更新日: 2022.03.05 セカンドライフ

老後の生活費、年金だけでは赤字? 現役時代に貯めた資金を使い始めるのは何歳から?

老後の生活費、年金だけでは赤字? 現役時代に貯めた資金を使い始めるのは何歳から?
老後の生活について、年金だけでは赤字になる可能性があることをご存じですか?
 
その場合、現役時代に貯めたお金を使い、生活していくことになります。老後、現役時代に貯めたお金を使い始めるのは何歳くらいからとなるのでしょうか。
柘植輝

執筆者:柘植輝(つげ ひかる)

行政書士
 
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2級ファイナンシャルプランナー
大学在学中から行政書士、2級FP技能士、宅建士の資格を活かして活動を始める。
現在では行政書士・ファイナンシャルプランナーとして活躍する傍ら、フリーライターとして精力的に活動中。広範な知識をもとに市民法務から企業法務まで幅広く手掛ける。

老後必要な生活費は?

公益財団法人生命保険文化センターが、総務省の「家計調査年報」から抜粋したデータによると、夫婦共に65歳以上の高齢無職世帯の1ヶ月の支出は、25万5550円でした。65歳以上の単身無職世帯においては14万4687円となるようです。
 
持ち家の有無や心身の健康度合いによっても必要な生活費は大きく変わりますが、夫婦なら月25万6000円程度、単身なら月14万5000円程度は必要だと見積もって、現役時代から準備をしておきたいところです。
 

老後の年金額はいくらもらえる?

私たちが老後受け取る年金は、大きく分けて国民年金と厚生年金とがあります。
 
国民年金は令和3年度では満額で78万900円を受け取ることができ、厚生年金は生年月日や加入期間の平均給与などによって異なります。
 
厚生労働省の「令和2年度厚生年金保険・国民年金事業の概況」によれば、令和2年度末時点での国民年金の受給者の年金額の平均は、約5万6000円、厚生年金受給者の平均額は約14万6000円でした。
 
この金額はあくまでも現時点での平均であり今後年金制度の変更や社会情勢の変化によっては大きく変動する可能性も十分あります。
 

老後年金だけでは生活費が赤字になる可能性がある

先ほど確認した生活費と年金支給額の平均とを見比べてみると、夫婦共に厚生年金を受給するような世帯や単身者で厚生年金に加入している世帯でない限り、非消費支出を含めた生活費を支出すると、家計は赤字になることが分かります。
 
国民年金のみの受給者の場合、単身でも9万円近く、夫婦では14万4000円近くも赤字となります。
 
個別の状況にもよりますが、老後年金のみで生活するのは赤字になる可能性が存在することを理解して、現役時代から資産形成を行っておく必要があります。
 

現役時代に貯めた資金を使うのは何歳から?

老後、年金だけでは生活費を賄えない場合は就業についても検討すべきです。
 
年金が少なく、就業しても生活費を賄えない、あるいは就業できないなどの場合は、老後の生活に突入してから即座に現役時代に貯めた資金を使うことになります。
 
逆に、老後夫婦2人で厚生年金を受けながら、さらにシルバー人材としてほそぼそと働くというような場合は、病気など突発的な出来事がない限り、現役時代の資金を全く使わないまま亡くなるということもあるでしょう。
 
つまり、現役時代に貯めた資金を何歳から使い始めるのかは、個別の事情によって大きく異なるということです。実際、何歳から老後資金を使い始めたかには人によってばらつきがあります。
 
生命保険文化センターの令和元年度「生活保障に関する調査」によれば、老後資金を使い始めた年齢は59歳以上から71歳以上と幅広く差が出ています。
 
なお、老後資金を使い始めた年齢で一番多いのは65歳、次いで70歳、60歳となっています。
 
65歳は原則年金が受給開始となる年、70歳は最大限繰下げ受給を行える年齢、60歳は最大限繰上げ受給を行える年齢であることから、多くの方は自身が年金を受け取り始めるタイミングで老後の生活に入り、現役時代に貯めた老後資金を使い始めていることが分かります。
 

老後の生活費は年金だけでは赤字の可能性が高い

個別の事情にもよりますが、多くの場合は老後の生活費を年金だけで賄おうとすると家計が赤字となり、年金の受給と同時に現役時代に貯めた資金を使うことになることが予想されます。
 
私たち現役世代は老後の生活について、年金だけでは赤字となる可能性が高いことを知っておくべきです。
 
それを前提に、現役時代から老後資金をある程度貯めておくことが重要であると覚悟し、なるべく早い段階から老後について堅実に考える必要があるといえるでしょう。
 
出典
厚生労働省 令和2年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況
公益財団法人生命保険文化センター 老後の生活費はどれくらい?
公益財団法人生命保険文化センター 「老後」とはいつから?
 
執筆者:柘植輝
行政書士

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