生活が苦しくて、毎月の奨学金が返済できそうにありません。救済策はありますか?
配信日: 2023.09.22
社会人になって返済を始めたものの、生活が苦しくて返済が行き詰まったと悩む方も珍しくありません。このような場合、どうすればいいのか分からずに督促が来るまで放置してしまうケースもあります。
本記事では、奨学金が払えなくなった場合の対処法や、払えないまま放置しておく危険性を解説します。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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奨学金が返せないとどうなる?
奨学金には給付型と貸与型があり、貸与型は返済義務があります。つまり、借金と同じです。銀行などの金融機関からの借金より金利が低く、毎月の返済額も少額に抑えられますが、それでも生活が苦しくて返済に行き詰まるケースが珍しくありません。
本項では、奨学金の返済が滞った場合のペナルティやリスクについて解説します。
延滞金が課される
期日までに奨学金の返済を行なえないと、遅延金が発生します。独立行政法人日本学生支援機構の場合、年3%の遅延金が課せられます。遅延金の割合は奨学金を貸与する団体によって異なりますが、返済が滞る期間が長くなるほど遅延金もふくらんでいくのは同様です。
遅延金がふくらめば、いくら返済しても利息を払うのに精一杯で、元本が減らなくなり、完済も難しくなります。
信用情報に傷がつく
信用情報とは、クレジットカードの利用履歴やローンの利用歴などを記載した記録です。貸与型の奨学金も借金の一種なので、利用履歴が信用情報に登録されます。
信用情報は住宅ローンやカーローンを利用する場合や、新しくクレジットカードを作る際などに、金融機関が審査に利用します。返済が滞っていることが分かれば、審査に通りにくくなるでしょう。そうなれば、新しくクレジットカードも作りにくくなります。さらには将来の住宅ローンの借り入れにも影響があるかもしれません。
訴訟や差し押さえに発展する恐れもあり
日本学生支援機構の場合、返済金の遅滞が生じると督促を行います。督促は電話と文書で行われ、本人だけでなく保証人と連帯保証人の両方にも督促が行くため、奨学金の返済が滞っていることが親族などに知られてしまいます。
督促を無視していると、「支払い能力があるにもかかわらず返還を著しく怠った」と判断され、奨学金の一括請求が行われます。この際、督促にかかった費用も返済者が負担しなければなりません。したがって、返済していない分の奨学金に、督促にかかった費用がプラスされる上、一括で返済しなければならなくなります。
それでも支払いに応じない場合は、裁判所に督促の申し立てや、「仮執行宣言付支払督促申立」が行われます。さらにその申し立ても無視した場合に行われるのが強制執行です。
強制執行が行われれば、給与を含む財産が裁判所の権限で差し押さえられます。ここまで行われるケースはまれですが、奨学金の返済は逃れられません。
奨学金が払えない場合の対処法
貸与型奨学金は返済を約束して借ります。しかし、「就職した会社でうまくいかなかった」「会社が倒産した」「病気になって退職せざるを得なかった」などの理由で、奨学金が払えなくなるケースは決して珍しくありません。
本項では、奨学金の支払いがどうしてもできなくなった場合の対処法を紹介します。
1人で悩まず相談する
日本学生支援機構をはじめとして、奨学金を貸与している団体は返済が難しくなる方が一定数、生じることを想定しています。そのため、支払いが滞った場合の救済策もきちんと考えているため、支払いが厳しい場合は、まず、奨学金を借りている団体に相談をしましょう。
また、突発的にまとまったお金が必要になり、「今月は支払いが厳しい」といった場合は、もし、親や祖父母、親族などに頼れるなら一時的な借入金のお願いをしてみましょう。できればカードローンからお金を借りるのは避けたいものです。借金を返すために別の場所で借金をすることになり、やがて自転車操業におちいります。
返済猶予制度を利用する
日本学生支援機構では、返済が難しい場合は「返還期限猶予」の申請をすることで、支払いを一時的に待ってもらえます。延滞が始まった年月から1年ごとに「猶予申請書類」を提出し、審査を受ける必要がありますが、遅延金などはつかず、督促も来ません。
「会社が倒産して収入がとだえた」「介護のために離職をした」などの正当な理由があれば、返済の猶予を受けられる可能性が高いでしょう。
他の団体から奨学金を借りている場合は、その団体に似たような制度がないか問い合わせてみましょう。場合によっては返済期間を長期間延期してもらうことも可能です。
奨学金が返せない場合は1人で悩まずに相談することが大切
奨学金を返せなくなれば、不安になったり恥ずかしさを覚えたりするでしょう。しかし、奨学金の種類によっては、返済期間が10~20年になる場合もあります。この期間にライフスタイルが変わり、経済的に返済が難しくなるケースは決して珍しくありません。
日本学生支援機構をはじめ奨学金を給付・貸与している団体は、そのことを見越して救済策も立てています。1人で悩まず各機関に相談してください。
出典
独立行政法人 日本学生支援機構 令和2年度学生生活調査結果
独立行政法人 日本学生支援機構 返還が難しくなった場合
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー