆さんのお子さんをよく見てあげて、その子の個性に合った適切な整理を一緒に取り組んで行ければ幸いです。
楽しくて有意義な春休みをお子さんと過ごしてください。
Text:奥野 愉加子(おくの ゆかこ)
美学のある暮らし 代表、 整理収納アドバイザー認定講師。(photo:キャラバンサライ)