更新日: 2019.01.10 セカンドライフ

あなたは何歳まで生きる予定ですか。長生きはリスクって言われますが、なぜ?

あなたは何歳まで生きる予定ですか。長生きはリスクって言われますが、なぜ?
『LIFE SHIFT(ライフシフト)』(東洋経済新報社)という書籍が話題になっているのはご存知でしょうか?

この書籍は、ロンドンのビジネススクールの教授(心理学博士)であるリンダ・グラットン氏が、同校の経済学部教授である、アンドリュー・スコット氏とともに、豊富なデータを基にこれからの超長寿社会100年ライフを、どのように生きるべきかについて書かれたものです。

自由民主党の小泉進次郎議員が講演などでよく引用し、ジワジワと浸透してきました。また民放のTV番組で、人気ジャーナリストの池上彰さんがこの著書を紹介していました。さらにNHKでも特集が組まれたようなのです。

話題のこの本では、なにをメッセージとしているのか!? また、私たちはどうしたらいいのか!? 今回はこれを見つめていきたいと思います。
寺門美和子

Text:寺門美和子(てらかど みわこ)

ファイナンシャルプランナー、相続診断士

公的保険アドバイザー/確定拠出年金相談ねっと認定FP
岡野あつこ師事®上級プロ夫婦問題カウンセラー
大手流通業界系のファッションビジネスを12年経験。ビジネスの面白さを体感するが、結婚を機に退職。その後夫の仕事(整体)で、主にマネージメント・経営等、裏方を担当。マスコミでも話題となり、忙しい日々過ごす。しかし、20年後に離婚。長い間従事した「からだ系ビジネス」では資格を有しておらず『資格の大切さ』を実感し『人生のやり直し』を決意。自らの経験を活かした夫婦問題カウンセラーの資格を目指す中「離婚後の女性が自立する難しさ」を目のあたりにする。また自らの財産分与の運用の未熟さの反省もあり研究する中に、FPの仕事と出会う。『からだと心とお金』の幸せは三つ巴。からだと心の癒しや健康法は巷に情報が充実し身近なのに、なぜお金や資産の事はこんなに解りづらいのだろう?特に女性には敷居が高い現実。「もっとやさしく、わかりやすくお金や資産の提案がしたい」という想いから、FPの資格を取得。第二の成人式、40歳を迎えたことを機に女性が資産運用について学び直す提案業務を行っている。
※確定拠出年金相談ねっと https://wiselife.biz/fp/mterakado/
女性のための電話相談『ボイスマルシェ』   https://www.voicemarche.jp/advisers/781 

人生100年といわれる時代の背景

私の父は大正生まれですが、幼少期に小さな弟を2人も亡くしました。1人は、駄菓子屋のお菓子の食中毒で、もう1人も病死とのこと。今の時代ならきっと完治していたであろう病気。
 
このような悲惨な状況を変えたいと、たくさんの人たちの研究により、医学と科学(化学)は進歩してきました。その結果、不治の病といわれていた病気の治療法も見つかり、社会保障や保険制度で、誰でもよい治療が受けられる日がきたのです。
 
多くの人の願い「長生き」その夢は現実となってきました。統計と研究によると「2007年に日本に生まれた子どもの50%は107歳まで生きる」といわれています。私が子どもの頃は、100歳まで生きた人はニュースに取り上げられるほど特別なことでした。それが今、大きく変わろうとしています。
 
ところであなたは何歳まで生きると思いますか?80歳ですか? 90歳ですか?
 
60歳の還暦からが老人だった時代には、マンガ『サザエさん』に登場するの伊佐阪先生は70代、隣のおじいさんとおばあさんが80代とか。イメージはそんな感じでした。しかし現代は大きく変わっていませんか? あなたのまわりの70歳ってどんなイメージですか? 80歳は? 90歳は?
 
70歳の有名人:ビートたけし、タモリ、高田純次、泉ピン子
75歳の有名人:小泉純一郎、渡達也、中尾彬、山本陽子
80歳の有名人:三輪明宏、加山雄三、伊東四朗、里見浩太朗
85歳の有名人:黒柳徹子、露口茂、寿美花代、海部俊樹
90歳の有名人:浅香光代、菅井きん
95歳の有名人:佐藤愛子、瀬戸内寂聴、村山富一、赤木春恵
100歳の有名人:中曽根康弘
 
みなさま若い! そして、ご活躍されていますね。我々一般人も、多くの人たちが80歳まで元気で活発な暮らしをしているのではないでしょうか?
 
