更新日: 2021.11.23 セカンドライフ

老後の生活費、どれくらいお金がかかる?

老後の生活費、どれくらいお金がかかる?
さまざまな要因により先行き不安な中、年金生活に突入しなければならないことを考えると、老後の生活費の心配をしてしまう人は少なくないことでしょう。
 
実のところ、老後の生活費として、どれくらいのお金が必要になるのでしょうか?
飯田道子

執筆者:飯田道子(いいだ みちこ)

ファイナンシャル・プランナー(CFP)、海外生活ジャーナリスト

金融機関勤務を経て96年FP資格を取得。各種相談業務やセミナー講師、執筆活動などをおこなっています。
どの金融機関にも属さない独立系FPです。

https://paradisewave.jimdo.com/

みんなが考える生活費はいくら?

生命保険文化センターが令和元年に行った調査によれば、老後の最低日常生活費は平均月額22.1万円でした。金額の分布としては、15万円未満~40万円以上となっていますが、最も多かったのが20万円以上~25万円未満の29.4%でした。
 
その一方で、ゆとりある生活を送るために必要な生活費は、月額平均で36.1万円でした。金額の分布としては、20万円未満~50万円以上となっていますが、最も多かったのが30万円以上35万円未満の20.8%でした。
 
上乗せされている項目としては、旅行やレジャー、趣味や教養が1位と2位。生活そのものを向上させたいという日常生活の向上という項目は3位でした。
 
ここからも分かるように、若いときには子育てや住宅関連、交際費などへの費用がメインになっていましたが、老後は自分の生活そのものに目を向けている傾向にあるようです。
 
このデータの金額が多いと感じるか、少なく感じるかは人それぞれですが、多くの人が考えている金額です。目安にしてもよいでしょう。
 
(出典:生命保険文化センター「老後の生活費はいくらくらい必要と考える?」)
 
とはいえ、大切なのは、自分の生活費はどれくらい必要なのかを知ることです。現状の生活を踏まえて、どれくらい必要になるのかを考えてみましょう。
 

まずは、必要な費用はいくらかを考えてみましょう

生活をする上で、必ず必要となる費用はいくらになるのか? あらかじめ把握しておくことが大切です。
 
具体的な費用としては、住居費(家賃、管理費・修繕積立金、固定資産税等)、水道光熱費、食費、通信費(スマホ、PC等)、車両費(ガソリン代、自動車税、車検費用等)、趣味などにかけるお金があります。
 
その他にも、各自必要な費用がある場合は、それぞれに、どれくらいの費用が必要になるのかを書き出しておき、現状の支出額を算出してください。
 
よく、老後の生活費は現役世代に比べてお金がかからないという人もいますが、それは人それぞれです。現役時代、交通費が勤め先から支給されていた場合は、リタイアすれば移動費はすべて自己負担になりますので、生活の変化をイメージしてお考えください。
 
現役のときと同様にお金を使うのか、セーブするのか、使うお金がいくらになるのかも算出しておき、費用としていくら必要になるのかを把握することが大切です。
 

不足額はどのように手当をするか考え、できるだけ早く行動する

現状の費用、考えられる老後の費用を算出しました。その次にポイントとなるのは、老後の収入です。なかにはリタイアせず、生涯現役という人もいるかもしれませんが、多くの人が年金のみの生活になるのではないでしょうか?
 
将来、受け取ることのできる年金額は、50代以降が受け取る「ねんきん定期便」や「ねんきんネット」で見込み額を確認できます。自分がいくらもらえるのか、想定している生活費を賄うことができるのかを判断してください。
 
万一、年金の見込み額のみでは足りない場合は、どのように手当するのかを考えていかなければなりません。
 
不足分を手当する前に行ってほしいのが、老後に希望する生活を見直すことです。基本的な生活費だけでなく、レジャーや趣味にかけたい費用が多い場合には、見直すことで、年金のみで生活費を賄える可能性もあるかもしれません。
 
基本的な生活費そのものが不足している場合には、リタイアのタイミングを先送りにし、できるだけ長く働き収入を得ること。年金の受給開始日を先送りにし、受け取る年金額そのものを増やすという方法もあります。
 
もちろん、今から将来に備えて貯蓄をするのもアリです。
 
例えば50代で子どもの手が離れた場合、貯めやすい時期に突入すると考えられます。もう〇歳だし……とあきらめるのではなく、まだ〇歳と受け止めて、将来を見据えて貯蓄を開始しても良いですね。
 
老後にかかる費用は人によって違います。自分なりの価値観を持って、必要な費用を導き出すことが大切であり、その目標に沿って行動することが必要です。気付いた時がタイミングです。いつから始めても、遅いことはありません。
 
執筆者:飯田道子
ファイナンシャル・プランナー(CFP)、海外生活ジャーナリスト

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