更新日: 2022.02.07 住宅ローン
フラット35の「買取型」と「保証型」の違いは?わかりやすく解説
フラット35の買取型と保証型には、融資の仕組みのほか、商品内容や金利の傾向などに違いがあるため、特徴をしっかりと理解して検討する必要があります。
そこでここでは、フラット35の買取型と保証型の違いや、フラット35の特徴などを分かりやすくまとめました。フラット35を含めた住宅ローンの検討に、ぜひお役立てください。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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CFP(R)認定者、一級ファイナンシャルプラン二ング技能士(資産運用)
DC(確定拠出年金)プランナー、住宅ローンアドバイザー、証券外務員
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目次
フラット35とは?
「フラット35」は、住宅金融支援機構が提供する住宅ローンです。「フラット35」の対象は、申込者本人および親族などが住む住宅の取得資金です。投資用物件の取得には利用できません。
フラット35の最大の特徴は全期間固定金利型の住宅ローンである点です。変動金利型や固定金利期間選択型と異なり、金融情勢などにかかわらず、借り入れ時から返済完了まで一貫して金利が変化しません。借入期間は最長35年です。
また、保証人や保証料、繰上げ返済手数料が不要という特徴もあります。
フラット35は、住宅金融支援機構が直接ローンを貸し付けるのでありません。全国300以上の提携金融機関が、住宅ローン商品として利用者に提供するものです。そのため、金利や手数料は金融機関ごとに異なります。
フラット35には、次の2種類の融資の仕組みがあります。
●買取型
●保証型
フラット35の利用者は、フラット35を取り扱う金融機関から融資を受け、金融機関に借入金を返済します。この点は買取型も保証型も同じです。
買取型と保証型の大きな違いは、住宅金融支援機構と、フラット35の取り扱い金融機関との関係です。以下でそれぞれ説明します。
フラット35「買取型」の仕組み
買取型では、金融機関がフラット35として利用者に住宅ローンを貸し付けたあと、その住宅ローンの債権(返済してもらう権利)を住宅金融支援機構が買い取ります。
買取代金を受け取った金融機関は、さらにほかの利用者への貸付に資金を回せる仕組みです。利用者が返済したお金(元利金)は、金融機関を介して住宅金融支援機構が受け取ります。
住宅金融支援機構は、買い取った住宅ローンの債権を証券化して投資家に販売します。そして、その利益で再び提携金融機関から住宅ローン債権を買い取るのが一連のサイクルです。
住宅金融支援機構が発行した証券(不動産担保証券、MBS)を購入した投資家は、証券の元利金を受け取れます。しかし一方で、代位弁済や繰上げ返済に伴う投資元本の期限前償還の可能性を、リスクとして負うこととなります。
この仕組みにより買取型のフラット35利用者は、保証人や保証料、繰上げ返済手数料なしで住宅ローンを利用できるのです。
フラット35「保証型」の仕組み
保証型では、住宅金融支援機構は住宅ローン債権を買い取りません。代わりに、金融機関がフラット35として貸し付ける住宅ローンに「住宅融資保険(保証型用)」を付けます。 利用者が返済不能に陥った際には、金融機関に対する保証として保険金が支払われる仕組みです。
保証型では利用者が返済したお金は金融機関に渡るのみで、住宅金融支援機構はお金のやり取りに関わりません。
保証型のフラット35を取り扱う金融機関は買取型と比べて非常に少なく、2021年9月6日現在新規受付を行っているのは次の9機関だけです。
●日本住宅ローン
●アルヒ
●財形住宅金融
●広島銀行
●クレディセゾン
●住信SBIネット銀行
●愛媛銀行
●日本モーゲージサービス
●ファミリーライフサービス
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フラット35の買取型と保証型を比較
フラット35の買取型と保証型には、融資の仕組み以外にも違いがあります。買取型と保証型の主な相違点を、表1にまとめました。
表1
買取型 | 保証型 | |
---|---|---|
ローンの貸し方 | 金融機関⇒利用者 ※住宅ローン債権は住宅金融支援機構が買取り |
金融機関⇒利用者 ※住宅金融支援機構が保証 |
借入期間 | 15~35年 ※80歳-申込時年齢が35年より短い場合は80歳までの年数が上限 |
取り扱い金融機関により異なる |
融資金額 | 建設または購入価格+土地取得費を上限に100~8000万円 | 取り扱い金融機関により異なる ※借り換え時8000万円以下 |
保証料・繰上げ返済手数料 | 不要 | 保証料不要・繰上げ返済手数料は取扱金融機関により異なる |
団体信用生命保険の加入 | 任意 ※新機構団体信用生命保険制度の利用可 |
取り扱い金融機関により異なる ※新機構団体信用生命保険制度の利用不可 |
金利 | 全期間固定金利 ※利率は取り扱い金融機関、借入期間(20年以下、21年以上)、融資率(9割以下、9割超)、団体信用生命保険の種類などにより異なる |
全期間固定金利 ※利率は取扱金融機関により異なる。買取型より低いのが一般的 |
