更新日: 2023.06.29 その他ローン

もうすぐ定年退職なのに住宅ローンが残っている! これからできる対策とは?

執筆者 : 蟹山淳子

もうすぐ定年退職なのに住宅ローンが残っている! これからできる対策とは?
マイホーム購入のとき、70歳、80歳まで返済が続く住宅ローンを借りる方も少なくありません。しかし、定年退職を迎えて収入が年金だけになった後に、住宅ローン返済を続けるのは簡単ではありません。
 
借りるときは繰り上げ返済をするから大丈夫と思っていたのに、思ったように繰り上げ返済が進まず、気がつけば定年退職が目前に迫ってきた……このようなタイミングでも実行できる対策はあるのでしょうか。一緒に考えてみましょう。
蟹山淳子

執筆者:蟹山淳子(かにやま・じゅんこ)

CFP(R)認定者

宅地建物取引士、住宅ローンアドバイザー
蟹山FPオフィス代表
大学卒業後、銀行勤務を経て専業主婦となり、二世帯住宅で夫の両親と同居、2人の子どもを育てる。1997年夫と死別、シングルマザーとなる。以後、自身の資産管理、義父の認知症介護、相続など、自分でプランを立てながら対応。2004年CFP取得。2011年慶應義塾大学経済学部(通信過程)卒業。2015年、日本FP協会「くらしとお金のFP相談室」相談員。2016年日本FP協会、広報センタースタッフ。子どもの受験は幼稚園から大学まですべて経験。3回の介護と3回の相続を経験。その他、宅地建物取引士、住宅ローンアドバイザー等の資格も保有。

現状を分析してみよう

(1) 借りている住宅ローンを調べましょう

まず、自分が借りている住宅ローン返済が定年退職時にどのくらい残っているのか、次の項目を確認しましょう。
 

●退職時の住宅ローン借入残高
●年間の返済額と残りの返済年数
●住宅ローンの利率

 
もし、借りている住宅ローンの利率が2~3%代以上で、他の金融機関で今より1%以上低い住宅ローンに借り換えられるなら、返済の負担が減る可能性があります。
 
ただし、借り換えには諸費用がかかるので、しっかりシミュレーションしながら検討する必要があります。一般的な目安として、借入残高1000万円以上、残り返済期間が10年以上であれば、借り換えの効果が期待できるかもしれません。
 
借り換えを検討する場合は、できるだけ早く始めましょう。また、現在借りている金融機関に金利を下げてもらえるよう交渉する手段もあります。
 

(2) これからの収入を予想する

次に、退職後の収入がどのくらいになるか予想します。
 
50~59歳に送られる「ねんきん定期便」には、今と同じ収入で60歳まで働いた場合に受け取れる年金額が記載されています。定年後も再雇用などで働き続ける場合はその収入も予想して、年齢ごとの収入と住宅ローン返済額を1つの表にまとめてみると分かりやすいと思います。定年退職後も住宅ローン返済を続けていけそうか検討してみましょう。
 

(3) 貯蓄額と退職金の予想額を調べます

貯蓄や株、債券などの金融資産を調べます。退職金の金額も予想もできるようなら、資産額との合計を出して退職時の住宅ローン借入残高を上回っていれば、ひと安心です。繰り上げ返済を検討するのもよいでしょう。
 
ただし、退職金で完済するのはあまりお勧めできません。住宅ローンには団信の保障が付いています。完済して貯蓄が大きく減った後に、住宅ローンを借りていた人に万一のことがあったらマイホームは残りますが、その後の生活費に困るかもしれません。返済を続けていれば、死亡時に借入残高が団信で保障され、完済するより貯蓄を残すことができます。
 
貯蓄額と退職金の合計が住宅ローン借入残高に足りていない場合も、金利負担や老後の生活資金を総合的に考えて、できるだけ無理なく返済を続けていけるような繰り上げ返済を検討してみましょう。
 

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家計の見直しをしましょう

退職前に必ずやっておきたいのが家計の見直しです。退職後は収入が減りますから、これまでと同じお金の使い方では、家計収支の悪化は避けられません。家計改善の方法は「収入を増やす」「支出を減らす」の2つです。それらを組み合わせて、返済を続けられる方法を探ります。
 
定年後に収入を増やす方法としてもっともお勧めできるのは、働ける間は働いて収入を得ることです。例えば、月10万円でも5年働けば600万円です。また、厚生年金に加入しながら働けば、受け取れる年金も増えます。
 
資産運用をしてお金を増やそうと考える人がいるかもしれませんが、資産運用に慣れていて着実に実績を上げてきた人以外はお勧めできません。
 
支出を減らす方法は、地味ですが無駄な支出を削っていくことです。子どもたちが成長して教育費の支出がなくなった後で、ついついお金を使い過ぎていないでしょうか。
 
退職後の収入を予想し、基本的生活費はその範囲で賄える家計にスリム化するのが理想です。支出を急に減らすのは大変なので、早めに少しずつ減らして、ソフトランディングできるようにしましょう。
 

家計改善しても無理な場合の対策

(1)住み替え

子どもたちが独立し、大きな家は不要になっているのであれば、思い切ってマイホームを手放し、コンパクトな住宅に住み替えることを検討してみましょう。通勤がなくなれば、希望する立地条件も変わってくるでしょう。駅近でなくても買い物や通院に便利で、終の棲家として住みやすい家を探すことで、新しいライフプランを見つけられるかもしれません。
 

(2)リバースモーゲージ

リバースモーゲージとは、マイホームを担保として融資を受け、生きている間はそこで暮らしながら利息のみを払い、死亡後に住宅を売却して元本を返済するシニア向けローンです。ただし、リバースモーゲージの融資額は売却する場合より低くなることを理解しておきましょう。
 
なお、利用できる住宅には金融機関ごとに条件があり、マンションでは利用できないことがあります。子どもがいる場合は相続の問題があるかもしれないので、家族でよく相談してから決めましょう。
 

(3)リースバック

リースバックとは、マイホームを売却した後も家賃を払いながら住み続けることができる仕組みです。リースバックを利用して住宅ローンを完済できれば、取りあえずはそのまま住み続けることができます。ただ、リースバックでは定期借家契約が結ばれることが多く、契約更新の際に継続を断られる可能性があるので、一生住み続けられる保証はありません。
 
また、住宅ローン返済額よりリースバックの家賃が低いとしても、家賃をずっと払い続けなければなりません。住宅ローン返済がなくなったことでホッとして、ついお金を使いすぎてしまったら、貯蓄がつきて家賃が払えなくなることも考えられるので注意が必要です。
 

対策は早めに

定年退職後も住宅ローン返済が続き、老後の負担になることが予想される場合は、できるだけ早く対策を講じることが重要です。先延ばしにするほど対策の選択肢は数が少なくなっていきます。まずは自分の借りている住宅ローンのこと、貯蓄のこと、退職金のこと、年金のことなどを確認しましょう。
 
執筆者:蟹山淳子
CFP(R)認定者

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