65歳以上で離職したときに支給される「高年齢求職者給付金」。もらうにはどんな要件があるの?
配信日: 2022.02.20
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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高年齢求職者給付金とは?失業手当とは違うの?
60歳で定年退職をしても、その後も同じ会社にて再就職という形で働き続ける方は増えています。しかし定年後も働きたくても、体力の低下などにより今までと同じ仕事を続けることが困難な場合もあるでしょう。この場合は別の就職先を探すことになりますが、一時的に失業状態になってしまいます。
失業になった場合、多くの方は失業手当の受給を考えますが、実は65歳以上の方が失業した時に受給できるのは高年齢求職者給付金と呼ばれるものなのです。高年齢求職者給付金は失業手当とは内容が異なるので、まずはその点について確認していきましょう。
・給付金額
高年齢求職者給付金の給付金額を知るためには、賃金日額を出す必要があります。賃金日額は離職前6ヶ月分の賃金の1日あたりの単価のことで、離職前6ヶ月分の給与総額÷180日という計算式で求められるのです。
賃金日額に給付率を掛けると、受給できる1日あたりの金額「基本手当日額」を出すことができます。給付率は賃金日額が2574円以上5030円未満の場合は80%で、1万2390円超1万3700円以下の場合は50%です。
賃金日額がこの金額内に入っていない場合は、「0.8×賃金日額-0.3×{(賃金日額-5,030)÷7,360}×賃金日額」という計算式を用いて給付率を出します。高年齢求職者給付金は、基本手当日額30日分または50日分が一括で支給されるのです。30日分が一括で支給されるのは雇用保険加入期間が1年未満の場合で、50日分が一括で支給されるのは加入期間が1年以上の場合になります。
ちなみに、失業手当は90〜330日分の基本手当日額が28日分ごとに支給される仕組みです。高年齢求職者給付金と失業手当は、支給方法が大きく異なると言えます。
・年金も受給できる
高年齢求職者給付金を受給している方でも、年金も問題なく受給できます。受給金額が減額になることもありません。失業手当は年金と併せて受給することは不可のため、この点も高年齢求職者給付金と失業手当の大きな違いと言えます。
高年齢求職者給付金をもらうための要件
高年齢求職者給付金をもらうためには、以下の要件を満たす必要があります。
・離職日以前1年間に被保険者期間が通算して6ヶ月以上あること
この場合の被保険者期間の数え方を厚生労働省は「雇用保険の被保険者であった期間のうち、離職日から1か月ごとに区切っていった期間に賃金支払いの基礎となった日数が11日以上ある月を1か月と計算します。」と定めています。
ただし、令和2年8月1日以降に離職した方については数え方が違うので注意して下さい。賃金支払基礎日数が11日以上の月が6ヶ月に満たない場合、賃金の支払の基礎となった時間数が80時間以上の月を1ヶ月として計算しましょう。
・失業状態であること
この場合の失業状態に当てはまるためには、まず就職したいという意思があり、積極的に求職活動をしている必要があります。そして就職のための健康状態や家庭環境も良好でなければなりません。以上のような状況であるにも関わらず就職できない状態を、この場合の失業状態と呼びます。
以上のような要件を満たし離職日の翌日から1年間の受給期間内に、ハローワークから失業状態であると認定された場合に高年齢求職者給付金がもらえるのです。家事に専念する方や家業を継ぎ職業に就かない方、自営を開始する方などは失業状態には当てはまらず、高年齢求職者給付金は支給されません。他にも短時間就労を希望される方なども、支給対象にはならないのです。
出典
厚生労働省 離職されたみなさまへ(高年齢求職者給付金)高年齢求職者給付金の対象となる方
高年齢求職者給付金をもらうための要件を確認しておこう
高年齢求職者給付金は65歳以上の方が受給できる失業手当のようなものですが、内容が異なる点もいくつかあることは覚えておいて下さい。また、支給のための要件があるため、受給したい場合はその要件を満たしているのか事前に確認するようにしましょう。手続きの際は管轄のハローワークに行き求職を申し込み、併せて離職票を提出する必要があります。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部