以下で、項目ごとに解説します。
ローンの貸し方
買取型も保証型も、利用者はフラット35取り扱い金融機関と住宅ローン契約を結び、借り入れ・返済を行う点は同じです。
異なるのは、買取型では住宅金融支援機構が住宅ローンの債権を金融機関から買い取る点です。買取型では返済金が利用者⇒金融機関⇒住宅金融支援機構の流れになるのに対し、保証型では利用者⇒金融機関となります。
保証型では住宅ローン債権の買取りが行われない代わりに、利用者が返済できなくなったときには住宅金融支援機構から金融機関に保険金が支払われます。
借入期間
借入期間は、買取型は下限が15年、上限が35年と85歳から借入時年齢を引いた年数のいずれか短いほうと定められています。保証型の場合は、住宅ローンを借りる金融機関ごとのルールによるため、金融機関に確認しましょう。
融資金額
買取型の融資金額は、住宅の建設費や購入金額、土地の取得代金を上限として、最低100万円、最高8000万円です。保証型は借入先の金融機関によって融資額の下限、上限は異なります。ただし借り換え時には、住宅取得時に借り入れた住宅ローンの借入額が8000万円以下であることがです。
保証料・繰上げ返済手数料
保証料は買取型、保証型のいずれもかかりません。買取型は住宅金融支援機構が発行した証券に投資した投資家が、返済不能時のリスクを負うため、保証型は住宅金融支援機構自身が保証を担うためです。
繰上げ返済時の手数料は、買取型では一切かかりません。保証型の場合は借入先金融機関のルールによるため、繰上げ返済手数料について事前に確認しておきましょう。
団体信用生命保険の加入
買取型は、団体信用生命保険に加入しなくても住宅ローンを利用できます。ただし、団体信用生命保険に加入せずに住宅ローンを組むと、利用者の病気や死亡で返済ができなくなったときも、返済義務はなくなりません。団体信用生命保険に加入したいときは、住宅金融支援機構が提供する「新機構団体信用生命保険制度」を利用できます。
保証型の場合、団体信用生命保険に加入しなければならないかどうかは、借入先の金融機関により異なります。団体信用生命保険への加入を必須としている金融機関もあるため、必ず確認しましょう。
金利
金利は、買取型と保証型のいずれも、借り入れから完済まで適用金利が変わらない「全期間固定金利」です。借入時の利率は金融機関により異なるため、比較したうえで借入先を決めるとよいでしょう。
また、一般的には買取型よりも保証型のほうが低い金利が設定されています。
フラット35「買取型」をおすすめする人
フラット35「買取型」は、どの金融機関でも基本的な商品内容は同じです。そのため、比較するポイントを金利や各種手数料、金融機関独自のサービスなどに絞りやすい点でメリットがあります。さまざまな金融機関を比較して最も条件の良いところで住宅ローンを組みたいと考えている人には、フラット35「買取型」が向いているでしょう。
また、フラット35「買取型」は、自己資金なしのフルローンでも利用できます。頭金がなかなか用意できずに住宅ローンを借りかねている人にとって、有力な選択肢となるでしょう。
ただし、フラット35は融資率が9割を超えると、融資率9割以下の場合と比べて適用金利が高くなります。返済の負担が重くなる可能性があるため、注意が必要です。また、融資率が9割を超えると、返済の確実性がより重要視されます。フルローンでの借り入れは審査のハードルが上がることを覚えておきましょう。
フラット35「保証型」をおすすめする人
フラット35「保証型」は買取型と違い、細かい商品内容も金融機関により異なります。団体信用保険も借入先金融機関の提供するものに加入することになるため、保証の内容を重視して住宅ローンの借入先を決めたい人に向いているでしょう。
また、買取型と比べて一般的に金利が低い点は、住宅ローン返済の負担を抑えたい人にとって、大きなメリットです。より低い金利で住宅ローンを組みたいなら、保証型をおすすめします。
このほか、借入額や繰上げ返済手数料なども金融機関によって異なるため、より多くの条件を精査して好条件の住宅ローンを選びたい場合にも、保証型のほうが合っているといえます。
フラット35のメリット4つ
フラット35の買取型と保証型に共通する主なメリットは、次の4つです。
●市場金利の変動による影響がない
●商品ラインナップが豊富
●保証人・繰上げ返済手数料が不要
●低年収でも審査に通りやすい
ほかの住宅ローンを借り入れしにくい人でも、フラット35であれば検討の余地があるかもしれません。
以下でメリットについて1つずつ解説します。
市場金利の変動による影響がない
「全期間固定金利」は、フラット35の大きな特徴です。融資が実行されたときに借入金利が確定し、返済が終わるまで一貫して変わりません。
変動金利型や一定期間を過ぎると変動金利に変わる固定金利期間選択型では、金融情勢の変化などにともない、金利が上昇する可能性があります。もちろん金利が下がる可能性もありますが、どちらに動くかは簡単に予測できるものではなく、リスクは大きいといえるでしょう。
その点、全期間固定金利型のフラット35であれば、借入時から金利が変わらないため、融資を受けた時点で返済額が確定します。
融資実行時に返済終了までの借入金利と返済額が確定します。返済額が自動的に下がることがない代わりに、返済額が上がって返済額が困難になることもありません。また、住宅ローンという大きな固定費の急な変動がないため、家計の見通しやライフプランも立てやすいでしょう。
