令和3年8月より変更。高額介護サービス費と介護保険施設における費用負担限度額はどう変わった?
配信日: 2021.10.15
この変更により、変更前と比べどのくらい変わったのか、その内容について解説します。
執筆者:新井智美(あらい ともみ)
CFP(R)認定者、一級ファイナンシャルプラン二ング技能士(資産運用)
DC(確定拠出年金)プランナー、住宅ローンアドバイザー、証券外務員
CFP(R)認定者、一級ファイナンシャルプラン二ング技能士(資産運用)
DC(確定拠出年金)プランナー、住宅ローンアドバイザー、証券外務員
聞くのは耳ではなく心です。
あなたの潜在意識を読み取り、問題解決へと導きます。
https://marron-financial.com
介護保険制度の見直し
今回の改正においては、少子高齢化が進む中で、必要なサービスを必要な方に提供できることと併せ、費用負担の公平性そして制度の存続を高めるという目的において、一定以上の収入のある方に対しては、従来の制度と比べ、その人の負担能力に応じた限度額を設定することとなりました。
ちなみに高額介護サービス費とは、1ヶ月の利用料が定められた上限額を超えた場合に、超えた部分を払い戻してもらえる制度のことをいいます。
高額介護サービス費はどう変わる?
介護サービスを利用した場合、その人ごとに定められた自己負担割合に応じた利用料を支払う必要があります。そして、1ヶ月の利用料が世帯所得に応じた上限額を超えた場合において、その超えた額が払い戻されます。
■改正前の介護サービス費の上限額
改正前の世帯所得別の介護サービス利用上限額は以下のとおりでした。
■改正後の介護サービス費の上限額
今回の改正により、上の表にさらに一定年収以上の高所得者の負担限度額が新設されることになりました。その内容については以下のとおりです。
<見直しの対象となるケース>
今回の改正により見直しの対象となるのは、介護サービスの利用者または同一世帯に課税所得380万円(年収約770万円)以上の65歳の方がいる場合です。
(出典:厚生労働省「令和3年8月利用分からの高額介護サービス費の負担限度額が見直されます」(※1))
介護保険施設の負担限度額はどう変わる?
介護保険施設の利用料および食費について、対象となる人の要件および負担限度額が変更となります。
■対象となる人の要件
改正前と改正後では、以下のとおり要件となる利用者の負担段階が細分化されることになりました。
(改正前)
(改正後)
ちなみに65歳未満の場合は、収入等に関係なく、預貯金等の合計は 1000 万円(夫婦は 2000 万円)以下が要件となります。また、預貯金等には普通もしくは定期預金のほか、有価証券、金などの貴金属、投資信託、現金が含まれます。
■施設入所時と短期入所利用時で食費負担の変更
今回の改訂により、施設利用の際の食費負担額(日額)が以下のとおり変更となります。
(改正前)
(改正後)
(※)短期入所サービスを利用した場合は1300円が限度額です。
(出典:厚生労働省「介護保険施設における負担限度額が変わります(令和3年8月1日から)」(※2))
まとめ
今回の改正により、一定の収入がある高所得世帯では負担増となるほか、預貯金等の合計によっては食費の負担が増加することとなります。これらの負担増によって生活が苦しくなる場合は、「食費および居住費の特例減額措置」や「社会福祉法人等による利用者負担軽減事業制度」を受けることができます。
それぞれの措置や制度は一定の要件を満たす必要がありますので、詳細については、住んでいる市区町村の窓口にて確認するようにしてください。
出典
(※1)厚生労働省「「令和3年8月利用分からの高額介護サービス費の負担限度額が見直されます」」
(※2)厚生労働省「「介護保険施設における負担限度額が変わります(令和3年8月1日から)」」
執筆者:新井智美
CFP(R)認定者、一級ファイナンシャルプラン二ング技能士(資産運用)
DC(確定拠出年金)プランナー、住宅ローンアドバイザー、証券外務員