更新日: 2022.03.28 その他ローン
借金の金額の上限は、年収のどれくらい?
しかし、多くの借金を抱えれば、返済が難しくなり借金を減らすことができなくなります。借金が減るどころか膨らみ続けることになれば、最終的に自己破産などの救済措置が必要になるでしょう。そのような事態を防ぐために、法律では借金ができる基準を設けています。
今回は、借金の金額の上限について解説をします。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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借入総額を制限する総量規制
貸金業者が守らなければいけない法律として、貸金業法があります。
貸金業法では、一般的に無許可で貸し付けをする貸金業者、あるいは許可があるけれども法で定めた上限金利以上の金利で貸し付けをする貸金業者の存在が社会的な問題となったことから、2010年に法改正が行われました。改正された貸金業法では、総量規制が設けられ借入総額が年収の3分の1を超える金額になれば、新たな借り入れをすることはできません。
貸金業者は、どのようにして借り手の借入総額を把握するのかというと、個人信用情報で確認が行われます。
個人信用情報とは、クレジットカードやローンの契約・申し込みに関する個人の情報です。個人信用情報に記録されるのは、氏名・生年月日・電話番号に加えて、クレジットカードやローンを申し込んだ会社の名前や日付、利用した日時、過去に起こした金融事故といった情報です。
個人信用情報を扱う個人信用情報機関には、加盟している金融機関・貸金業者・クレジットカード会社から情報が集まります。そのため、今まで利用したことのない貸金業者に申し込んだとしても、個人信用情報の照会により他社からの借り入れで総量規制を超えているかどうかを把握できます。
貸金業者では、個人信用情報以外にも申込時に提出する年収を証明する書類でも、総量規制の範囲内であるのかを確認します。
自己申告であれば、他社からの借り入れを隠して申し込むことができると思われるでしょうが、個人信用情報で虚偽の申告はわかるのでやめておきましょう。貸金業者の審査では、信用が重要視されます。虚偽の申告をするような人間は信用ができないと判断され審査に落ちる可能性が高いです。
総量規制の対象とならない借金
借入総額が年収の3分の1を超えてはいけないという総量規制ですが、住宅ローンや自動車ローンを利用している人は上限を超える借入総額になっています。
そのような借金ができる理由は、第一に貸金業法は貸金業者を対象としている法律であり、住宅ローンや自動車ローンの貸し手である銀行や信用金庫などの金融機関は対象外であるためです。銀行であれば銀行法、信用金庫であれば信用金庫法という法律で総量規制を設けなければいけません。
第二に住宅ローンと自動車ローンは、総量規制の対象外となっているためです。
総量規制の対象外となる貸し付けには除外貸し付けと例外貸し付けという2種類があります。除外貸し付けは総量規制の目的になじまないとされるもので、住宅ローン・自動車ローンの他にも、高額医療費の貸し付け、有価証券を担保とする貸し付け、不動産を担保とする貸し付け、売却される不動産の代金を返済に充てる貸し付けなどです。
次に例外貸し付けとは、貸金業法で「個人顧客の利益の保護に支障を生ずることがない契約」と定められており、借り手に一方的に有利となる借り換えや緊急で必要となった医療費を支払うための貸し付けなどが該当します。
なお、例外貸し付けは、総量規制を超えても借り入れができるということですが、除外貸し付けとは違って借りた金額は借入総額に含まれます。そのため、例外貸し付けで年収の3分の1を超えてしまったときには、一般的な借り入れを新たにすることはできません。
もし、総量規制の対象外とならない貸し付けであるにもかかわらず、貸し付けるという貸金業者を見つけても連絡を取らないようにしましょう。違法な金利での貸し付けや借り手の個人情報を転売する闇金業者の可能性があります。
闇金業者を利用すれば、強引な手法で財産を取られたり、危害を加えられたりする恐れもあり危険です。警察や弁護士の力を借りても、無事に解決できないこともあります。どれだけ困窮していても闇金業者に関わるべきではありません。
無理なく返済できるように借り入れをしよう
貸金業者から借金をする場合、貸金業法の総量規制により年収の3分の1を超える借り入れはできません。
人によっては上限があることが煩わしいと思うかもしれませんが、他ならぬ借り手の生活を守るための規制です。お金に困っていたとしても、決して闇金業者のように借り手を食い物にする存在には近づいてはいけません。
借金は健全な貸し手を選び、無理なく返済できる範囲かつ総量規制を超えない程度にしましょう。
出典
金融庁 貸金業法Q&A
日本貸金業協会 総量規制が適用されない場合について
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部