更新日: 2021.12.19 セカンドライフ
ゆとりある老後の生活費。夫婦2人で月いくら必要?
報道などでは老後資金として2000万円が必要と報じられることもありますが、本記事では老後の生活費について各種調査のデータから考えていきます。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
ファイナンシャルプランナー
FinancialField編集部は、金融、経済に関する記事を、日々の暮らしにどのような影響を与えるかという視点で、お金の知識がない方でも理解できるようわかりやすく発信しています。
編集部のメンバーは、ファイナンシャルプランナーの資格取得者を中心に「お金や暮らし」に関する書籍・雑誌の編集経験者で構成され、企画立案から記事掲載まですべての工程に関わることで、読者目線のコンテンツを追求しています。
FinancialFieldの特徴は、ファイナンシャルプランナー、弁護士、税理士、宅地建物取引士、相続診断士、住宅ローンアドバイザー、DCプランナー、公認会計士、社会保険労務士、行政書士、投資アナリスト、キャリアコンサルタントなど150名以上の有資格者を執筆者・監修者として迎え、むずかしく感じられる年金や税金、相続、保険、ローンなどの話をわかりやすく発信している点です。
このように編集経験豊富なメンバーと金融や経済に精通した執筆者・監修者による執筆体制を築くことで、内容のわかりやすさはもちろんのこと、読み応えのあるコンテンツと確かな情報発信を実現しています。
私たちは、快適でより良い生活のアイデアを提供するお金のコンシェルジュを目指します。
老後の生活費はいくらくらいかかる?
まず生活費の平均値について、総務省が実施している「家計調査」の2020年(令和2年)のデータから見ていきます。
2人以上世帯の消費支出について、全年代での年間平均は333万5114円となっており、1ヶ月当たりにすると約27万8000円です。その中で、65歳以上の夫婦のみの世帯における消費支出の年間平均は290万684円で、1ヶ月当たりでは約24万2000円となります。
家計調査での消費支出の結果を項目別に比較すると、以下のとおりです。
全年代平均 | 65歳以上平均 | 全年代平均からの増減率 | |
---|---|---|---|
消費支出合計 | 333万5114円 | 290万684円 | -14% |
食料費 | 96万2373円 | 92万4792円 | -4% |
住居費 | 20万8488円 | 18万5965円 | -11% |
光熱・水道費 | 26万2034円 | 26万434円 | -1% |
家具・家事用品費 | 15万2497円 | 13万8454円 | -10% |
被服および履物代 | 11万97円 | 7万4054円 | -33% |
保健医療費 | 17万1554円 | 19万4306円 | +13% |
交通・通信費 | 47万9658円 | 36万4124円 | -25% |
教育費 | 12万3514円 | 5922円 | -96% |
教養娯楽費 | 29万9844円 | 25万4943円 | -15% |
その他の消費支出 | 56万5055円 | 49万7691円 | -12% |
※e-Stat 「家計調査年報(家計収支編)2020年(令和2年)」より筆者作成
全年代の平均を基にして、65歳以上の世帯での消費支出の増減率を見ていくと、まず教育費に関してはほぼ必要なくなるといえます。また、支出の減少率が大きい項目に被服および履物代、交通・通信費があることから、老後は外出の機会も全般的に少なくなる傾向にあると推測できます。
一方、住宅費に関しては大幅な減少がなく、持ち家の場合は住宅ローンの支払いが終了しても修繕費などの費用がかかり、賃貸物件に住んでいる場合は老後も変わらず家賃が発生するためと考えられます。
そして老後に支出が増えている項目は、やはり保健医療費となっています。
老後の生活費はどの程度あれば安心?
では、老後の生活費がどの程度必要になるのかを考えていきます。
公益財団法人 生命保険文化センターの「生活保障に関する調査」(令和元年度)の結果によれば、老後(夫婦2人)に最低限必要な生活費の平均は月額22万1000円となっています。
家計調査での消費支出の平均結果より少ないことから、前述のように教育費や交通費などの減額によって、老後は相応に暮らしのダウンサイジングを考えていることが多いと推測できます。
なお、老後にゆとりある生活をするために必要な金額の平均は月額36万1000円となっており、最低限必要な生活費に上乗せした分(14万円)の使用目的としては、旅行やレジャー、趣味や教養、普段の生活の充実などが挙げられています。
これらの結果から老後のライフプランにおいては必要な生活費、月数、何歳までと積み重ねて計算することで、具体的に必要な金額が見えてくるといえます。
まとめ
実際のデータから老後の生活費について見ていくと、1ヶ月当たり25万円程度あれば問題なく、それ以上に上乗せすることでゆとりのある生活ができると考えられます。
本記事は平均値を基にしていることから、それぞれの環境などにより変わるポイントもあるかと思いますが、こうしたデータから老後資金について検討してみてはいかがでしょうか。
出典
総務省統計局 家計調査年報(家計収支編)2020年(令和2年)
公益財団法人 生命保険文化センター 令和元年度 生活保障に関する調査
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部