更新日: 2021.10.15 その他老後

高齢の親の預金管理。詐欺被害から守るための対策とは?

高齢の親の預金管理。詐欺被害から守るための対策とは?
親が高齢になったことで、特殊詐欺被害などにあわないか不安を感じる人は多いでしょう。
 
ここでは、よくある高齢者のお金のトラブルを紹介するとともに、家族が預貯金を管理してトラブルを防止する方法をまとめました。高齢の親がいて対策を考えたい方は、ぜひ参考にしてください。
FINANCIAL FIELD編集部

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)

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新井智美

監修:新井智美(あらい ともみ)

CFP(R)認定者、一級ファイナンシャルプラン二ング技能士(資産運用)
DC(確定拠出年金)プランナー、住宅ローンアドバイザー、証券外務員

CFP(R)認定者、一級ファイナンシャルプラン二ング技能士(資産運用)
DC(確定拠出年金)プランナー、住宅ローンアドバイザー、証券外務員

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よくある高齢者のお金のトラブル

 
高齢になると、若いころと比べて記憶力や判断力が低下し、商品やサービスの契約やお金の管理に関するトラブルが起こりやすくなります。中でもよくみられるのは、次のようなトラブルです。
 

●悪徳商法や特殊詐欺にあう
●無計画に使い込んでしまう
●認知症などにより預金を引き出せなくなる

 
それぞれ、詳しくみていきましょう。
 

悪徳商法や特殊詐欺の被害にあう

 
高齢者の消費者トラブルや詐欺被害の増加は、ニュースなどでも頻繁に取り上げられる問題です。例えば、次のような事例があります。
 

●通信販売で契約した商品の解約ができない
●訪問販売で乗せられて高額な商品を購入する
●架空請求に金銭を支払ってしまう

 
こうしたトラブルは、家族が気づかないうちに繰り返されているケースもあります。
 

無計画に使い込んでしまう

 
記憶力や計画性、判断力の低下により、支給された年金をすぐに使いきってしまうなど、家計を省みずにお金を使い込む事例もあります。
 
特に、認知症を発症すると、お金の勘定に支障を来したり、同じものを繰り返し買ってきたりといった症状が現れることがあり、計画的にお金を使うことが難しくなるようです。

認知症などにより預貯金を引き出せなくなる

 
預貯金は、原則として名義人本人以外は引き出せません。そのため、認知症になってお金を引き出す手続きが困難になったり、身体が衰えて外出ができなくなったりした結果、預貯金を引き出せなくなることがあります。
 
高額な医療費や介護費用などが発生した場合、家族が立て替えざるをえません。
 

安全・円満に高齢の親の預金を管理する方法

 
悪徳商法・特殊詐欺被害やその他お金のトラブルを防ぐためにも、詐欺対策やお金の扱い方について、家族でしっかりと話をしましょう。
 
また、本人および周りの家族が、預貯金口座を把握しておくことも必要です。口座が不必要に多い場合は、一部を解約してまとめるなど整理を促して、管理しやすくするとよいでしょう。
 
なお、本人の認知に問題がある場合は、家族が適切にお金を管理する必要があります。以下のような制度の利用も視野に入れましょう。
 

代理人取引

 
代理人取引とは、名義人以外が代理で金融機関での取引をすることです。代理人取引の取り扱いは金融機関によって異なります。一般的には委任状や代理人の本人確認書類を提出する、取引時に本人に確認を取るといった手続きが必要です。
 
また、心身が取引困難な状態になったときに備えて、あらかじめ代理人を指定しておける金融機関もあります。
 

家族信託

 
家族信託は、老後の資金管理など特定の目的のもと、信頼できる家族や親族に預貯金や財産の管理・処分を任せる仕組みです。次のような点で後に解説する成年後見制度より柔軟性が高く、誰でも利用しやすい制度だといえるでしょう。
 

●元気なうちから利用できる
●受託者が資産運用や組替えをできる
●家庭裁判所への報告義務がない
●財産の管理を託す相手が家族・親族のため、高額な報酬が必要ない

 

日常生活自立支援事業

 
日常生活自立支援事業とは、判断能力が不十分な認知症高齢者などを対象に、利用者との契約に基づいて、自立した生活が送れるよう支援する事業です。
 
主な支援内容は「福祉サービスや苦情解決制度の利用援助」「賃貸借契約や消費契約などの援助」など。これらに伴う日常生活費の管理(預け入れ、払い戻し、解約)も援助してもらえます。
 
制度を利用するには、都道府県・指定都市社会福祉協議会への申請が必要です。また、規定の利用料がかかります。
  

成年後見制度

 
成年後見制度は、認知症などの理由で判断能力が不十分な人の保護と支援を目的とする制度で、次の2種類があります。
 

●法定後見制度:本人の判断能力が不十分な状況下で、裁判所が成年後見人を選任する
●任意後見制度:成年後見人や委任する内容を本人があらかじめ指定する

 
成年後見人は主に財産管理や契約、競技の支援を行い、年1回以上裁判所に現況報告をする義務があります。制度を利用するには、家庭裁判所への申し立てが必要です。
 

対策を講じて高齢者のお金のトラブルを防ごう

 
加齢による判断能力や記憶力の低下は、多かれ少なかれ誰にでも訪れるものです。そのため、親が高齢になると、消費行動や預貯金の管理に支障が生じ、思わぬ金銭関係のトラブルが発生することがあります。
 
高齢の親の金銭トラブルを防止するには、本人とトラブルの事例やお金の扱いについて話をするとともに、家族によるある程度の預金管理が必要です。高齢者を保護するさまざまな制度の利用も視野に入れて、あらかじめ対策を講じておきましょう。
 
出典
厚生労働省 日常生活自立支援事業
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
 
監修:新井智美
CFP(R)認定者、一級ファイナンシャルプラン二ング技能士(資産運用)
DC(確定拠出年金)プランナー、住宅ローンアドバイザー、証券外務員

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