更新日: 2022.02.11 セカンドライフ
老後に毎月23万円収入を得たい! 年金だけで足りない場合どうすればいい?
では、仮に老後の生活において公的年金だけでは足りないという方が、不足分を補うにはどうしたらよいでしょうか。老後、毎月23万円の収入が必要だという人を例に考えていきます。
執筆者:柘植輝(つげ ひかる)
行政書士
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2級ファイナンシャルプランナー
大学在学中から行政書士、2級FP技能士、宅建士の資格を活かして活動を始める。
現在では行政書士・ファイナンシャルプランナーとして活躍する傍ら、フリーライターとして精力的に活動中。広範な知識をもとに市民法務から企業法務まで幅広く手掛ける。
老後もらえる年金はどれくらい?
まずは私たちが老後に毎月もらえる年金の金額について、令和3年4月分からの年金額を例に確認していきましょう。
自営業者など国民年金のみに加入されていた方であれば、1人当たり毎月6万5075円を受け取ることができます。夫婦2人とも国民年金のみという場合は、夫婦2人で13万150円の収入です。
会社員など厚生年金に加入していた方であれば、加入期間の収入によっても異なるのですが、平均的な収入(平均標準報酬として賞与含む月額換算43.9万円の収入)で40年間就業した場合に受け取る年金(老齢厚生年金と2人分の老齢基礎年金満額)は22万496円です。単身者の方では、15万5421円程度と想定されます。
基本的に老後年金だけでは23万円の収入を得ることが難しく、何らかの手段を講じることが必要になります。
老後の年金に収入を上乗せする手段
老後23万円の収入が必要と考えた場合、年金だけでは賄いきれません。その場合、主に次のような手段で収入の確保を検討することになります。
iDeCo
老後資金として真っ先に検討したいのがiDeCoになります。掛け金の拠出時、運用益、受取時の3段階にわたって税制優遇を受けられるからです。
原則60歳まで引き出せないこと、運用方法や出口戦略などについて考えておかなければならないこと、といった注意点を理解できれば、現状最も老後資金の形成に向いている方法といっても過言ではありません。
仮に毎月2万円ずつ、年利5%で25年間iDeCoに加入していたとすれば、元本と運用益の合計は約1191万円となり、20年間毎月4~5万円程度、年金に上乗せ収入を得ることができます。
毎月の拠出額は、自営業者であれば最大で月額6万8000円まで拠出することができ、厚生年金加入者であれば職業によって1万2000円から2万3000円まで拠出することができるため、運用次第で想定どおりの収入を確保することができます。
つみたてNISA
投資信託による運用益について非課税となるつみたてNISAも老後の収入の上乗せ手段として有効です。
iDeCoほどの節税効果はないものの、運用益が非課税でいつでも現金化して緊急時の支払いに対応できる点が魅力です。節税重視ならiDeCoを、流動性重視ならつみたてNISAを選択するとよいでしょう。資金に余裕があれば、両者併用も効果的です。
つみたてNISAは年40万円までしか拠出できないため、それ以上に資産運用したい場合は投資信託で資産運用するとよいでしょう。
国民年金基金
自営業者など国民年金のみの加入者であれば、国民年金基金に加入することでも年金額を増やすことができます。
プランや加入口数に応じて保険料や年金額が変わるため、ライフプランに応じて選ぶことができます。仮に30歳8ヶ月の男性がA型に1口拠出しただけでも、終身で毎月3万円ほどの年金を受け取ることができます。
国民年金基金は加入年齢によって保険料が変わるため、加入する場合は早期の加入がおすすめです。
就労での収入確保も検討
老後まだまだ元気なのであれば、働いて収入が途切れないようにするというのも1つの手段です。
近年では定年延長や定年後の再雇用が積極的に行われている上、企業や自治体などでシルバー人材が積極的に活用されているため、定年退職後も働く場所を見つけることも可能になっています。
仮に首都圏にて時給1000円で働いたとすれば、週3日、1日3時間程度の就労で、毎月4万円程度の収入を確保できるようになります。
年金の不足分は自分に見合った方法で積み上げを
老後毎月23万円の収入が欲しいという場合、公的年金だけでは不足する可能性が高いです。
不足分についてはiDeCoなどで資産形成をするほか、国民年金基金などへ加入する、無理のない範囲で就労するといった方法で、公的年金以外での収入を確保する必要があります。
いずれにせよ、老後の収入についてはできるだけ早期に考えておいた方が有利になります。一度、現在の生活費から老後必要な収入と、それを得るためにどうすればいいのか考えてみてください。
出典
厚生労働省 令和2年簡易生命表の概況
日本年金機構 令和3年4月分からの年金額等について
国民年金基金 年金額シミュレーション
執筆者:柘植輝
行政書士