住宅ローンに仲介手数料は組み込める? 諸費用ローンとの違いも解説

配信日: 2022.03.15

この記事は約 13 分で読めます。
住宅ローンに仲介手数料は組み込める? 諸費用ローンとの違いも解説
住宅や土地の購入を検討する際に、高額な仲介手数料が必要なことを知って、驚いた人は多いでしょう。金額が大きいために、住宅ローンと一緒に借り入れたいと考える人も多いのではないでしょうか。
 
住宅や土地を購入した際の仲介手数料を住宅ローンに組み込めるかどうかは、金融機関や住宅ローン商品によって異なります。ここでは、住宅ローンに仲介手数料を組み込めるケースや、組み込む場合の注意点、仲介手数料のそのほかの支払方法をまとめました。また、仲介手数料の相場についても解説します。
 
住宅ローンの借入金額や仲介手数料の支払方法を検討している人、住宅ローンの諸費用について詳しく知りたい人は、ぜひ参考にしてください。
FINANCIAL FIELD編集部

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)

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住宅ローンに仲介手数料を組み込めるか

 
手元資金を減らさないために、住宅の取得や住宅ローンの借り入れにともなう仲介手数料やそのほかの諸費用に充てる資金を、住宅ローンに組み込んで借り入れたいと考える人は多いでしょう。住宅ローンに諸費用が組み込めるかどうかは金融機関によって異なるため、住宅ローンの借入時には注意して比較検討をすることが大切です。
 
一般にメガバンクと呼ばれるような大手銀行では、諸費用の支払いを住宅ローンの使途として認めていないケースが多く見られます。ただし、なかには諸費用の組み込みができる大手銀行もあり、金融機関によって扱いはさまざまです。
 
また、「不動産会社などとの提携ローンでは諸費用の組み込み不可」「借り換えの場合のみ諸費用の組み込み可」など、条件別に対応が異なるケースもあります。借入先や利用する住宅ローン商品を決めるときには、仲介手数料をローンに含められるかどうかに加えて、条件もしっかり確認しましょう。
 

金融機関によっては組み込み可能

 
住宅ローンを取り扱っている金融機関のうち、オンラインでの取引を専門とするいわゆるネット銀行の多くは、諸費用の住宅ローンへの組み込みが可能です。また、メガバンクのなかには、WEB申し込み専用の住宅ローン商品や、借り換え用の住宅ローン商品に限定して、諸費用の組み込みを認めているところもあります。
 
フラット35に関しても、物件の売買契約書や請求書、領収書などに記載がある場合には、仲介手数料などの諸費用も借り入れ対象となります。
 
注意したいのは、住宅ローンに諸費用を組み込める場合でも、金融機関やローン商品ごとに、組み込みが可能な諸費用の種類が違う点です。仲介手数料を組み込むつもりが組み込めずに慌てることのないよう、組み込める諸費用の範囲を事前に確認しておきましょう。
 
また、金融機関によっては、物件の取得費用相当額をオーバーして借り入れできる金額の範囲が決まっていることがあります。(例:売買契約金額・工事請負契約金額の105%まで、売買契約金額・工事請負金額+300万円までなど)物件の取得金額をいくらまで超えて借り入れできるのかも、あらかじめ確認しておくとよいでしょう。
 

年収に対して借入金額が少ない場合は可能

 
各金融機関は、年収に対する借入金額の倍率や、返済金額が年収や月収に占める割合などをもとに、融資できる金額の目安を設けているのが一般的です。そのため、年収によっては、諸費用を組み込むどころか、物件取得費用の一部しか融資を受けられないこともあります。
 
仲介手数料を住宅ローンに組み込める可能性が高いのは、住宅ローンの借入希望額と仲介手料の合計金額が、金融機関の定める目安よりも低い場合です。
 
反対に、諸費用を住宅ローンに組み込める住宅ローン商品でも、諸費用を含めた金額が年収に対して大きくなるほど、希望額で審査を通過するのが難しくなることに注意しましょう。
 