そうすると、仮に60歳で定年したあとって、どうやって暮らしていくのでしょうか? 年金で生活できますか?仮に65歳でも同じですね。余生は長いのです。人生100年時代、かつてない経験を私たちはしようとしています。しかし、その対策を考えている人は意外と少なく「老後破綻」をしたり「孤独化」したりする人が急上昇してきました。
 

なぜ「長生き」がリスクなのか!? 人口減少問題

長寿はお祝いであり「リスク」でなないと思っていた50年あまり。しかし最近、やたらと目につくのが「長生きリスク」というワードです。しかし、なぜ長生きがリスクなのでしょうか?
 
2017年12月22日、厚生労働省の発表によると、出生数が2年連続で100万人を割れ、自然減が過去最高を記録したようです。死亡者数は増え、出生数を引いた自然減は過去最多の40万3000人になる見通し。自然減は11年連続しており、なおかつ減少ペースも年々加速しているとか。
 
第2次ベビーブームといわれた、1970年代前半の年200万人台をピークに減少が続き、16年に約97万7000人と初めて100万人を割りました。私も子どもがいない1人ですが、私のまわりにも子どもがいない友人はたくさんいます。それぞれの事情があるかと思いますが、私の場合は出産適齢期に仕事が忙しく、子づくりのプライオリティは人生設計の中で大きな位置にありませんでした。そのような人も多いでしょう。
 
また、少子化の影響で出産適齢期とされる20~30代の女性の数が減り続けているのが主な原因だそうです。子どもが1人いる若い友人にときどき「私の分ももう1人産んでよ」(笑)と冗談をいうのですが「とんでもない! 今の時代子育てがどれだけ大変か。経済的にも時間的にも1人が限界」といわれます。
 
経済的な問題は、安倍内閣が「少子化対策の2兆円パッケージ」を発表(幼児教育の無償化、保育園の無償化、大学・高等専門学校・専門学校の無償化など)し、改善案が出されましたが、教育費は学校だけでなく、塾や語学力をつけるためのスクール、体力をつけるためのスポーツ系の教室など、費用はかさむばかりだそうです。
 
PTA活動や安全対策の送り迎えなど、私たちが子どもの頃とは違い、母親が学校関連活動にかける時間は多いとか。共稼ぎのお母さんが多い分、専業主婦のお母さんの負担は増えるばかりとか。そのあたりのインフラ対策もないと2人目をつくるのは容易ではなさそうです。
 


 
上記の表でわかるように
婚姻が減っている。 離婚は増加している。出産が減少している。死亡が増加している
 
人口減の要因がわかりますね。ちなみに死亡者数は、1947年生(昭和22年)の人たちが85歳~95歳になる2032年から2042年あたりまでは、ドンドン増える一方でしょう。
 

人口減少=生産人口の低下へ

出産率の低下が将来招く危機は「生産人口の低下」という現象です。「生産人口=年金を納める人」のことです。これから20年後、日本は「超長寿社会」へと突入します。国立社会保障研究所による総人口予測は2040年には最悪1億833万人へ減少。2060年には1億人を割り、8763万人になる予測が出ています。そうなると、生産年齢は現在の60.8%から2040年に54.3%、2060年には51%に下がるのです。
 
日本の年金制度は「賦課方式」といい、生産世代(年齢)の人が高齢者を支える仕組みとなっています。人口が増加傾向にある時代は、この方式により多数で1人の老人を支えることができました。しかし今は、上記で示したように、「人口減少時代」となっています。
 
そうすると、1人の高齢者を支える人数が減少する=1人当りの負担が大きくなってきます。
 
こうなっては、若者が生きがいをなくしてしまいますよね。いつの日かやむをえず、年金支給額や高齢者の社会保障制度が厳しくなってくるでしょう。
 

将来の自分を計画&投資することが「老後破綻」回避の道

不安な話を重ねてしまいましたが、これから迎える新しい時代としっかり向き合っていく必要はあります。まだまだこの問題に気づいていない人が多数なのではないでしょうか。この問題は神様から「あなたたちの世代はこの課題を乗り越える力があるのです」といわれていると考え、取り組むしかないのです。
 
確かに戦略方法はあります。
 
《1》将来の計画「ライフプラン」を立てる
まず大切なことは計画を立てることです。そして計画を「数値化」してみてください。そうすると、みなさんそれぞれの老後の生活に「いくらお金をかけるか」ということがわかってきます。
「えっ、そんなのまだわからないよ」という人もいるでしょうが、もちろん毎年変更することも可能です。ライフプランのよいところは、漠然とした不安がなくなります。特に、ご夫婦で早いうちからどんな老後が送りたいかを話し合っておくと、中年期に慌てないですむと思います。
 
