更新日: 2022.03.22 老後

失業保険、退職年齢64歳と65歳ではどう変わる?

執筆者 : 中村将士

失業保険、退職年齢64歳と65歳ではどう変わる?
“失業保険”(ここでは「雇用保険の給付金」のことをいいます)が、退職年齢によって異なることをご存知でしょうか。失業保険が異なることが、離職のタイミングに大きな影響を及ぼすことはないかもしれません。しかし、気になる方もいるかもしれませんので、本記事で、64歳と65歳の失業保険がどう変わるのかについて解説します。
 
中村将士

執筆者:中村将士(なかむら まさし)

新東綜合開発株式会社代表取締役 1級ファイナンシャル・プランニング技能士 CFP(R)(日本FP協会認定) 宅地建物取引士 公認不動産コンサルティングマスター 上級心理カウンセラー

私がFP相談を行うとき、一番優先していることは「あなたが前向きになれるかどうか」です。セミナーを行うときに、大事にしていることは「楽しいかどうか」です。
 
ファイナンシャル・プランニングは、数字遊びであってはなりません。そこに「幸せ」や「前向きな気持ち」があって初めて価値があるものです。私は、そういった気持ちを何よりも大切に思っています。

基本手当の概要

一般にイメージされる失業保険は、「基本手当」でしょう。基本手当は、65歳未満の雇用保険の被保険者であった方(この方を「一般被保険者」といいます)が失業・離職した場合に支給されます。
 

対象者

基本手当を受給するためには、以下の条件を全て満たしている必要があります。
 

・失業の状態にあること
・離職の日以前2年間に、被保険者期間が通算して12ヶ月以上あること

(「特定受給資格者」「特定理由離職者」の場合は、離職の日以前1年間に、被保険者期間が通算して6ヶ月以上あること)

 
失業の状態とは、就職したいという意思といつでも就職できる能力・環境があり、積極的に求職活動を行っているにもかかわらず、就職することができない状態のことをいいます。従って、単に職に就いていない状態のことをいうわけではないので、注意してください。
 

支給額

基本手当の支給額は、以下の計算式によって計算されます。
 
「基本手当日額」×「所定給付日数」
 
基本手当日額は、離職した日の直前の6ヶ月分(賞与は除く)を180で割った金額(これを「賃金日額」といいます)のおよそ45%から80%とされています。年齢区分があり、その区分ごとに基本手当日額の計算式と上限額が決まっています。上限額は、30歳未満が6760円、30歳以上45歳未満が7510円、45歳以上60歳未満が8265円、60歳以上65歳未満が7096円です(令和4年3月時点)。
 
所定給付日数は、以下のとおりです。
 
(1)特定受給資格者、特定理由離職者


 
(2)就職困難者

 
(3)上記以外の離職者

出典:ハローワーク インターネットサービス 「基本手当の所定給付日数」
 
これを見ると、所定給付日数は、最低でも90日あることが分かります。
 

高年齢求職者給付金の概要

一方、65歳を超えた場合の失業保険を「高年齢求職者給付金」といいます。高年齢求職者給付金は、65歳以上の雇用保険の被保険者であって、短期雇用特例被保険者や日雇労働被保険者とならない方(この方を「高年齢被保険者」といいます)が失業・離職した場合に支給されます。
 

対象者

高年齢求職者給付金を受給するためには、以下の条件を全て満たしている必要があります。
 

・失業の状態にあること
・離職の日以前1年間に、被保険者期間が通算して6ヶ月以上あること

 
失業の状態とは、基本手当のところで説明したものと同じ内容になります。
 

支給額

高年齢求職者給付金の支給額は、以下の計算式によって計算されます。
 
「基本手当日額に相当する額」×「所定給付日数」
 
基本手当日額に相当する額には、基本手当のところで「年齢区分」があると説明をしましたが、65歳以上の場合、30歳未満と同じ区分が適用されます(令和4年3月時点)。従って、上限額は6760円となります。
 
所定給付日数は、以下のとおりです。


出典:ハローワーク インターネットサービス 「基本手当について」
 
これを見ると、所定給付日数は、多くても50日であることが分かります。
 

まとめ

以上のことから、64歳と65歳で失業保険はどう変わるのかをまとめると、以下のようになります。
 

64歳 65歳
失業保険 基本手当 高年齢求職者給付金
基本手当日額 2061円~7096円 2061円~6760円
所定給付日数 90日~240日 30日または50日

※筆者作成
 
65歳を境に、失業保険が異なります。それに伴い、基本手当日額、所定給付日数も異なります。つまり、給付金額も異なるということになります。
 
例えば、基本手当日額が5000円として、64歳と65歳を比較してみます。64歳の場合、所定給付日数は少なくても90日分です。一方、65歳の場合、所定給付日数は多くて50日分です。単純に計算すると、64歳と65歳では、40日分の差があるということになります。金額にすると、20万円(5000円×40日)の差ということになります。
 
本記事では、これをもって64歳での離職を勧めるものでもありません。冒頭に述べたように、失業保険が異なることが、直接的に離職のタイミングに影響を及ぼすことはないかもしれません。しかし、違いがあると認識しておくことは、大きな意味を持つと思います。本記事が、何かのお役に立てれば幸いです。
 
出典
ハローワーク インターネットサービス 「基本手当について」
ハローワーク インターネットサービス 「基本手当の所定給付日数」
厚生労働省 「離職されたみなさまへ<高年齢求職者給付金のご案内>」
ハローワーク 長野労働局 「雇用保険の高年齢求職者給付金を受けようとする方へ…」
厚生労働省 「雇用保険の基本手当(失業給付)を受給される皆さまへ」
 
執筆者:中村将士
新東綜合開発株式会社代表取締役 1級ファイナンシャル・プランニング技能士 CFP(R)(日本FP協会認定) 宅地建物取引士 公認不動産コンサルティングマスター 上級心理カウンセラー
 

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