更新日: 2021.09.18 セカンドライフ
長寿社会への不安、40~50代の中年層と高齢者ではどう違う?
公益財団法人生命保険文化センターでは、「ライフマネジメントに関する高齢者の意識調査を実施しました(※)。高齢者は何が不安なのか、働いているのかいないのか、どのようにお金を準備しているのか等聞いています。
その中で「中年層」(40~59歳)の回答がとても身近なので見てみましょう。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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目次
中年層ではそこまで長生きしなくてもいいと思ってる?お金の面での不安が大きい
何歳まで生きたいと思うかと尋ねたところ、80 歳代以上と答えた人が60代以上の高齢者では 90.5%ですが、中年層は 61.7%にとどまっています。中年層では、今のところそこまで長生きしたくないという人が一定数いるようです。
長寿社会への不安感について尋ねたところ、「不安が大きい」(51.2%)が「希望が大きい」 (11.6%)を大きく上回っています。何について不安かというと、高齢者では、「健康面(からだの機能の 低下等)」が 46.0%、「健康面(もの忘れや判断能力の低下等)」(29.1%)と、75.1%が身体や脳の健康を不安視しており、 「経済面(生活資金の不足等)」は16.9%となっています。
一方、中年層では「経済面(生活資金の不足等)」が 39.9%で、高齢者を20ポイント以上も上回っており、お金の面での不安が大きいことがわかります。
生活保障に関する不安について尋ねたところ、高齢者では、「自分の介護への経済的不安」(66.9%)で、「病気やケガへの経済的不安」(61.9%)が多く、介護や健康に関しての不安意識が高いようです。 一方、中年層では、「退職後の生活資金不安」(82.1%)が最も高く、退職後の生活資金の不足を懸念する人が多いようです。
高齢者の医療保障の準備状況を見ると、「生命保険」については 60~70 歳代で最も高く、80 歳代以降は減少しています。一方、「預貯金」は全年齢層にわたり 6 割前後となっています。また、介護保障でも「預貯金」は医療保障と同様に6 割前後で最も高くなっており、高齢者は医療や介護を受けるために貯金をしていることがわかります。
公的年金収入中心で生活するのは75歳以上。長く働く時代に?
高齢者の自分自身と配偶者(配偶者がいない場合は自分自身のみ)の昨年 1 年間の世帯年収は、平均 421.3 万円、公的年金収入は平均 202.7 万円、就労収入(就労収入ありベース)は 216.7 万円となっています。
内訳は、公的年金収入が 63.1%、就労収入が 29.9%、その他収入が 7.0%となっています。年齢別に見ると、60~64 歳では公的年金収入 23.6%が低く、就労収入が 71.2% と就労収入が大半を占めていますが、75歳以上では公的年金収入が 8 割を超えています。75歳を超えて働く人は少ないようです。
就労形態を見ると、高齢者では「無職」が 63.1%と最も多くを占めています。働いている人では 「常雇被用者」が13.5%、「自営者」が11.0%、「非正規社員」が10.8%となっており、35.3%が働いています。現在就労している人の退職・引退予定年齢は、実年齢より数年~5 年先という人が多いようです。
退職後の資産は主に預貯金や生命保険で準備。高齢者は投資に消極的
次に、投資についての意識を聞きました。その結果、高齢者は中年層に比べると「どんな金融商品であっても投資しない」という割合が高くなっています。 また、高齢者を年収別で見ると、「投資する」は 500~2000万円未満で高く、100 万円未満で低くなっています。また、保険や金融に関する知識については、高齢者では男性が高く、年齢別に見ると、特に 60~64 歳で高くなっています。
退職後の資産形成に向けては、高齢者・中年層ともに、「預貯金」で準備している人が最も多く、次いで「生命保険(個人年金・終身保険)」となっています。 「生命保険」は高齢者が 中年層を12.8 ポイント上回っている一方で、「iDeCo」や「NISA」は、中年層がそれぞれ 9.1 ポイント、6.2 ポイント上回っています。 高齢者についてさらに詳しく見ると、年齢別では「生命保険」「NISA」は低年齢層ほど高くなっています。
以上の結果から、高齢者は長く働く人が多く、資産形成は主に預貯金や生命保険で準備しており、投資には消極的なようです。今後、年金は今より減ることはあっても増えることはなさそうですので、中年層においては、預貯金だけでなく投資などの手法も加え、効率的に資産形成する必要があると感じているようです。
※公益財団法人生命保険文化センター「ライフマネジメントに関する高齢者の意識調査
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部