更新日: 2024.09.24 教育ローン

会社が倒産して「奨学金」を返せなくなりました。このままだと「滞納」してしまうのですが、なんとかする方法はないでしょうか?

会社が倒産して「奨学金」を返せなくなりました。このままだと「滞納」してしまうのですが、なんとかする方法はないでしょうか?
突然の会社倒産で収入が途絶えると、奨学金の返済は困難になります。貯金があるならしばらくは補填できますが、新卒の人や収入を貯金に回せる余裕のない人は、返済できません。
 
そんなときのために、奨学金には「返還猶予制度」と「減額返還制度」という救済措置が用意されています。
 
再就職がしばらく難しそうなら、上記の制度を申請して時間を稼ぎましょう。今回は、奨学金の返済が難しくなった方に向けた「返還猶予制度」と「減額返還制度」を紹介します。
FINANCIAL FIELD編集部

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奨学金が返せなくなったら「返還期限猶予」「減額返還制度」を申請しよう

奨学金の返済が困難な場合に利用できる救済制度として「返還期限猶予」と「減額返還制度」があります。本制度は日本学生支援機構(JASSO)が提供しており、予期せぬ収入減や失業時など、しばらく返済ができない人が対象です。それぞれの特徴は、表1の通りです。
 
表1

返還期限猶予 一定期間、奨学金の返済を猶予する制度。最大10年継続可能。
猶予期間中は利息もストップする。
減額返還制度 月々の返済額を収入に応じて減額する制度。1回あたり
2分の1〜3分の2まで減額できる。適用期間は最大15年(180ヶ月)。

出典:独立行政法人日本学生支援機構「月々の返還額を少なくする(減額返還制度)」「返還を待ってもらう(返還期限猶予)」より筆者作成
 
いずれの制度も申請には特定の条件を満たす必要があり、承認には審査が必要となります。
 

返還期限猶予とは

返還期限猶予は、経済的な困難により奨学金の返済が難しい場合に限り、一時的に返済を猶予する制度です。本制度では、最長10年間の返済猶予が認められます。適用の具体的な条件は、主に以下の通りです。


・返済者本人の年収が一定基準を下回る
・災害や病気といったやむを得ない理由で失業または収入が減少した
・現在返済が困難な状態であること

なお詳細な条件や必要な証明書類は、申請事由によって異なります。今回の場合は倒産による失業のため、「離職前の年収が300万円以下(給与所得者以外は200万円以下)」「失業後6ヶ月以内」が主な条件です。
 

減額返還制度とは

減額返還制度は、収入が大幅に減少した場合に、月々の返済額を減らせる制度です。通常の返済額の半分まで減額でき、最大15年間の延長が認められます。主な適用条件は以下の通りです。


・年間収入が400万円以下(給与所得者以外は300万円以下)
・経済的な理由により奨学金の返還が困難な状態にある
・減額すれば返還できる

なお延長期間は1回の申請につき1年です。仮に15年間適用するなら、毎年申請する必要があります。ただし期間中に収入のめどが立って適用条件を満たさなくなった場合は、元の返済額に戻る可能性があります。
 

奨学金の猶予制度を利用する際の注意点

奨学金の猶予制度は経済的な理由で支払いが困難な方のみが対象です。
 
そのため収入があるにもかかわらず制度を適用したり、不当な理由で制度を利用したりできないよう作られています。そのほか、制度を利用する際は、以下の点にご注意ください。
 

適用には審査がある

返還期限猶予や減額返還制度を利用するには、審査があります。審査では、申請者の経済状況や家族の収入が考慮されるため、申請しても承認されるとは限りません。そのため申請には、詳細かつ正確な情報の記載が求められます。
 

申請が承認されるまで時間がかかる

申請から承認までの期間中、返済の義務は続きます。承認までおよそ1ヶ月〜2ヶ月の期間がかかるため、申請はスケジュールに余裕を持っておくことが大切です。
 
申請が遅れると、審査期間中に滞納を起こす可能性があります。現時点で返還するお金が足りないなら、一時的な資金繰りやほかの支払い手段の検討が必要です。
 

収入がストップしたなら返還猶予制度が適切

会社の倒産により収入が完全に途絶えた場合、返還期限猶予が適切です。返済を一時的に停止して生活を立て直す時間を確保し、収入が安定した際に返済を再開しましょう。
 
就職活動と同時に、必要な証明書の発行や申請用紙の記入は早めに済ませておくのが大切です。
 

出典

独立行政法人日本学生支援機構 返還を待ってもらう(返還期限猶予)
独立行政法人日本学生支援機構 失業中(一般猶予の申請事由)
独立行政法人日本学生支援機構 収入が多い場合、返還期限猶予審査は受けられますか。
独立行政法人日本学生支援機構 月々の返還額を少なくする(減額返還制度)
独立行政法人日本学生支援機構 減額返還制度の収入・所得金額の目安
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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