更新日: 2021.10.28 セカンドライフ

シニア向け分譲マンションという選択はいかがでしょうか

シニア向け分譲マンションという選択はいかがでしょうか
団塊の世代が後期高齢者になる時期(2023年)が近づいています。団塊世代は今までにも、社会に大きな変化を引き起こす年代グループとして注目されてきました。
 
この世代が、介護施設や高齢者用の住まいを考える時期になった今、従来とは一味違った高齢者の住まいの選択が起きるかもしれません。今回は、シニア向け分譲マンションについて学んでみましょう。
植田英三郎

執筆者:植田英三郎(うえだ えいざぶろう)

ファイナンシャルプランナー CFP

家電メーカーに37年間勤務後、MBA・CFPファイナンシャルプランナー・福祉住環境コーディネーター等の資格を取得。大阪府立職業訓練校で非常勤講師(2018/3まで)、2014年ウエダFPオフィスを設立し、事業継続中。NPO法人の事務局長として介護施設でのボランティア活動のコーディネートを担当。日本FP協会兵庫支部幹事として活動中。

自立生活を望む高齢者の住まい

高齢期の住まいは、長く住み慣れた自宅がベストですが、80歳以降になるとそんな思いとは別に、自立して生活ができなくなることも多くなります。特に独り住まいの高齢者にとっては、夜間の急病時などに身近に人がいないというのは切実なことと思われます。
 
そんな際の選択として、設備や体制の整った介護施設のほかに、「サ高住」、「シニア向け分譲マンション」が挙げられます。
 
アクティブシニアと呼ばれる高齢者は、介護施設はもちろんのこと、自立者も比較的多いサ高住等も敬遠する傾向が強く、自立生活を続けるため、日々健康維持に努める人が多いようです。特に団塊世代はこのような意識の強い人が多いと思われます。
 
介護ケアの設備体制を備えながら、入所者の自由度の高い「自立型有料老人ホーム」もありますが、ここではより自由度の高い「シニア分譲型マンション」を見てみましょう。
 

シニア向け分譲マンションとは

シニア向け分譲マンションも個々の物件ごとに差がありますが、一般的な特徴としては以下の点が挙げられます。


1)分譲型であるので資産価値がある。
2)居室・共有エリアともにバリアフリーになっている。
3)緊急時対応を含む24時間のフロント機能がある。
4)食事提供がある。
5)遊戯室、カラオケ、理美容、売店、大浴場等の共有施設が設備されている。
6)管理費は一般分譲マンションの3~4倍程度になる。
7)介護ケア等は個人として外部への依頼になることが多い。
8)介護施設に比べて1棟当たりの戸数が多い大規模物件が多い。

このような特徴と機能があるシニア向け分譲マンションですが、介護施設に比べて物件数は少なく(全国で100棟未満)、都会地およびその周辺の立地が中心になっています。
 

介護ケア体制を持つ施設との比較

次の表はシニア向け分譲マンションとサ高住、自立型の有料老人ホームとを比較したものです。
 


表は筆者が作成
 
シニア向け分譲マンションの良さは、資産価値があること、生活の自由度が高いこと、24時間対応のフロント(コンシェルジュ)機能があること等なので、アクティブに暮らしたい人には適していると思われます。
 
反面、介護が必要な際は、居宅内で介護サービスを受けることはできますが、施設物件によって介護ケアには差があり、施設のサポートがある場合もありますが、基本的に自己責任での手配が必要となります。
 
また、要介護状態に進んだ場合は、売却して介護施設に入所する選択になる場合も多いと思われます。
 

なぜシニア向け分譲マンションを選択するのか

シニア向け分譲マンションを選択する人には、介護施設入所時の安心感も欲しいが、家族や知人の介護施設での生活状況を見て、それとは別の選択をしたいというはざまの思いを持っている人も多いと思われます。
 
多額の一時金を支払った後では退所が難しい有料老人ホームと比較して、シニア向け分譲マンションは、いざとなれば売却も可能なので、数年後に本格的な介護施設への入所という次のステップの選択も可能です。
 
その辺りが老後の限られた資金の中では有効な選択肢とされているのではないでしょうか。
 

まとめ

高齢期の住まいの選択の一つとしてシニア向け分譲マンションのしくみや特徴を見てきましたが、立地は都会地中心で、物件数もそれほど多くありません。
 
ただ、シニア向け分譲マンションは、団塊世代に多いと思われる、70代後半から80歳代になってもアクティブに過ごしたい方にも適した選択と言えるかもしれません。
 
執筆者:植田英三郎
ファイナンシャルプランナー CFP

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