最終更新日: 2020.02.21 公開日: 2020.02.23
老後

同じサービスなのに20倍以上の価格差がある! そんなことってあるの?

執筆者 : 上野慎一

商品や食品そしてサービスなどで、グレードが違えば価格にも差があることは普通です。例えばすしで、「並」と「特上」が数倍くらいの価格差があっても不思議ではありません。でもそれは、そもそも「ネタ」の内容が違うからです。
 
しかし、今回の話は「ネタ」つまり品質の差はなくてサービス内容は一律なのです。でも20倍以上の価格差。そんなことってあるのでしょうか。
 
 
上野慎一

執筆者:

執筆者:上野慎一(うえのしんいち)

AFP認定者,宅地建物取引士

不動産コンサルティングマスター,再開発プランナー
横浜市出身。1981年早稲田大学政治経済学部卒業後、大手不動産会社に勤務。2015年早期退職。自身の経験をベースにしながら、資産運用・リタイアメント・セカンドライフなどのテーマに取り組んでいます。「人生は片道きっぷの旅のようなもの」をモットーに、折々に出掛けるお城巡りや居酒屋巡りの旅が楽しみです。

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上野慎一

執筆者:

執筆者:上野慎一(うえのしんいち)

AFP認定者,宅地建物取引士

不動産コンサルティングマスター,再開発プランナー
横浜市出身。1981年早稲田大学政治経済学部卒業後、大手不動産会社に勤務。2015年早期退職。自身の経験をベースにしながら、資産運用・リタイアメント・セカンドライフなどのテーマに取り組んでいます。「人生は片道きっぷの旅のようなもの」をモットーに、折々に出掛けるお城巡りや居酒屋巡りの旅が楽しみです。

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「東京都シルバーパス」とは?

それは、東京都民で70歳以上の方が利用できる「東京都シルバーパス」(※)です。実際に利用されている方など関係者以外にはなじみのないものだと思われますので、その概要をまとめておきましょう。
 
◇次の条件をすべて満たす人がパスの発行を受けられます。
(ア)東京都内に住所を有する
(イ)年齢70歳以上(誕生月の1日から発行を受けられる)
(ウ)寝たきり等でない(経常的なバス利用ができる)
 
◇利用者の負担金は、利用する年度の住民税によって次のように分かれます。
・非課税
  ⇒ 1000円(パスの有効期間は、10月1日~翌年9月30日)
・課税であるが、経過措置(前年の合計所得税が125万円以下など)に該当
  ⇒ 1000円(同上)
・課税
  ⇒ 2万510円(同上。なお、翌年4月1日~9月30日の購入は1万255円)
 
◇乗り放題で利用できるのは都内のバス停・駅相互間で、民営バス・都営バス、都営地下鉄、都電、日暮里・舎人ライナー、八丈町営バス、三宅村営バスが対象です。
 
まったく同じサービスなのに、その価格差は実に20倍以上です。なお、それぞれの数値の計算根拠は、次のように説明されています。
 
◇ 1000円: パスの発行に関する事務費相当額
◇2万510円: 平均運賃200円として月10回乗車した場合の年間費用に、旧バス共通カードの割引率(5000円券で利用額5850円)を適用
      [200円 × 10回 × 12ヶ月 × 5000/5850円 ≒ 2万510円]
 

都の予算もかなり投じられていて、意見もさまざま

この制度ですが、そのルーツは1973年の無料乗車券までさかのぼります。無料に対する批判や財政状況などもふまえて名称や利用者負担内容も形を変えていき、今では上記のようになっています。
 
現在、都区内のバスの均一区間運賃は210円か220円ですから、高い方のパスでも月に4回往復利用するだけでモトが取れてしまう計算です。外出を促進することで積極的な社会参加や健康維持がはかれるなど、高齢者の福祉向上のための事業制度だといわれています。
 
東京都の直営ではなく、事業主体の東京バス協会に対して都が資金支援しているスキームです。その予算規模は、2018年度で約181.2億円、2019年度で約189.4億円と巨額です。パス発行規模も、2018年度で約105万枚、2019年度で約109.7万枚。東京都の人口約1394.2万人(2019年10月1日現在の推計)から見ても、かなりの利用状況だといえるでしょう。
 
この制度に対しては、次のような提言があるなど意見もさまざまです。
 
◇2つの極端な価格差を埋めるため、中間所得層向けに負担金の段階を増やすべき
⇒ トータルでは、[利用者負担軽減、財政負担増加]
 
◇都県境を越えても利用できるようにすべき
⇒ トータルでは、[利用者負担軽減、財政負担増加]
 
◇パスをIC化して蓄積したデータをもとに制度の経済効用を検証したうえで、利用都度の自己負担を求めていくべき
⇒ トータルでは、[利用者負担増加、財政負担軽減]
 
東京都議会でも(ほかの政策では意見が異なるような政党どうしであっても)制度の存続や拡充を訴える議員は少なくありません。利用者負担増につながるような制度見直しでお年寄りいじめと見られることを避けたいのは、党派を超えての「シルバー民主主義」なのでしょうか。
 

まとめ

年金・医療・介護などの社会保障制度でも、世代間での負担や給付の不公平感やその見直しの必要性が叫ばれながら、現実にメスが入っていくことにあまりスピード感はないのが実情です。
 
シルバーパス制度は、東京都以外でも内容に差はあるものの全国各地の行政で実施しているところがありますが、今後どうなっていくのでしょうか。
 
東京都の2019年度予算額は、都民1人当たり年間約1360円、4人家族の家庭ならば年間約5440円につきます。シルバーパスを利用していない人数(約1284.5万人)から見ると、さらに1割くらい増える計算です。【制度を存続させる/見直す】の意見の違いはともかく、具体的な数字に落とし込んだ“わがこと”として、この制度について一度考えてみてもよさそうです。
 
出典 (※)一般社団法人東京バス協会「東京都シルバーパスのご案内」
 
執筆者:上野慎一
AFP認定者,宅地建物取引士

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