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住宅ローンに仲介手数料を組み込む時の注意点

 
住宅ローンへの仲介手数料やそのほかの諸費用の組み込みを検討する際には、借入総額が増加することや、オーバーローンになる可能性について注意する必要があります。なぜなら、場合によっては次のようなデメリットが生じるためです。

●オーバーローンにより金利が高くなる
●月々の返済額が上がる

以下で、2つのデメリットについて詳しく解説します。
 

オーバーローンにより金利が高くなる

 
仲介手数料などを組み込んだ結果、物件の取得にかかる金額以上の金額を借り入れる「オーバーローン」状態になると、金融機関によっては次のような対応を取ることがあります。

●諸費用分の借り入れに高い金利を適用する
●融資率が高くなることで高い金利が適用されるようになる

オーバーローンで融資を受けると、諸費用に充てる借り入れの部分のみ、金利を高く設定するケースがあります。こうなると、もとの住宅ローンの金利が低くても、トータルの金利負担は大きくなるでしょう。
 
また、借入総額から自己資金比率を引いた「融資率」が高くなると、適用金利が引き上がる金融機関もあります。融資率100%となるオーバーローンは、金利が高くなる可能性が高いため注意しましょう。
 
多くの金額を長期間借り入れることの多い住宅ローンの性質上、ほんの少し金利が上がっただけでも、返済総額の大幅な増加につながります。
 

月々の返済額も上がる

 
仲介手数料などを住宅ローンに組み込むと、毎月の負担が重くなることに注意しましょう。住宅資金だけを借りる場合と比べて借入額が大きくなり、その分返済額も上がります。
 
また、諸費用を住宅ローンに組み込めば、諸費用に対しても当然、金利が発生します。オーバーローンによる金利上昇の可能性もあわせて考えると、諸費用は無理に住宅ローンに組み込まず金利のかからない現金で支払うほうが、長期的な負担は大きく抑えられるでしょう。
 

仲介手数料を住宅ローン以外で支払う方法

 
住宅ローンに仲介手数料を組み込めない場合や、組み込まないことを選択した場合、仲介手数料を支払う主な方法には、大きく次の2種類があります。

●現金で支払う
●諸費用ローンを組む

手元の資金状況や、それぞれのメリット・デメリットを比較して、自分に合った方法を選択しましょう。
 
それぞれの方法について、以下で解説します。
 

現金で支払う

 
最もシンプルな方法は、仲介手数料に充てる資金を現金で用意しておいて、そこから支払う方法です。自分で資金を用意しておく方法であれば、金融機関の審査を介する必要がなく、住宅ローンの借入額や金利、返済総額に影響して返済の負担が増えることもありません。
 
ただし、物件購入時の手数料は数十~数百万円と高額になるケースが多いため、現金で支払うと、手元資金がその分減る点には注意が必要です。いざというときの備えを削らなくても支払えるよう、おおよその金額を確認したうえで、生活に必要な資金とは別枠で、余裕をもって準備しておきましょう。
 

諸費用ローンを組む

 
諸費用を組み込めない金融機関で住宅ローンを借りる場合や、諸費用込みの金額を借りられなかった場合などには、「諸費用ローン」を組む選択肢もあります。諸費用ローンとは、住宅ローン諸費用の支払いに資金使途を特化したローン商品です。多くの場合、同金融機関で住宅ローンを組む人を対象に提供されています。
 
諸費用ローンを利用する際に注意しなければならないのは、一般的に、住宅ローンと比べて金利が高く設定されて高く設定されている点です。場合によっては住宅ローンの2~4倍の金利のこともあり、返済の負担が重くなる可能性があります。
 
