50歳からの住宅購入、注意点は?

配信日: 2021.07.28

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50歳からの住宅購入、注意点は?
いつかはマイホームで暮らしたいと思っていたけれど、転勤が多くてずっと借家住まい。気がつけば50歳となり「最後のチャンスかもしれない」と考えている人もいるのではないでしょうか。
 
そこで、50代で住宅購入する際の注意点を解説します。
蟹山淳子

執筆者:蟹山淳子(かにやま・じゅんこ)

CFP(R)認定者

宅地建物取引士、住宅ローンアドバイザー
蟹山FPオフィス代表
大学卒業後、銀行勤務を経て専業主婦となり、二世帯住宅で夫の両親と同居、2人の子どもを育てる。1997年夫と死別、シングルマザーとなる。以後、自身の資産管理、義父の認知症介護、相続など、自分でプランを立てながら対応。2004年CFP取得。2011年慶應義塾大学経済学部(通信過程)卒業。2015年、日本FP協会「くらしとお金のFP相談室」相談員。2016年日本FP協会、広報センタースタッフ。子どもの受験は幼稚園から大学まですべて経験。3回の介護と3回の相続を経験。その他、宅地建物取引士、住宅ローンアドバイザー等の資格も保有。

老後資金はいくら必要?

50代で住宅購入する最大のメリットは、資金計画が立てやすいことです。50代になると、定年までの収入額、退職金の金額、老後の公的年金の受給額を予想できるようになります。
 
また、子どもが小さい頃は不確定要素が多かった教育費も、子どもの成長とともに今後の必要額を予想できるようになっているでしょう。あとは老後資金として準備しておきたい金額が分かれば、貯蓄などから住宅資金としてどのくらい使えるかが分かります。
 
老後資金として準備する金額は、1年間に必要な生活費から年金額を引いた金額、すなわち1年間に貯蓄から取り崩す金額から逆算します。できれば、平均寿命より10年長生きしても問題ない金額を考えておきましょう。
 
例えば、1年に100万円ずつ、65歳から90歳まで取り崩すには2500万円の貯蓄が必要です。貯蓄から老後資金として残す分を引くと、住宅購入にまわせる金額は予想以上に少なくなってしまうかもしれません。
 
その場合は、リタイア後の生活費を見直す、予定より長く働いて収入を得るなどの対策を考えましょう。
 

住宅ローンを借りるときの注意点

50代で住宅購入するデメリットは、住宅ローンで借りられる金額が少なくなってしまうことです。住宅ローンは最長35年、80歳までに完済できる範囲の年数で組むことができます。
 
しかし、年金生活に入った場合収入が大幅に減りますから、現役時代と同じように返済するのは大変です。できれば、リタイアまでに完済できる年数で借りるのがおすすめです。
 
50歳で借りて65歳で完済するには15年しかありません。当然、借りられる金額は限られ、精いっぱい借りれば毎月の返済額が多くなってしまいます。
 
退職金がある場合は、しっかりと返済計画を立てる前提で、5年くらい長めに借りて、退職金の一部を充当して完済できるプランを考えてもよいかもしれません。
 
なお、団信が組めない健康状態だと、住宅ローンは借りられません。また、60歳以降もボーナスが出る働き方ができるとは限らないので、ボーナス時に返済額を増額する借り方は避けたほうがよいでしょう。
 

住宅選びのポイント

50代で住宅購入するなら、「終の棲家」を意識した家探しをしましょう。
 
30代での住宅購入は、通勤の便や子ども学校に近いことが重視されますが、50代なら駅から多少遠くても、リタイア後の生活環境を重視してよいのではないでしょうか。
 
病院が近くにあるかもチェックしておきたいものです。また、子どもも独立する時期が近づいているでしょうから、子育て中のような広い家も必要ないかもしれません。
 
予算が限られる場合、中古物件の検討もあると思いますが、今後買い換えの予定がないなら、築年数に注意が必要です。
 
50歳から40年間暮らすとすれば、例えば築20年の住宅は築60年となり、大掛かりなリフォーム工事とその費用が必要となるかもしれません。ですから、中古でも築古の物件は避けたほうが無難です。
 
また、20年後、30年後には自分に介護が必要となる可能性も考えておきましょう。
 
例えば、エレベーターがないマンションの2階、3階などは、高齢で脚が弱ると生活が大変になります。家の中で車いすを利用できるかどうかも、念のため考えておきましょう。
 

まとめ

前述のとおり、50歳からの住宅購入には資金計画を立てやすいメリットがあります。
 
ただ、貯蓄があっても老後資金として残しておく必要があったり、住宅ローンも多くは借りられなかったりして、予算は思っていたより少なくなってしまうことが考えられます。
 
子どもの独立時期が近づいているのであれば、大きな家は必要ない可能性があります。本当に必要な広さで、老後も暮らしやすい家を探しましょう。
 
そのためには、リタイアした後にどのような暮らしをしたいのか、イメージしてみることも重要です。
 
執筆者:蟹山淳子
CFP(R)認定者

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