最終更新日:2019.01.10 公開日:2018.01.29
老後

知らなきゃ損する 介護費用を減らせるしくみとは

ここ数年、毎年のように、公的介護保険の利用者負担を増やす改正が相次いでいます。2018年も8月より、65歳以上で特に所得の高い人が介護サービスを利用した時、その自己負担割合が2割から3割へ引き上げられます。この背景には、2025年に団塊世代が介護のリスクが高まる75歳以上になることがあります。

一方、介護費用の負担を軽減する制度があるのですが、あまり知られていないように思います。2回に分けて、どんな制度があるのか一緒に確認し、活用しましょう。
新美昌也

執筆者:

Text:新美昌也(にいみ まさや)

ファイナンシャル・プランナー。

ライフプラン・キャッシュフロー分析に基づいた家計相談を得意とする。法人営業をしていた経験から経営者からの相談が多い。教育資金、住宅購入、年金、資産運用、保険、離婚のお金などをテーマとしたセミナーや個別相談も多数実施している。教育資金をテーマにした講演は延べ800校以上の高校で実施。
また、保険や介護のお金に詳しいファイナンシャル・プランナーとしてテレビや新聞、雑誌の取材にも多数協力している。共著に「これで安心!入院・介護のお金」(技術評論社)がある。
http://fp-trc.com/

詳細はこちら
新美昌也

執筆者:

Text:新美昌也(にいみ まさや)

ファイナンシャル・プランナー。

ライフプラン・キャッシュフロー分析に基づいた家計相談を得意とする。法人営業をしていた経験から経営者からの相談が多い。教育資金、住宅購入、年金、資産運用、保険、離婚のお金などをテーマとしたセミナーや個別相談も多数実施している。教育資金をテーマにした講演は延べ800校以上の高校で実施。
また、保険や介護のお金に詳しいファイナンシャル・プランナーとしてテレビや新聞、雑誌の取材にも多数協力している。共著に「これで安心!入院・介護のお金」(技術評論社)がある。
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軽減制度は申請主義

介護費用に限らず、お得な制度のほとんどは申請主義です。自動的に適用されることは、ほとんどありません。
 
しかし、実際問題、介護サービスを利用している方が、介護費用を軽減する制度にどのようなものがあるかを調べるのは難しいでしょう。ケアマネージャーが情報提供してくれるかというと、情報提供は、ケアマネージャーの仕事ではないので、期待できないでしょう。また、情報提供を受けたとしても、利用者の判断能力が衰えてきたら、内容を理解することも難しくなります。
 
そこで、息子や娘が、介護費用を軽減する制度にどのようなものがあるのかを大まかに知り、活用できると思ったら親に代わり調べ、申請を促すことがポイントになります。以下、どのような軽減制度があるのか概要を見てみましょう。
 

変わる介護保険制度

2015年以降の介護保険制度の改正について確認しておきましょう。
 
・予防給付の一部を市区町村の総合事業へ
全国一律の要支援者への予防給付のうち、訪問介護と通所介護が市区町村が取り組む総合事業に移行されました。
 
・特別養護老人ホーム(特養)への新規入所者の入所条件の厳格化(既入所者は除く)
原則、入所者が要介護3以上に限定されました。。ただし、要介護1・2でも一定の場合に入所可能です。
 
・低所得者(第1号被保険者)の保険料の軽減割合拡大
たとえば、第1・2段階の方の保険料が基準額×0.45から×0.40へ軽減されました。
 
・一定以上の所得のある方(第1号被保険者)の自己負担割合の引き上げ
合計所得金額160万円以上(年金収入で単身280万円以上、夫婦359万円以上)の自己負担割合が2割に引き上げられました。
 
・高額介護保険サービス費の負担限度額の上限額が引上げ
現役並み所得(夫婦世帯なら収入520万円以上)がある場合、高額介護サービス費の負担限度額の上限が、3万7200円から4万4400円に引き上げになりました。
 
・低所得の施設利用者の食事・居住費を補てんする「補足給付」の要件に、資産などを追加
預貯金等が単身1,000万円超、夫婦2,000万円超あれば補足給付の対象外となりました。世帯分離した場合でも、一方の配偶者の所得が住民税の課税対象なら、補足給付の対象外となりました。本人の非課税年金(遺族年金・障害年金)も勘案されるようになりました。
 
・総報酬割の導入 
2号被保険者(40歳~64歳)が負担する保険料の計算方法を見直し、人数に応じた「加入者割」から収入に応じた「総報酬割」が2017年8月から段階的に導入されています。総報酬割の比率は、平成29年度8月~50%、平成31年度75%、平成32年度100%。これにより、大企業の社員が加入する健保組合の保険料が増加されます。
 
2018年以降も改正は続きます。
 
・介護医療院創設へ 
2018年4月から日常的な「医療」や「看取り」、「介護」を併せ持つ介護医療院が創設されます。現在の介護療養型医療施設は2023年度末までに廃止される予定です。
 
・一定の所得以上の人の自己負担割合を2割から3割へ
2018年8月から、第1号被保険者で2割負担の人のうち、年金収入等が、単身者で340万円以上、2人世帯で463万円以上の人の自己負担割合が3割になります。
 
・高額医療高額介護合算療養費制度の所得区分が変更
「70~74歳のみの世帯」、「75歳以上の世帯」の関し、「現役並みの所得」の所得区分が細分化され、新たな所得区分に応じた自己負担限度額が創設されます。
 
・福祉用具のレンタル価格に上限設定へ
2018年10月から、福祉用具貸与は、全国平均価格の開示と合わせて、上限制が設定されます。自由価格制の下で、製品ごとに「全国平均貸与価格+1標準偏差」が上限になります。
 

利用者負担を軽減するしくみ

介護保険サービスを利用すると、原則1割の自己負担で利用できます。
 
居宅サービスの要介護5の利用限度額は約36万円です。限度額いっぱいサービスを利用すると、1割負担では約3万6000円、2割であれば約7万2000円、3割負担であれば10万8000円です。この自己負担額を軽減するしくみに、「高額介護(介護予防)サービス費」と「高額医療高額介護合算療養費制度」があります。
 
・高額介護(介護予防)サービス費
同じ月に利用したサービスの「自己負担の合計金額」が高額になり1か月あたりの限度額を超えたときに申請により超えた分が「高額介護(介護予防)サービス費」として後から支給されます。同じ世帯にサービス利用者が複数いる場合は世帯で合算できます。
 
たとえば、所得区分が一般と現役並み所得者(課税所得145万円以上)の世帯の限度額は月額4万4400円ですので、この金額を超えた分は、高額介護サービス費として払い戻しを受けることができます。
 
なお、福祉用具購入費・住宅改修費・食費・居住費(滞在費)・日常生活費などは対象外ですので注意しましょう。
 
・高額医療高額介護合算療養費制度
同じ世帯内で、医療保険と介護保険の自己負担の合計金額が年間の負担限度額を超えた場合、申請により介護保険にかかる部分が、「高額医療合算介護サービス費」として後から払い戻しを受けることができます。計算期間は毎年8月から翌年7月までの12カ月です。
 
第2回目は、「介護保険施設への入所・短期入所時の食費・居住費(滞在費)の軽減制度」、「保険料の支払いに困った場合」、「所得控除の活用」についてお伝えします。
 
Text:新美昌也(にいみ まさや)
ファイナンシャル・プランナー。

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