手取り15万円ですが、奨学金の返還が「400万円」で厳しいです。返還を猶予してもらうことはできるのでしょうか…?
配信日: 2023.11.18
本記事では、返還が厳しい際に利用できる救済制度について解説するので、気になる人は参考にしてみてください。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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制度には主に2つの方法が存在している
日本学生支援機構が用意している救済制度には、減額返還制度と返還期限猶予制度の2つの方法があります。利用できるのは経済困難・失業・病気・災害などで月々の返還が困難になった場合であり、そのような状況であっても延滞せずに計画的に返還できるようにするのが目的です。
経済困難事由で活用するためには、それぞれに定められている収入などの基準を満たさなければいけません。収入などの基準については図表1を参考にしてみてください。
図表1
給与所得 | 給与所得以外の所得がある | |
---|---|---|
減額返還 | 年間収入金額 325万円以下 | 年間収入金額 225万円以下 |
返還期限猶予 | 年間収入金額 300万円以下 | 年間収入金額 200万円以下 |
独立行政法人日本学生支援機構 減額返還・返還期限猶予リーフレットを基に作成
それぞれの条件を満たしていて返還が厳しいと感じている場合、返還延滞をしてしまう前に決められている手続きをするのがおすすめです。仮にすでに延滞している場合は延滞が解消されるまで減額返還制度は使えなくなるため、延滞しないように注意しましょう。
減額返還制度について
減額返還制度では月々の返還を1/2か1/3に減らせる制度ですが、1/2に減額した場合は返還期限が2倍になって、1/3に減額した場合は返還期限が3倍になります。注意点としては、利息を含む返還予定総額は変動しない点です。
また、申請については1年ごとに願出する必要があり、最長で5年分の返還金額を15年で返還することになります。
返還期限猶予制度について
返還期限猶予制度は月々の返還を先延ばしできる制度なので、先延ばしにしている間は返還が発生しません。こちらも同様に利息を含む返還予定総額は変わりません。申請については1年ごとに願出でき、申請を忘れてしまうと返還が再開される点は把握しておきましょう。
どちらの制度を利用しても返還予定総額に変わりはないため、まずは計画的な返還を継続することが推奨されます。つまり減額返還制度を先に利用して返還を続けながら、それでも返還が厳しい場合には無理せずに返還期限猶予制度を利用するという形です。
それぞれの制度の申込方法とは?
減額返還制度と返還期限猶予制度どちらもスカラネット・パーソナルか郵送で願出できます。インターネットから願出するにはマイナンバーを提出している必要があるため、提出していないと郵送で願出しなければいけません。
スカラネット・パーソナルでは返還残高の確認や各種手続きがおこなえるので、登録しておくと便利でしょう。また、願出する理由によっては証明書などの添付が必要となります。
また、先述したように制度を利用するためには毎年願出をしなければならず、決められた期日までに忘れないように各種準備をするのが大切です。
まとめ
奨学金は借りた金額によって毎月の返還額が変動しますが、将来の手取りやライフスタイルによっては返還が難しくなるケースは少なくありません。日本学生支援機構はしっかりと手続きをすれば対応してくれるため、返還延滞してしまう前に減額返還制度や返還期限制度の利用も視野に入れましょう。
返還延滞してしまうと制度が利用できなくなるので、できるだけ早いタイミングで行動を起こすのが大切です。
出典
独立行政法人日本学生支援機構 減額返還・返還期限猶予リーフレット
独立行政法人日本学生支援機構 減額返還の願出がスカラネット・パーソナルからもできるようになりました
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー