更新日: 2021.03.24 セカンドライフ

年金生活者にとって安心なのは賃貸住宅? 持ち家?

年金生活者にとって安心なのは賃貸住宅? 持ち家?
かつてのように家は持ち家が当たり前という時代は過ぎ去り、一生賃貸でも良いと考える方も増えてきました。
 
しかし、賃貸派の中には老後の年金生活について心配する意見もあります。老後に年金生活者となったとき、住まいは賃貸と持ち家どちらが安心できるのでしょうか。
柘植輝

執筆者:柘植輝(つげ ひかる)

行政書士
 
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2級ファイナンシャルプランナー
大学在学中から行政書士、2級FP技能士、宅建士の資格を活かして活動を始める。
現在では行政書士・ファイナンシャルプランナーとして活躍する傍ら、フリーライターとして精力的に活動中。広範な知識をもとに市民法務から企業法務まで幅広く手掛ける。

賃貸と持ち家、老後安心なのは?

結論から述べると、老後の生活を賃貸で過ごすか持ち家で過ごすか、一概にどちらが安心か言い切ることはできません。自身と家族のライフスタイルなど、個別の事情によって最適解も変化するからです。そこで、どちらにすべきか判断できるように、まずは双方のメリットとデメリットを理解していくところからはじめましょう。
 

賃貸のメリットとデメリットを確認

では、まずは賃貸のメリットとデメリットから見ていきましょう。
 

賃貸のメリット

年金生活を賃貸で生活することには、次のようなメリットがあります。
 

●毎年の固定資産税が不要
●リフォームやメンテナンス費用などの大部分は大家さん負担となる
●住宅ローンを気にしないで済む
●状況に応じて引越ししやすい

 
上記のように基本的に税金が発生せず、リフォームや修繕も大家さんの負担となることが多いことから、毎月支払額が一定であるという点が強みになります。十分な貯蓄があったり、年金のほかにアルバイトなどで就労して定期収入がある程度あれば、老後を賃貸で生活するということも難しくはありません。
 

賃貸のデメリット

老後を賃貸で生活することには、次のようなデメリットがあります。
 

●常に家賃を払い続ける必要がある
●年齢が上がるにつれて賃貸借契約の審査が厳しくなる

 
賃貸で生活する場合、常に家賃を払い続けることになります。仮に65歳から90歳までの老後を月6万円の賃貸で生活すると考えた場合、家賃だけで1800万円程度かかります。
 
そして何より最大のデメリットは契約審査です。基本的に年齢が高くなると健康上の問題や収入面などから、入居する際の契約審査や入居後の契約更新の審査が厳しくなります。ただ、この点は十分な貯蓄や収入の証明、子どもや孫が連帯保証人となる、公営住宅へ入居するなどで解決可能な場合も多いです。
 

持ち家のメリットとデメリット

続いて、年金生活を持ち家で過ごす場合のメリットとデメリットについて説明します。
 

持ち家のメリット

持ち家で老後を過ごすメリットには次のようなものがあります。
 

●リフォームや改築、バリアフリー化が容易
●毎月の家賃が不要
●お金を借りる際、自宅を担保に利用できる
●子に財産として残せる場合がある

 
このように賃貸にはなかった所有物としての自由さを享受することができます。特に老後、体の自由がきかなくなった際にバリアフリー化できたり、ローンさえ払ってしまえば毎月の家賃が不要となる点は大きなメリットです。
 

持ち家のデメリット

持ち家のデメリットには次のようなものがあります。
 

●毎年固定資産税がかかる
●たいていの場合、購入後もローンを払い続けるなど費用のハードルが高い
●購入後も修繕やリフォームを定期的に行う必要がある
●経年劣化や環境の変化により資産価値が落ちることがある
●家を所有していることで、住み替えが難しくなることがある

 
持ち家は安定性と自由度が高い反面、所有していること特有の負担があります。特に定期的な修繕やリフォームが必要であり、気軽に引越しできないことは覚悟しておくべきです。
 

賃貸と持ち家、それぞれ向いているのはどんな人?

内閣府のデータによればどちらか一方でも65歳以上となる夫婦のみの世帯において、持ち家が87.4%、賃貸住宅に住む方は12.4%とまだまだ圧倒的に持ち家派が多数です。だからといって、全ての人において持ち家の方が向いているかといえばそうではありません。
 

●立地や利便性を重視する
●住宅ローンが重荷に感じる
●リフォームやメンテナンスなど管理を極力考えたくない
●十分な貯蓄や定期的な収入が老後もある
●万が一のとき、力を借りられる親族や子などがいる

 
上記に該当するような人は無理して持ち家にするより、賃貸で老後を過ごす方が良いこともあります。
逆に下記のような人は老後を持ち家で過ごす方が良いこともあります。
 

●家に対するこだわりが強い
●定期的な修繕メンテナンスが苦に感じない
●万が一の際に担保にできる資産が欲しい
●賃貸では契約や審査に通過できるか不安である

 
しかし、上記に該当したからといって、必ずしも持ち家または賃貸にすべきというわけではありません。双方のメリットとデメリットを踏まえ、十分に検討して選択するべきです。
 

年金生活者の住居は、賃貸と持ち家どちらも間違いではない

年金生活者が安心した生活を送るのに、住居を賃貸とするか持ち家とするかは非常に重要な選択になります。それゆえ、一概にどちらを選べば正解というわけではなく、それぞれのメリットとデメリットを理解した上で、個別の事情に応じた柔軟な選択が求められます。
 
年金生活で過ごす家を賃貸にするか、持ち家にするか悩んだ際は双方のメリットとデメリットを比較し、自身や家族のライフプランや価値観に合った方を選択すると良いでしょう。
 
参考 内閣府 第1章 高齢化の状況(第2節 4) 第2節 高齢期の暮らしの動向(4)
 
執筆者:柘植輝
行政書士

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