諸費用ローンの返済が終わるまでは住宅ローンとの2本立ての返済となるため、借り入れる前に、無理なく返済していけるかどうかを必ず確認しましょう。
 

住宅・土地購入時の仲介手数料の相場

 
住宅や土地を購入した際に発生する仲介手数料は、売り主との間で物件の売買契約を媒介した不動産会社に支払う成功報酬のようなものです。不動産会社がじかに販売する住宅や土地を購入した場合や、個人間で直接売買をした場合には、仲介手数料は発生しません。
 
不動産会社を介して住宅・土地を購入した際の仲介手数料は、宅建業法という法律にのっとって決められます。提示された仲介手数料が相場から外れていないかどうかを見極めるために、次の2つのルールについて理解しておきましょう。

●上限額が法律で定められている
●物件の価格に応じて金額が決まる

以下でそれぞれ説明します。
 

仲介手数料には上限が定められている

 
物件を購入した際の仲介手数料は、物件の売買価格に応じて一定割合を上限とすることが宅建業法で定められています。上限額の算出方法は、図表1のとおりです。
 
図表1

税抜の売買価格 仲介手数料の上限額
(a)200万円までの部分 売買価格の5.5%
(消費税抜5%)
(b)200万円超~400万円までの部分 売買価格の4.4%
(同4%)
(c)400万円を超えた部分 売買価格の3.3%
(同3%)

 
物件の売買金額に応じて(a)~(c)まですべてを計算し、合計した金額がその物件の仲介手数料の上限額となります。不動産会社が上限額を超える金額の仲介手数料を請求すると、法律違反です。そのため、図表1の割合に応じて計算した金額より高い仲介手数料がかかることはありません。
 

物件価格によって異なる

 
住宅・土地購入時の仲介手数料は、物件価格によって異なります。仲介手数料の上限は、物件の税抜売買価格を200万円まで、400万円まで、400万円超の3つに区切って、それぞれに応じた割合を掛けた金額を合計し、消費税10%を加えた金額です。不動産会社によっては、仲介手数料が税抜きで表示されていることもあります。消費税を計算に入れるのを忘れると、金額が10万円単位で違ってくる場合もあるため注意しましょう。
 
例えば、4000万円の物件を購入した場合の仲介手数料と消費税、税込みの仲介手数料は、次のように計算できます。

仲介手数料上限額(税抜き)=200万円×5%+200万円×4%+3600万円×3%=126万円
 
消費税=126万円×10%=12万6000円
 
仲介手数料上限額(税込み)=126万円+12万6000円=138万6000円

また、上のように売買金額を区切って1つずつ金額を求めて合計する方法は計算が複雑になるため、簡単に計算できる次のような速算式も用いられます。

●物件の売買価格が200万円超400万円まで⇒仲介手数料上限額(税込み)=(売買価格×4%+2万円)×110%
 
●物件の売買価格が400万円超⇒仲介手数料上限額(税込み)=(売買価格×3%+6万円)×110%

物件価格が400万円を超えている場合、税込みの仲介手数料は売買価格が100万円上がるごとに3万3000円、1000万円上がるごとに33万円上がる計算です。物件の購入価格ごとの仲介手数料の上限額の目安は、図表2のとおりです。
 
図表2

売買価格(税抜き) 仲介手数料の上限額(税抜き) 消費税額 仲介手数料の上限額(税込み)
1000万円 36万円 3万6000円 39万6000円
2000万円 66万円 6万6000円 72万6000円
3000万円 96万円 9万6000円 105万6000円
4000万円 126万円 12万6000円 138万6000円
5000万円 156万円 15万6000円 171万6000円
6000万円 786万円 18万6000円 204万6000円
7000万円 216万円 21万6000円 237万6000円
8000万円 246万円 24万6000円 270万6000円
9000万円 276万円 27万6000円 303万6000円
1億円 306万円 30万6000円 336万6000円

 
なお、ここで紹介している金額は上限額なので、不動産会社の契約条件によっては、これよりも仲介手数料が安いこともあります。

 

