更新日: 2022.03.31 セカンドライフ

老後に賃貸が借りにくくなるのは本当! その原因と今からできる対策とは

老後に賃貸が借りにくくなるのは本当! その原因と今からできる対策とは
老後になると賃貸住宅を借りにくくなるという話を聞いたことがないでしょうか。確かに物件オーナーとしては、健康面・金銭面などに不安のある高齢者は受け入れリスクが高いと考えがちで、入居を断るケースも珍しくありません。
 
実際、65歳からのお部屋探しを専門で支援する「株式会社R65」が行った「65歳以上が賃貸住宅を借りにくい問題」に関する調査によると、65歳以上の「4人に1人」が賃貸住宅への入居を断られた経験があるという結果が出ています。
 
しかし、老後に賃貸を借りにくくなる原因を把握しておけば、対策をとることは可能です。本記事で詳しく解説しますのでぜひ参考にしてください。
FINANCIAL FIELD編集部

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)

ファイナンシャルプランナー

FinancialField編集部は、金融、経済に関する記事を、日々の暮らしにどのような影響を与えるかという視点で、お金の知識がない方でも理解できるようわかりやすく発信しています。

編集部のメンバーは、ファイナンシャルプランナーの資格取得者を中心に「お金や暮らし」に関する書籍・雑誌の編集経験者で構成され、企画立案から記事掲載まですべての工程に関わることで、読者目線のコンテンツを追求しています。

FinancialFieldの特徴は、ファイナンシャルプランナー、弁護士、税理士、宅地建物取引士、相続診断士、住宅ローンアドバイザー、DCプランナー、公認会計士、社会保険労務士、行政書士、投資アナリスト、キャリアコンサルタントなど150名以上の有資格者を執筆者・監修者として迎え、むずかしく感じられる年金や税金、相続、保険、ローンなどの話をわかりやすく発信している点です。

このように編集経験豊富なメンバーと金融や経済に精通した執筆者・監修者による執筆体制を築くことで、内容のわかりやすさはもちろんのこと、読み応えのあるコンテンツと確かな情報発信を実現しています。

私たちは、快適でより良い生活のアイデアを提供するお金のコンシェルジュを目指します。

老後に賃貸が借りにくくなる原因

老後に賃貸が借りにくくなる原因としては、若い人と比較して高齢者のほうが健康面・金銭面での不安が大きい傾向にある点があげられます。具体的な内容を以下に解説します。
 

健康面の不安

一般的に人は高齢になれば、病気やけがなどの発生リスクが高まります。厚生労働省が令和3年(2021年)11 月に発表した「令和元(2019)年度 国民医療費の概況」によると、人口一人当たりの国民医療費は65歳未満が19万1900円であるのに対し、65歳以上は75万4200円と4倍近い差が生じており、高齢になるほど病気やけがにより医療機関を受診するケースが増加していることが分かります。
 
こうした事情から、物件オーナーは高齢者に部屋を賃貸すると「契約期間中に病死するのではないか」「認知症を発症するのではないか」など健康面に関わる不安を抱きやすい傾向にあります。
 
また、単身の高齢者の場合、万が一、室内で亡くなってしまうと発見が遅れるリスクが考えられます。もし入居者の死亡の発見に遅れると、室内環境の状態が悪化するため、復旧のために大きな費用がかかるほか、事故物件として扱われ資産価値の低下を招く可能性も考えられます。
 

金銭面での不安

65歳以上の高齢者の場合、すでに勤めていた会社を定年退職しており、現在の収入は年金のみという人もいるでしょう。
 
老後に給付される年金は、会社員として勤めてきた人の場合、国民年金と厚生年金の2階建てになりますが、納付した期間や現役時代の賃金額などに応じて差が生じます。
 
そのため、給付額が多い人であれば、収入が年金のみでも賃貸住宅に入居して家賃を支払いながら生活できる場合もあります。しかし、住むエリアや物件のグレードなどによって家賃相場は大きく異なるため決して安心はできません。
 
また、自営業やフリーランスとして働いてきた人の場合、基本的に老後の年金は国民年金のみになるため、生活が困難になることが予想されます。物件のオーナーとしては、収入が少なく金銭面に不安のある入居者は、家賃滞納などのリスクが高まることから受け入れに慎重な姿勢になります。
 

老後でも賃貸が借りやすくなるための対策

老後でも賃貸が借りやすくなるためには、物件オーナーが健康面・金銭面の不安を抱かないような対策を講じることが重要です。以下に主な対策を3つ紹介します。
 

定年後も仕事を継続する

定年後も仕事を継続している人であれば、年金以外の収入源があることから、金銭面の不安は払拭できます。また、仕事を継続していれば健康状態も良好と判断されるため、物件オーナーの信用は得やすいでしょう。近年ではシニア向けの仕事も増えており、専門の求人サイトなども数多くありますので、これから定年を迎える人は新しい働き方にチャレンジしてみるのもよいでしょう。
 

近くに家族や親族が住んでいるエリアを選ぶ

家族や親族など交流の多い人が近くに住んでいるエリアを選ぶことも、有効な対策の一つといえます。単身の高齢者であっても、家族が近くに住んでいて定期的に様子を見にきてくれる状況であれば、健康状態などを把握しやすいため、突然死や孤独死の防止につながることでしょう。
 
賃貸の申し込みをする際、「近くに家族が住んでいる」「週に何回程度会う」など入居後の生活について明確に伝えられれば、オーナーの信用も得やすくなります。
 

公営の賃貸住宅や高齢者向け賃貸住宅を選ぶ

自治体が運営している賃貸住宅であれば、高齢者が暮らしやすいように配慮された物件が多く、年齢が原因で入居審査に落ちる可能性も低くなっています。また、近年は民間でも高齢者向け賃貸住宅を提供している企業があり、こうした施設では高齢者向けの生活支援サービスが整っており、安心して暮らしていけるでしょう。
 
以前より高齢者が賃貸住宅を探しやすい環境が整ってきているので、自分なりに物件を探す努力をすることが大切です。
 

将来を見据えた計画を

高齢化が進む日本では、今後も賃貸住宅への入居を希望する高齢者が増えることが予想されます。今の段階では健康面・金銭面に不安のない人も将来はどうなるか分かりませんので、早いうちから老後の生活について考えておくことをおすすめします。
 
老後、賃貸に住む可能性がある人は、今回ご紹介したような対策を取り入れつつ、家族をはじめ周囲の人の意見やアドバイスを聞きながら、現実的な生活をイメージしておくことが大切です。
 
出典
厚生労働省 令和元(2019)年度 国民医療費の概況
株式会社R65 「65歳以上が賃貸住宅を借りにくい問題」に関する調査
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部

PR
FF_お金にまつわる悩み・疑問 ライターさん募集