また余生の過ごし方で大切なのは、なにをしてどこで過ごすかです。私は老後が楽しみです。それは、趣味のフラダンスを踊り、仲間との時間を増やし、レイメイキングやフラドール作りを楽しもうと思っています。
一生涯楽しめる趣味はありますか? いくらお金があっても孤独でなにもすることがなければつまらない老後になるでしょう。実際に、趣味のある高齢者は楽しそうです。
 
~ライフプランの手順~
(1) 家族全員の年齢別のライフイベントを考える
例)子どもの入学・卒業、車の購入・買い換え、家の購入・リフォーム、旅行、将来の趣味、など。
 
(2) ライフイベント毎に「数値化」し、どのくらいのお金が必要かを書き出す
 例えば、車の購入には下取り後に実際にかかる200万円とか、家のリフォームは10年毎100万円とか、できるだけリサーチをして現実味のある数字にしてください。
 
(3) 毎月かかる固定費を算出
リビングマネー(生活費)、家賃、管理費、光熱費、通信費、保険料、税金など。
 
(4) 手取り収入を考える
給与以外でも不動産収入があればそれらも加え、同じように支出も計上します。またここで老後の年金も加えてください。公的年金は「ねんきん定期便」というハガキが年に1度きますので、そちらに詳細が掲載されています。また、年金保険や年金的に加入している保険などの満期の金額も、大よそわかるものを加えましょう。
 
(5) 特別費も考えておく
なにが起こるかわからないので、多少ゆとりがあったほうが安心です。
 
(6) 物価上昇も考えたほうが安心
出費の合計に0.5%ほどの数字を加えてみてください(その年毎の上昇率を考慮しながら)。
 
上記の数値をプラスマイナスし収支を毎年出します。そうすると、何歳のときに赤字が出るか、または今のままで大丈夫かが判断できます。一目瞭然です。仮に赤字の人は、なんらかの対策が必要です。収入を増やすか、または支出を減らすかですね。
 
個人で行うのが難しい人は、ファイナシャルプランナーにご相談ください。私ども独立系のファイナンシャルプランナーはこの「ライフプランの作成」を得意としている人が多いのです。企業に属していないので、なにか商品を販売される怖さもありません。
 
政府の政策や物価などはその都度変わるもの。30~40代は2〜3年に一度、50歳を過ぎたら、毎年見直す必要はあると思います。また、予定外の事実が起きたときはなおさら見直しが必要ですね。私などは、離婚で大きく生活が変化しました。そのきっかけでライフプランを考えたのがファイナシャルプランナーになるきっかけにもなりました。
 
《2》自分年金に取り組む
1つは「積立方式」の年金に自ら取り組むことでしょう。最適なのは確定拠出年金です。また2018年にスタートする「つみたてNISA」ですね。どちらも税制優遇が大きく、国が力をいれているのがわかります。
また投資信託という金融商品で『長期・分散・積立』の投資の三大原則により、大きな利回り効果で、預貯金に比べて資産形成効果が高くなっています。
 
《3》働き方を変える
長生きする分、現役時代を長くすればいいのです。著名人のみなさんも、高齢でも大御所として活躍されています。もし会社で定年がある人は、第2の人生を歩んでみたらいかがですか。
 
30代~50代のうちに資格を取得するのもいいでしょう。また「やり残した夢」を実現するのもいいですよね。お花屋さんやパン屋さんとかもいいですよ。清掃の仕事などは嫌厭されがちですが、足腰が鍛えられますし高時給の仕事です。先日、私の叔父も80歳で始めました。法学部卒業の叔父は80歳まで現役で働き、2月の誕生日にリタイアしましたが、どうも家にいたくないようです(笑)。
 
日本より早く高齢化社会になっている韓国では「シルバー宅配便」が流行っているそうです。これは交通機関のシルバーパスを利用できる高齢者が、電車で宅配業務を行うそうで、安くて早くて評判のようですよ。
 
人生100年時代の戦略、あなたならどのようにデザインしますか? 『ライフシフト』に乗り遅れないようにしてください。
 
Text:寺門 美和子(てらかど・みわこ)
ファイナンシャルプランナー/公的保険アドバイザー/確定拠出年金相談ねっと認定FP
岡野あつこ師事®上級プロ夫婦問題カウンセラー

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