金利動向に左右されずに安定して返済を続けたい人や、金利動向を常に注視するのが面倒だと感じる人にとっては、フラット35はメリットの大きい住宅ローン商品だといえます。
商品ラインナップが豊富
フラット35には、資金使途などに応じて、スタンダードなフラット35のほかにも次のような商品がラインナップされています。
■【フラット35】S
フラット35を利用して長期優良住宅をはじめ省エネルギー性、耐震性などの基準を満たす住宅を取得する際に、金利が一定期間引き下げとなる商品です。対象住宅の技術基準レベルに応じて「金利Aプラン」と「金利Bプラン」があり、金利の引き下げ期間が変わります。
■【フラット35】リノベ
フラット35を利用して中古物件購入とリフォームをする場合、もしくはリフォームされた中古物件を購入する場合に、条件を満たすと金利が一定期間引き下げとなる商品です。「金利Aプラン」と「金利Bプラン」があり、金利の引き下げ期間が異なります。
■【フラット35】地域連携型
地方公共団体と住宅金融支援機構が連携して、各団体の補助金などの支援制度の利用とセットで、一定期間金利が引き下げられる商品です。地方公共団体の移住支援金交付とセットになった、【フラット35】地方移住支援型もあります。
■家賃返済特約付き【フラット35】
返済が困難になった際に、一定の条件を満たせば返済期間の延長と返済額の減額を行ったうえで、住宅借上機関に賃貸して賃料を返済に充てる、という特約のついた商品です。
また、金融機関によってはフラット35をベースにした独自の商品をラインナップしている場合もあります。選択肢が多いため、ニーズに合う特徴をもつ商品を選びやすく、住宅ローンを快適に利用できるでしょう。
保証人・繰上げ返済手数料が不要
フラット35は、買取型も保証型も保証人を立てる必要がありません。
保証人には返済が困難になった際に代わりに返済する義務が生じるため、引き受けてくれる人を探すのは大変です。フラット35は保証人を立てずに利用できるため、誰かに頼む必要がありません。また、保証会社を利用しないため、保証料も不要です。
繰上げ返済手数料については、買取型は一切かかりません。返済方法の変更も手数料無料でできるため、借り入れから返済完了までにかかるコストを抑えられます。
保証型の場合は借入先によって手数料の規定が異なります。手数料無料の金融機関を選べば、費用をかけずに繰上げ返済が可能です。
※融資手数料や抵当権設定費用、物件検査手数料、火災保険料などの費用は別途発生します。
低年収でも審査に通りやすい
フラット35では、取り扱い金融機関とフラット35両方の基準に照らして審査が行われます。
一般的な住宅ローン審査で基準となるのは、主に次のような項目です。
●総返済負担率(年収に占める、住宅ローンとそれ以外のローンの年間合計返済額の割合)
●年収
●勤続年数
●年齢
フラット35を運営する住宅金融支援機構は、政府が出資する独立行政法人です。詳細な審査基準は公開していませんが、営利目的の民間金融機関と比べて審査は緩めだと言われています。
例えばフラット35の申込条件をみてみましょう。
●申込時の年齢が満70歳未満
●日本国籍の人、永住許可を受けている人、または特別永住者人
●総返済負担率が基準を満たす人
以上の3点のみで、一部の金融機関のような就業形態や年収などの要件はありません。
フラット35の基準では、年収400万円未満の人でも、返済負担率が年収の30%以下であれば申し込みができます。例えば年収300万円の人でも、ほかにローンの返済がなければ、2000万円以上の住宅ローンの申し込みも可能です(金利条件などによります)。
また、フラット35では住宅金融支援機構による住宅ローン債権の買い取りがあり、返済不能時にも住宅金融支援機構からの保証があります。そのため、金融機関の貸し倒れリスクが低いこともあり、こちらも審査は厳しくないといわれています。
フラット35は低年収でも申し込みやすく、審査にも比較的通りやすい住宅ローンと言ってよいでしょう。
買取型と保証型の違いを明確にしよう
フラット35には住宅金融支援機構が金融機関から債権を買い取る「買取型」と、住宅金融支援機構が債務不履行時の保証をする「保証型」があります。金融機関から住宅ローンを借り入れて金融機関に返済するという仕組みは変わらないため、利用者にとっては両者に大きな違いはありません。
ただし、買取型はどの金融機関で借りても商品内容がほぼ同じなのに対して、保証型は金融機関ごとに団体信用生命保険などの内容が異なります。また、保証型のほうが金利が低い傾向にある点も、重要な違いでしょう。また、保証型は取り扱い金融機関が非常に少ないことにも注意が必要です。
買取型と保証型の違いに加えて、フラット35に共通する特徴やメリットを理解して、ご自身のニーズに合うタイプを選択しましょう。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
監修:新井智美
CFP(R)認定者、一級ファイナンシャルプラン二ング技能士(資産運用)
DC(確定拠出年金)プランナー、住宅ローンアドバイザー、証券外務員
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