更新日: 2019.01.10 セカンドライフ
長寿時代の影響? 住宅を購入し老後を迎える前に考えておくべきこと
そして、みんなが家を買うのが当たり前のように感じているというのも事実。親から離れて一人前になった証のようでもあります。
そんな住宅の考え方も、給与が上がらない、そして少子高齢化の影響で変化が現れてきています。実際に住宅を購入し老後を迎えたときに、その人がどうしているかご存知ですか?
長寿時代に大きな変化が起きています。その変化を先に知ってから、住宅の購入を検討してもよいのではないでしょうか。
Text:木田美智子(きだ みちこ)
CFP(R)認定者
1級ファイナンシャル・プランニング技能士
確定拠出年金相談ねっと認定FP、DCアドバイザー、証券外務員内部管理責任者、相続士、金融知力インストラクター、FP未来への扉(幹事)、SANWA DCサポート代表。
30歳、家がほしくなったときに考えておきたいこと
30歳から40歳は結婚そして、お子さまの誕生など、2人以上で生活をして家族が増える時期です。部屋数が足りなくなり、住宅購入が30歳から40歳で一番多くなるのはそのためです。
マンションでも戸建て住宅でも住宅ローンは35年返済で行うのが一般的です。
ちょっとイメージしてみてください。30歳で購入した人は、35歳で完済。100歳までは残り35年間あります。40歳で購入した人は75歳で完済することになります。100歳まで25年あります。
<イメージしてもらいたいこと>
1.退職金で全額返済したとすると、その後の老後資金は足りるでしょうか?
返済をしながら、子どもの教育資金は確保できますか。家族の目指すライフスタイルは維持できますか。夫婦の老後資金の準備もできますか。家計全体のバランスが保てるのかを考えてから購入を検討されるとよいでしょう。
2.そのとき、誰と一緒に生活していますか?
35年後は、子どもが独立して大きな家が必要なくなっていることも考えてみましょう。夫婦だけになったとき、1人になったとき、その家は必要でしょうか?
家を買ったリタイア世代はどうしているのでしょう
相談者のなかには、リタイアを前にして庭付き戸建て住宅から、都心の駅近マンションへ引っ越す人もいます。便利な都心でリタイア後の生活を楽しみたいと考えてのことでしょう。
その理由の1つには、子どもたちが独立してみると、夫婦2人で過ごすには現在の家は広すぎる、ということもあるでしょう。
もう1つの理由は体力の低下です。今までより、長距離を歩くのが疲れやすくなったということも考えられます。実際にその年齢にならないとわからないことですが、坂道や階段なども息切れするなどということもあるでしょう。
体力の衰えに気付き、少し早めに買い物や移動の楽なところへ移りたいと考えるようになってきます。
まだ、35年過ぎていなくても、繰り上げ返済を活用してローンは返し終わっているころです。20年を過ぎたころから、水まわりのリフォームや、外壁の修繕やクロスの張り替えなど、家を維持するための費用が大きくかかってくる時期がやってきます。
初めて家を購入したときには考えてもいなかった出費です。こうしたリフォームの時期に修繕費をかけて直すのか、それとも今のライフスタイルに合わせて引っ越しをするのかの選択をしているようです。
40歳で家を購入したとすると20年後は60歳。そのときに、この家でずっと住み続けていたいのかどうか、考えてみることも必要ですね。
働いているときは、家にいる時間が少ないですが、ずっと長く生活していく場所としてどうかを考えてみましょう。買い物や交通手段、ご近所の人とのコミュニティーはどうでしょうか。
人生100年時代には、住宅の考え方にも変化が
人生の後半には、どうしても1人では生活できない時期がやってきます。80歳を超えている世代の人は、子どもたちに老後の面倒をみてもらうという考えの人が多かったかも知れません。
今は女性も働く時代です。子どもたちに負担をかけたくないと考えて、元気なうちに介護付老人ホームに入る人も増えています。
以前、介護付老人ホームへの入所をお手伝いしたことのある人は、家を売ってそのお金を入所一時金として、月々の費用は年金から支払っています。ホテルのようなサービスの行き届いた素敵な場所です。
とても活動的なその人は、心細い一人暮らしから解放され、いざというときには介護までしてもらえる場所で安心して暮らしています。とても朗らかに、旅行や趣味に忙しそうにしています。
家は1回だけ購入して、そこに住み続けるというスタイルから、長い人生のなかでその年代の暮らし方に合わせていく、というように変化しているのです。
働いている時代は賃貸で資金を準備し、リタイア後に介護まで面倒を見てもらえる場所に入るということもあるでしょう。また海外で暮らしたいとか、沖縄で暮らすなど、自分がどんな暮らしがしたいかをイメージしてみるのもよいでしょう。
今、両親のいなくなった家をどうしようかと、困っている人が増えています。両親の家を改装して一緒に住み、子どものことも安心して託している、そんな家庭も増えています。
私自身、娘たち家族とマンションの隣の部屋に住み、助け合って楽しく暮らしています。家族で助け合い寄り添って生きていくのもよいのではないでしょうか。
初めて買う家は新築で、スタイリッシュなタイプをちょっと無理してしまいがちです。
長い人生のなかでどのような位置づけにしていくのか、バランスを考え将来も長く幸せでいられるように、マイホームを購入してもらいたいものです。
Text:木田美智子(きだ みちこ)
1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP(R)認定者