仲介手数料を支払うタイミング

 
不動産購入時の仲介手数料は、物件の売買契約が成立したときに支払義務が生じるお金です。一般的には、不動産売買契約を締結したときと、物件の引き渡し時の2回に分けて、半額ずつ支払うケースが多く見られます。ただし、どのタイミングで仲介手数料を支払うかは不動産会社によって異なるため、なかには物件の引き渡し時に一括で支払うパターンもあります。
 
いつ支払うことになっても困らないように、不動産会社に仲介を申し込む時点で、資金のめどが立っていると安心です。
 

ローンでも一時的に現金が必要な場合も

 
不動産売買契約の締結時に仲介手数料の半分を支払うパターンでは、仲介手数料を住宅ローンに組み込んで借りる場合でも、一時的に自己資金で仲介手数料を負担しなければならない可能性があります。なぜなら、住宅ローンの融資実行日(借入金が振り込まれる日)は一般的に、購入代金を決済して物件が引き渡されるその日だからです。
 
不動産売買契約を締結するタイミングは当然、物件の引き渡しよりも前なので、その時点では住宅ローンの借入金が振り込まれていません。そのために、手元の現金から仲介手数料を支払う必要が生じます。
 
不動産売買契約の締結までに現金を用意するのが困難な場合でも、住宅ローンの融資実行のタイミングを、物件の引き渡し日よりも早めるのは難しいでしょう。物件が引き渡されて買い主が所有者として登記されるまでは、金融機関が物件に抵当権を設定できないためです。
 
どうしても現金で支払えない場合は、不動産会社に、物件の引き渡し時に仲介手数料を一括で支払えないか相談してみましょう。
 

仲介手数料の値引きや無料に注意

 
物件購入時の仲介手数料は、住宅取得にかかる諸費用のなかでも、最も高額な部類のものです。そのため、できるだけ金額を抑えたいと考える人は多いでしょう。
 
しかし、不動産会社が仲介手数料の「無料」や大幅な「値引き」をうたっている場合に、すぐに飛び付くのは得策ではありません。何か裏がある可能性もあるため、仲介手数料が安くなる理由を確認し、納得したうえで依頼をすることが大切です。
 
また、なかには仲介手数料の値引き交渉に応じてもらえるケースもあります。しかし、仲介手数料は不動産売買の媒介にかかる不動産会社のコストに対して、法律に基づいた価格で請求される費用です。コストを削って行き届かない対応をされる可能性を考えると、むやみな値引き交渉は控えたほうがよいと言えます。
 
なお、以下のようなパターンで物件を購入した場合は、仲介手数料は発生しません。

●売り主・販売元が不動産会社の物件を購入する
●個人間で物件を直接売買する

しかし、不動産関係の権利などは複雑なため、個人同士での売買では思わぬトラブルが生じることがあります。高額な金銭が絡む取引でもあるため、可能であれば仲介手数料を負担してきちんとプロに対応してもらうほうが安心です。
 

住宅購入時は仲介手数料のことも考えよう

 
住宅や土地を購入するときには、物件の取得費用のほかに、仲介手数料や登記に関わる費用、住宅ローンの借り入れにともなう手数料などの諸費用が必要となります。中でも仲介手数料は金額が大きくなる場合が多いため、あらかじめ金額の計算方法や物件の購入金額ごとの目安金額、支払いのタイミングを確認しておきましょう。そのうえで、自己資金から負担できるのか、負担できない場合はどうやって支払うのかを検討しておく必要があります。
 
仲介手数料の支払方法には、現金での支払いのほか、住宅ローンに組み込む方法や、諸費用ローンなどを利用して別途ローンを組む方法があります。手元の資金の状況や各方法の特徴を考慮して、自分に合った支払い方を選択することが大切です。
 
出典
国土交通省「昭和45年建設省告示第1552号(宅地建物取引業者が宅地又は建物の売買等に関して受けることができる報酬の額)」
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部

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