更新日: 2022.01.20 セカンドライフ
50歳で貯蓄ゼロ…老後の費用これからどう準備すればよいですか?
そういった50代の金融資産の状況について「家計の金融行動に関する世論調査(二世帯以上)【令和2年】」の調査結果を見ると、世帯主が50代で2人以上の世帯の平均金融資産は1684万円で中央値が800万円となっています。一方で、金融資産がゼロである世帯の割合は、13.3%となっています。
50歳は、老後へ向けた資金を貯めるためのラストスパートをかけなければならない年齢ともいえます。老後資金が2000万円必要ということも話題になりましたが、50歳の時点で金融資産ゼロという方々は、特に頑張らないといけない状況だと思います。
今回は、こういった方々が老後の費用をこれからどう準備すれば良いのかについて考えてみたいと思います。
執筆者:堀江佳久(ほりえ よしひさ)
ファイナンシャル・プランナー
中小企業診断士
早稲田大学理工学部卒業。副業OKの会社に勤務する現役の理科系サラリーマン部長。趣味が貯金であり、株・FX・仮想通貨を運用し、毎年利益を上げている。サラリーマンの立場でお金に関することをアドバイスすることをライフワークにしている。
基本的な考え方
老後の費用を準備するには、当然ですが、預金をする金額を捻出する必要があります。そのためには、収入を増やすか、資産運用をするか、支出を減らすといった3つの方法しかありません。そして、その3つの方法を具体化して、地道に実行して少しでも老後に向けた費用を貯めていくのです。その方法については、後ほど確認しましょう。
では、具体的にいくら貯めたら良いかは、その方の家族構成やライフスタイルによって変わります。基本的にリタイア後は、公的年金などの収入から生活費などの支出を引いた差額と、病気や事故といった不測の事態に対応できる費用を補てんするだけの金融資産を準備する必要があります。
老後必要資金の概算を知りたいのであれば、金融機関などがネット上で公開している無料のライフプラン表がありますし、無料相談をしている機関もあるので活用するのも良いでしょう。また、さらに詳しく知りたい人はファイナンシャルプランナーなどに相談しても良いと思います。
老後費用を準備する方法
(1)生活のダウンサイジングをする
まず、すぐにできることは、支出を見直すことです。そのためには、まず初めに、簡単な家計簿をつけて家計の見える化をする必要があります。
次に、食費や光熱費、こづかいといった日常使う固定費を見直します。もっとも効果があって、長続きするのが固定費の削減です。具体的には、住宅ローンがある人は低金利のローンへの借り換え、生命保険に入っている方は契約内容の見直し、あるいは格安携帯電話への切り替えや自動車を保有している人はカーシェアリングの活用への転換など、流行のシェアリングエコノミーを使う方法も効果があります。
また、お子さんが独立して教育費が不要になったら、無駄遣いせずに、老後の費用に回すことも心がける必要があります。
(2)2つ目の収入を確保する
次に、収入を増やすことを検討しましょう。王道としては、現在所属している会社で昇進をして給与を増やすことですが、計画どおりにいくとは限りません。また、転職や独立でさらに高い年収を確保する方法もありますが、年齢が上がると転職市場では必ずしも有利ではないケースも多いので、注意深く検討する必要があります。
したがって、現在の職場で許されるのであれば、2つ目の収入である副業を行う、もしくは配偶者に働いてもらうことは手っ取り早い方法かもしれません。また、お子さんが大きくなっていたらアルバイトをしてもらい、少しでも家計の足しにすることもあるでしょう。
(3)運用で資金を増やす
金融資産がゼロであり、50歳という年齢では、やり直しの時間が限られていますし、運用する資金もありませんので、株やFX、不動産投資といったリスクの高い投資は避けたほうが良いかもしれません。老後資金のことを真剣に考えるならば、低リスクの金融商品で、コツコツと運用することが重要です。
具体的には、少しでも金利の高いネット銀行に預けたり、国債といった低リスクの投資やNISAやiDeCoといった税制面で優遇される制度を活用するなどが良いでしょう。
もっとも避けなければならないことは、老後資金を貯めなければならないという焦りから、リスクの高い商品に手を出して、大切な老後の資金がなくなってしまうことです。
特に、まとまった金額が手元に入る退職金は、無駄遣いせずに、低リスクの金融商品に預けるようにしたほうが良いかもしれません。資産運用に対する正しい知識を持ち、無理のない範囲でリスク管理をしながら運用していくようにしましょう。
(4)長く働く
今まで見てきたように、支出を削減し、収入を増やし、運用も行ってきても老後資金が不足しそうであったら、これ以上無理な節約や副業は健康にも良くないし、焦って運用をすると高リスク商品に手を出して、痛い目を見るかもしれません。
したがって、老後資金が不足する場合には、健康なうちは働き収入を増やすという選択がもっともリスクが低く、簡単です。定年後の再雇用制度の活用も視野に入れて、長く働くことを検討することをお勧めします。
(出典)
知るぽると「家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査](令和2年)」
(エクセルシート0004金融資産保有額(金融資産を保有していない世帯を含む))
執筆者:堀江佳久
ファイナンシャル・プランナー