年収900万円でも使える国の教育ローンがある? その要件とは?

配信日: 2022.03.18

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年収900万円でも使える国の教育ローンがある? その要件とは?
子どもの進学費用が足りない場合、奨学金や国の教育ローンの利用を考える人は多いと思います。
 
しかし、それらの奨学金や国が行っている教育ローンは所得の基準が設けられており、一定以上の所得がある場合はなかなか利用することができないのが実情です。
 
ただ、なかには要件を満たすことで、年収900万円でも国の教育ローンを利用できる場合があります。ではその要件とはどのようなものなのでしょうか。
新井智美

執筆者:新井智美(あらい ともみ)

CFP(R)認定者、一級ファイナンシャルプラン二ング技能士(資産運用)
DC(確定拠出年金)プランナー、住宅ローンアドバイザー、証券外務員

CFP(R)認定者、一級ファイナンシャルプラン二ング技能士(資産運用)
DC(確定拠出年金)プランナー、住宅ローンアドバイザー、証券外務員

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国の教育ローンとは?

国の教育ローンとは、日本政策金融公庫が提供している「教育一般貸付」といわれるもので、比較的低金利で借りることができます。
 
受験前でも申し込めることから、入学時にかかる費用を工面することができるほか、奨学金との併用も可能です。
 
また、幅広い用途にも対応しており、例えば学校に通うための定期券代や、授業に必要なパソコンの購入費用についても、貸し付けの対象となっています。
 

■融資の対象となる学校とは

国の教育ローンの融資対象学校は、かなり幅広く設定されています。
 
原則として修業期間が6ヶ月を超える学校で、中学校を卒業した人を対象にした教育施設が対象です。具体的に対象となる学校としては、以下のようなものがあります。

●大学、大学院(法科大学院含む)、短期大学
●専修学校、予備校、デザイン学校など
●高等学校、高等専門学校、特別支援学校の高等部
●海外の高等学校、短期大学、大学、大学院、語学学校
●職業能力開発校などの教育施設

 

■融資額やその他の条件

融資額は子ども1人あたり350万円までとなっていますが、一定の要件を満たす場合は450万円まで緩和されます。
 
この場合の一定の要件とは、以下のいずれかに該当する場合です。

●自宅外通学である
●修業期間が5年以上の大学(夜間を除く)
●大学院
●修業期限3ヶ月以上の海外留学

また、適用される金利は2021年11月1日時点で年1.65%の固定金利です。固定金利ですので、返済計画が立てやすい点も魅力といえます。
 
さらに、ひとり親で世帯年収(所得)が200万円(132万円)以下などに当てはまる場合は、2021年11月1日時点で金利年1.25%と優遇を受けることもできます。
 
返済期間は最長15年です(家庭の事情によっては最長18年まで優遇あり)。
 

世帯収入の上限額

国の教育ローンを利用するためには、世帯収入が上限金額以下でなければなりません。上限金額は子どもの数によって決まっており、その金額は図表1のとおりです。
 

 

■子どもの数が2人までの場合は緩和要件がある

このように、子どもの人数によって世帯収入(所得)の上限金額が設定されていますが、子どもの数が2人までの場合であれば、世帯年収(所得)金額が990万円(790万円)まで緩和されるケースがあるのです。
 

子どもが2人以内の緩和要件

また、子どもが2人以内であっても、以下の要件のいずれかに当てはまれば、世帯年収(所得)金額が990万円(790万円)まで緩和されます。

1.勤務年数もしくは営業年数が3年未満である
2.居住年数が1年未満である
3.世帯の誰かが自宅外通学者(予定も含む)である
4.借り入れを申し込む人もしくはその配偶者が単身赴任である
5.資金使途が海外留学資金である
6.借り入れを申し込む人の総返済負担率が30%を超える
7.親族に要介護(要支援を含む)認定を受けている人がおり、その介護費用を負担している
8.大規模災害による被災者
9.新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、世帯収入が減少した

全部に当てはまる必要はなく、このうちのどれかに当てはまれば対象となりますので、自身が対象となるかどうか確認してみましょう。
 

まとめ

奨学金や国の教育ローンは、低金利で借りることができることが魅力ですが、所得制限が設けられているケースがほとんどです。
 
かといって銀行の教育ローンは金利が高く、利用にあたって抵抗を感じる方もいらっしゃるのではないでしょうか。
 
今回紹介したように、子どもの人数にもよりますが、年収が990万円であっても、要件を満たせば国の教育ローンを利用できます。
 
日本の所得税は累進課税制度を取っているため、年収1000万円程度の世帯は税負担が多く、実際の手取り額はかなり少ないと感じている人もいらっしゃるのではないでしょうか。
 
さらに住宅ローンの返済を抱えているなどであれば、子ども教育費の捻出は悩ましい問題です。
 
所得制限が設けられているから利用できないと始めから決めつけるのではなく、要件を満たすことで高収入の人でも利用できる支援制度はあります。
 
これを機に、所得制限の緩和要件のある支援制度などを探してみましょう。利用できないと思っていても、実際は利用できる制度が見つかるかもしれません。
 
出典
日本政策金融公庫 教育一般貸付(国の教育ローン)
 
執筆者:新井智美
CFP(R)認定者、一級ファイナンシャルプラン二ング技能士(資産運用)
DC(確定拠出年金)プランナー、住宅ローンアドバイザー、証券外務員

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