更新日: 2022.06.01 教育ローン
奨学金を滞納した場合、督促はどのように行われる? 延滞金はどのくらいかかる?
日本学生支援機構の奨学金は、返済不要の給付型と返済が必要な貸与型に大別され、貸与型はさらに無利子の第一種奨学金と有利子の第二種奨学金があります。貸与型奨学金は返済が滞った場合、重大な事態を引き起こす可能性があります。
執筆者:菊原浩司(きくはらこうじ)
FPオフィス Conserve&Investment代表
2級ファイナンシャルプランニング技能士、管理業務主任者、第一種証券外務員、ビジネス法務リーダー、ビジネス会計検定2級
製造業の品質・コスト・納期管理業務を経験し、Plan(計画)→ Do(実行)→ Check(評価)→ Act(改善)のPDCAサイクルを重視したコンサルタント業務を行っています。
特に人生で最も高額な買い物である不動産と各種保険は人生の資金計画に大きな影響を与えます。
資金計画やリスク管理の乱れは最終的に老後貧困・老後破たんとして表れます。
独立系ファイナンシャルプランナーとして顧客利益を最優先し、資金計画改善のお手伝いをしていきます。
給付型は利用条件が厳しかった
経済的理由で進学ができない場合、奨学金はひとつの選択肢となります。
現在は新制度に切り替わり、成績だけではなく「学ぶ意欲」も重視され、以前よりも返済不要の給付型奨学金も利用しやすくなっていますが、2020年4月1日以前は、返済不要の給付型奨学金は世帯収入と学業成績による基準が定められてハードルが高かったため、貸与型奨学金を選択することも多くありました。
旧制度で給付型が利用できず貸与型を利用している場合は、以後計画的に返済を進めて行く必要があります。
奨学金の返済を滞納してしまった場合の督促とデメリット
奨学金の返済は長期間に及ぶため、失業や転職などによって収入が減少すると奨学金の返済が滞ってしまうこともあります。
日本学生支援機構の貸与型奨学金では一般に約束の期日に返済金の入金が行われなかった場合は、まず電話や手紙などによる督促が行われます。督促の段階で返済を再開できればよいのですが、対応が困難であったり督促を無視したりすると延滞金が発生します。
延滞金は、返済が滞っている賦課金に対して年利3%(2020年3月28日以降)の割合で延滞金が発生するため、返済を滞納してしまうほど多額の延滞金を負担することとなり、奨学金の返済が難しくなっていってしまいます。
延滞がおよそ3ヶ月に及ぶと契約者本人に「個人信用情報機関への登録について」の通知が届き、奨学金延滞の金融事故情報の登録が行われます。この個人信用情報機関に延滞に関わる事故情報が登録された場合、クレジットカードの作成や各種ローン契約の利用が難しくなってしまいます。
また、信用情報機関への登録は延滞を解消したとしてもすぐには抹消されず、事由解消後5年間は事故情報が保持されています。各種ローンの利用が困難となると、携帯電話の分割購入やカーローン・住宅ローンの契約が基本的に行えなくなるため、日常生活や人生設計に大きな影響を及ぼしてしまうことになります。
さらに滞納が続くと、連帯保証人や保証機関(日本国際教育支援協会)などが返済を肩代わりする「代位弁済」へと移行し、代位弁済を行った債権者から一括返済を求められる恐れがあります。
この一括返済にも応じないと簡易裁判所からの支払督促が行われ、裁判所で債権者との返済計画を協議することになりますが、仮にこの支払督促に応じなかった場合は財産や給与の差し押さえへと至ります。
まとめ
奨学金は自己資金では教育資金が不足する場合に、資金を工面するための選択肢のひとつですが、返済が滞って督促されてしまうとやがて個人信用情報機関へ金融事故として登録されてしまいます。
そうするとクレジットカードの作成や住宅ローンなど各種ローン契約が利用できなくなり、人生設計への影響を来す恐れもあります。
また、滞納が続くと、一括返済の請求や訴訟や財産・給与の差し押さえへと進み、生活の立て直しが次第に難しくなっていってしまいます。返済が難しい場合は日本学生支援機構に滞納が生じる前に返済計画の相談を行うようにしましょう。
執筆者:菊原浩司
FPオフィス Conserve&Investment代表