更新日: 2022.02.01 セカンドライフ
パートやアルバイトの人は老後をどう考えればいい? 今からできる準備方法を紹介
「自分は非正規雇用だから老後は真っ暗だ」と、あきらめることはありません。限られた収入でも可能な老後の備えはあります。
パートやアルバイトの方でも無理なくできる老後の備えについて紹介します。
執筆者:柘植輝(つげ ひかる)
行政書士
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2級ファイナンシャルプランナー
大学在学中から行政書士、2級FP技能士、宅建士の資格を活かして活動を始める。
現在では行政書士・ファイナンシャルプランナーとして活躍する傍ら、フリーライターとして精力的に活動中。広範な知識をもとに市民法務から企業法務まで幅広く手掛ける。
前提となる準備
パートやアルバイトで生計を立てている場合は収入が限られます。よほど特殊な職種やスキルを持っている方でない限り、最低賃金に近い給与形態で、賞与も期待できません。今回は、最低賃金に準じた収入を前提として説明していきます。
まずは、収入の7割から8割程度で生活できるよう支出を見直してください。
家賃を下げるために引っ越す、スマートフォンを格安SIMに切り替える、コンビニの利用を控えてスーパーやドラッグストアで買い物をする、娯楽や趣味に使うお金は収入の1割以内に抑えるなど、固定費の引き下げや消費支出を小さくして老後の準備へ回す資金を捻出します。
それらと併せて、心身の状態や家庭の事情などで働けない場合でない限り、勤務先の掛け持ちも含めて労働時間・日数を増やし、月間で160時間(1日8時間、20日勤務)程度は就労しておきたいところです。
こうして確保した余剰資金で、まずは貯金をしてください。
パートやアルバイトといった非正規雇用で働いている場合、正社員と比べて雇用や給与が安定しないことが想定されるため、最低1年、できれば2年程度は収入が途絶えてもいいだけの貯蓄を用意しておきます。
特に40歳未満の比較的若い方であれば、万が一に備えた貯蓄分以外は別の方法で老後の準備をする方が効率的なケースもあります。
上記の前提によって、非正規雇用労働者であっても最低限の老後資金の準備を行うだけの土台ができます。
パートやアルバイトでもできる老後への準備
パートやアルバイトで老後への最低限の準備を行うイメージとしては、収入が限られているなど将来が不安だからこそ、先を見据えて今あるお金を有効活用するといった具合です。
今回紹介する内容について大別すると、投資、自己投資、副業です。
ただし、どれも出口戦略や優先順位を誤ったり、間違った方法で準備を進めたりすると、かえって自分の首を絞めかねません。できる限りファイナンシャルプランナーなど専門家へライフプランを相談の上、実行してください。
投資
老後の準備で行っておきたいのは投資です。資本主義社会である日本で生きる以上、経済成長の恩恵を受けるには投資が必要です。
ここでは投資で得た利益が非課税となる、つみたてNISAを利用する例を紹介します。
投資はギャンブルではなく、長期間にわたり適切な方法で少額ずつコツコツと行うことで資産を形成できます。
参考までに、つみたてNISAを利用して「eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)」に毎月1万円を15年間(2006年8月末から2021年8月末まで)投資した場合のシミュレーションでは、180万円の元本が約460万円と約2.5倍の資産となっています。
出典:マネックス証券 eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)
これが毎月3万円だと、540万円の元本が約1380万円となります。
出典:マネックス証券 「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」
つみたてNISAはいつでも現金化できるため、万が一の際も貯蓄として利用することができます。
つみたてNISAと似た制度にiDeCoがありますが、こちらは原則60歳までお金が引き出せないため、パートやアルバイトの方が行うにはリスクが高く、よほど資金に余裕がある場合でない限りやるべきではありません。
自己投資
資格の取得や自己肯定を高める経験など、スキルアップや自身の価値を上げるためにお金を使うのも老後の準備となります。
例えば法律など専門職の資格を取得して、非正規であってもすぐに就労先が見つけられるようにしておく、収入アップや正社員化を目指す、独立する、などができれば、それは結果的に老後の備えにつながるといっても過言ではありません。
副業
一般的にパートなどの場合、副業については正規雇用の正社員ほど制限されていないことが多いです。
そのため、現在の勤務先で働けなくなったときでも、副業である程度の収入が確保できるようにしておきましょう。
現在では雇用されて働かなくても収入を得る手段はいくらでもあります。
例えば、投資や自己投資で身に付けたスキルで動画の作成や配信を行って収益化を狙うほか、クラウドソーシングサイトで単価の低い仕事を受け、それを実績に高い単価の案件へとステップアップしていくなど、将来的にパートやアルバイトよりも多くの収入を得られることも考えられます。
また、副業で得た収入を元手に、貯金や資産形成を行うことで老後に備えることもできます。
まとめ
パートやアルバイトであっても収入に応じて支出を抑え、できる範囲で老後に向けた準備は進められます。
準備の方法を間違えて事態が悪化することもあり得ますが、何も考えず、行動もしないことに比べれば、失敗のリスクを恐れて行動しない方が大きな損失といえます。
パートやアルバイトで働きながら老後の準備を真剣に考えている場合は、自分に合った方法を十分に調べてから実行するようにしましょう。
出典
マネックス証券 eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)
執筆者:柘植輝
行政書士