最後まで自分らしく!任意後見制度を利用することで得られる5つのメリットとは?
配信日: 2018.04.29 更新日: 2019.01.08
判断能力の低下は、本人や周囲が気付かない程ゆっくり進行することもあれば、ある日突然起こることもあります。
そのような場合に備え、成年後見制度と呼ばれる仕組みがあります。
成年後見制度には、法定後見と任意後見の2種類があり、それぞれ特徴やメリットが異なります。
そこで、今回は任意後見におけるメリットを5つご紹介していきます。
Text:柘植輝(つげ ひかる)
行政書士
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2級ファイナンシャルプランナー
大学在学中から行政書士、2級FP技能士、宅建士の資格を活かして活動を始める。
現在では行政書士・ファイナンシャルプランナーとして活躍する傍ら、フリーライターとして精力的に活動中。広範な知識をもとに市民法務から企業法務まで幅広く手掛ける。
目次
メリット(1)信頼できる人へ任せることができる
任意後見制度とは、自身の判断能力が低下してしまった時に備え、あらかじめ財産の管理に関する契約などを、信頼のできる人にお願いし、それを引き受けてもらうといった制度となります。
任意後見人(引き受ける人)の資格に制限はなく、法人(会社)が任意後見人となることも認められています。
任意後見は法定後見と異なり、本当に信頼できる人を、本人の意思で後見人に選ぶことができます。
そのため、判断能力の低下後について心配する必要がありません。
メリット(2)後見監督人による監督が期待できる
任意後見では、後見を開始する前に、家庭裁判所によって「任意後見監督人」が選任されます。
任意後見監督人が選任されるまで任意後見は開始されません。
任意後見監督人は、定期的に任意後見人の働きについて確認し、家庭裁判所に状況を報告します。
これにより、任意後見人の働きぶりについて監督するとともに、万が一不正な事実が発覚した場合においても迅速に対応することができるようになっているのです。
メリット(3)従来の生活スタイルを維持することができる
任意後見制度は、判断能力の低下後における財産の管理や療養の方針、入居する介護施設の条件といった内容を自由に決めることができます。
判断能力の低下前に内容を決められるということで、判断能力の低下してしまった後においても、従前のライフスタイルを崩すことなく生活を続けることができるのです。
メリット(4)代理行為が容易となる
任意後見制度の利用は代理行為を容易にします。
銀行で預金を引き出す場合を想定してみましょう。
この場合、親族が本人のためにしようとしても、銀行から代理権を証明するための委任状などの提出を求められてしまいます。
本人の判断能力が低下した後では、委任状一つ用意するのも相当な負担となるでしょう。
しかし、任意後見契約を結んでおけば、任意後見登記がされるため、その点の証明が容易となるのです。
メリット(5)公正証書によって契約が結ばれる
任意後見契約は、適法かつ有効な契約となるよう、公証人の作成する公正証書によって契約を結ばなければならないと定められています。
公証人が本人の判断能力と意思を確認したうえで、公正証書による契約書が作成されるので、安心して契約を結ぶことができるのです。
任意後見制度は自己決定権を最大限尊重する制度です
任意後見制度は、判断能力が低下する前の本人との契約に基づくものであり、かつ、制度の利用は本人の意思に任されています。
利用するか否か、そしてその内容まで本人が決めることから、自己決定権を最大限尊重した制度といわれています。
そして、任意後見制度は法定後見制度に優先して適用されます。
これを機に一度、任意後見制度について考えてみてはいかがでしょうか。
Text:柘植輝(つげ ひかる)
行政書士・2級ファイナンシャルプランナー