老後破産の原因にはどんなものがある?

配信日: 2022.01.20

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老後破産の原因にはどんなものがある?
リタイア後は年金収入が主となりますが、その収入だけでは不足し、老後の生活が成り立たなくなることを老後破産といいます。そうならないためにも、老後破産の実態を知り、事前に対策を立てておくことが大切です。
 
では、老後破産に陥る原因にはどのようなものがあるのでしょうか。
新井智美

執筆者:新井智美(あらい ともみ)

CFP(R)認定者、一級ファイナンシャルプラン二ング技能士(資産運用)
DC(確定拠出年金)プランナー、住宅ローンアドバイザー、証券外務員

CFP(R)認定者、一級ファイナンシャルプラン二ング技能士(資産運用)
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老後破産とは?

老後破産とは、冒頭に述べたとおり、リタイア後に生活が成り立たなくなることです。老後破産に陥る原因はさまざまですが、社会的背景にあるのは、超高齢者社会による医療費負担の増加や、晩婚化により、老後も子どもの生活の面倒を見なければならないといったものがあります
 

老後破産の原因

老後破産に陥る原因として、以下に挙げるものが考えられます。
 

■超高齢化社会

日本人の平均寿命は年々延びています。2021年の日本人の平均寿命は、男性81.64歳、女性は87.74歳と過去最高となっています(出典:生命保険文化センター「日本人の平均寿命はどれくらい?」)
 
また、この平均寿命は今後も延びることが予想され、90歳以上まで生きる人も珍しくなくなってきています。このように長く生きることを想定しておらず、老後の生活資金確保に不足分が生じた場合、老後破産に陥る可能性が高くなります。
 

■医療費負担の増加

医療技術が発達し、昔では助からなかった病気も今では治るようになってきています。しかしその分医療費負担が大きくなり、特に高齢となって入院期間が長くなると医療費が家計を圧迫する原因となります。医療費負担については高額医療費制度が用意されていますが、それを利用してもなお、自己負担額が予想よりも多くなる可能性もあります。
 
もちろん、十分な保障を備えた医療保険に加入していれば賄える部分もあるかもしれませんが、保険料の負担から逃れるために必要最低限度の保障に設定していた場合、その不足額を自己資金でカバーしきれない状態になるかもしれません。
 
また、介護についても同様なことがいえます。日本には介護保険制度が用意されていますが、条件を満たさない場合などには、制度を十分に利用することができないケースもあります。その場合には、民間のサービスを利用する等、自己負担額が大きくなり、その負担ゆえに老後破産に陥ることも考えられます。
 

■住宅ローンが残っている

住宅の購入時期や価格、そして契約時に設定した返済期間によっては、定年後も住宅ローンの返済が残っている人もいるでしょう。また、退職金で返済しようと思っていたけれど、思ったほどの退職金が出なかったなど、以前の想定を覆すようなことが起こる可能性は否定できません。
 
住宅ローンはリタイアまでに完済しておくことがおすすめですが、どうしてもそれができない場合は、リタイア後の収入で返済できるかどうかも考えながら住宅ローンを契約するようにしましょう。
 

■子どもや孫にお金がかかる

子どもには何かとお金がかかるものですが、教育費といったまとまったお金だけでなく、それ以外の支出が負担となっているケースもあります。
 
なかなか就職できずアルバイトをしている子どもの生活費の面倒を見たり、資格取得のための費用を捻出したりとさまざまなケースが考えられます。しかし、ある程度の年齢になったら自分の生活費は自分で賄うくらいの気持ちをもたせることが大切です。
 
また、孫ができた際にはそのかわいさについついいろいろなものを買ってあげたくなるものです。そのような出費が重なり、気付いた時には資金が底をついていたということにならないよう、子どもや孫に対する支出は計画性をもって行うことが大切です。
 

■趣味や娯楽にお金をかけすぎる

リタイア前の生活レベルを落とせず、さらには時間が自由になったこともあり、趣味や娯楽にかける費用が多くなることも、老後破産を招く原因の1つです。
 
もちろん、ゆとりのある老後を見据えた資金形成をしていても、物価の上昇などにより、思った以上のお金がかかることは十分に予想されます。友人や親戚との付き合いも大切ですが、付き合い方や娯楽にかける時間はバランスよく考えるようにしましょう。
 

老後破産に陥らないために

では、老後破産に陥らないために、どのような対策を立てておけばよいのでしょうか。
 

■老後の生活費は余裕をもって準備しておく

リタイア後の長い期間において、予想外の出費があることは当然考えられます。また、住宅の修繕費用や、介護が必要になった際の自宅の改修費用も考えておく必要があるでしょう。将来起こりうる出費をある程度想定し、それを含めた資金計画を立てる必要があります。
 

■生活レベルの見直し

リタイア後に、現役の頃の生活レベルから落とせないということもあるでしょう。まだ資金に余裕があるうちは、仮に使いすぎてもそこまで気にしないこともあるかもしれません。しかし、生活レベルはすぐに落とすことはできません。徐々に不要な支出を省き、長い目で見直す必要があります。
 
気付いた時にはもう手遅れだったという事態にならないよう、生活レベルの見直しは早めに取り組むようにしましょう。
 

まとめ

老後破産の問題は年々深刻化しており、高齢者の生活保護受給者も増加傾向にあります。自分は大丈夫だと思っていても、老後破産に陥る可能性は誰にでもあります。
 
特に現在は、介護費用の負担が増えたことによる老後破産も深刻化しています。昔のように家族が面倒を見てくれる時代ではなくなってきたことから、どうしても介護施設などに頼ることになります。
 
どのような施設を選ぶかにもよりますが、老人介護施設に入居するためにはまとまったお金がかかります。そのようなことも視野に入れながら、リタイア後の生活を送る必要があります。
 
また、今は高齢者雇用支援の取り組みが広がっていることからも、もし働けるのであれば働いて、年金以外の収入を得るなどを考えることも大切です。
 
執筆者:新井智美
CFP(R)認定者、一級ファイナンシャルプラン二ング技能士(資産運用)
DC(確定拠出年金)プランナー、住宅ローンアドバイザー、証券外務員

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