更新日: 2022.03.31 セカンドライフ

老後の地方移住はあり? なし? 家賃と物価の最高・最低価格の差とは

老後の地方移住はあり? なし? 家賃と物価の最高・最低価格の差とは
都市部在住者を中心に、老後は閑静で自然豊かな地方へ移住したいと考える人がいます。
 
住民基本台帳人口移動報告2021年(令和3年)によると、東京都はコロナの影響で転入超過が2万5692人減少しました。テレワークやワーケーションなど、働く世代でも地方移住につながる考え方が受け入れられ始めています。
 
都市部在住者にとってあこがれともいえる地方移住ですが、あこがれだけで移住できるほど現実は甘くはありません。この記事では、老後の地方移住について、家賃や物価の面からありかなしか解説していきます。
FINANCIAL FIELD編集部

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地方は本当に安いのか

地方移住に興味がある人は、単なるあこがれ以外に「生活費が安い」というイメージも一つの理由でしょう。では、本当に地方は安いのでしょうか。家賃と物価について、それぞれ最高価格と最低価格の差をみていきます。
 

家賃でみた場合

総務省統計局が公表した平成30年住宅・土地統計調査 住宅及び世帯に関する基本集計によると、最高価格は東京都の月8万1001円、最低価格は鹿児島県の月3万7863円、全国平均は月5万5695円です。ちなみに、東京都に次ぐ2位の神奈川県でも月6万8100円なので、いかに東京都が突出して高いかが分かります。
 
最高価格である東京都の家賃は、最低価格である鹿児島県のおよそ2.14倍もあり、全国平均と比べてもおよそ1.45倍となります。家賃は圧倒的に東京が高く、地方が安いといえるでしょう。
 

物価でみた場合

総務省統計局が公表した小売物価統計調査(構造編)年報2020年の資料から、消費者物価地域差指数(全国平均=100)をみると最高が東京都の105.2、最低が宮崎県の95.9です。東京都と宮崎県の物価の差はおよそ1.1倍にすぎず、全国平均と比べても東京都は5%前後高い結果となっています。
 

地方移住で高くなりやすい費用

むしろ、地方移住で高くなりやすい費用もあります。
交通費と水道料金です。
 

交通費

都市部では、主な移動手段は電車やバスといった公共交通機関です。定期券がない限り乗車する度に運賃がかかりますが、都市部なら普段の生活に関わる買い物は徒歩や自転車で十分まかなえます。運賃も都市部は地方より安いため、比較的安価で遠くまででかけられます。
 
一方、地方は日々の買い物すら自家用車がほぼ必須です。自家用車は、購入費やガソリン代だけでなく、税金や保険料もかかります。軽自動車1台だけでも、月2万円程度の維持費を想定しなければいけません。都市部で月2万円の交通費を使おうと思えば、往復1000円の移動を月20回できます。おでかけ好きの人だったとしても、ここまで頻繁に移動することはないでしょう。
 

水道料金

一概にはいえませんが、人口が少ない街で水道料金は上がる傾向にあります。都市部では大阪市が特に安く、東京23区も全国平均よりは安い水道料金です。地方に移住した場合、ほとんどの場合で水道料金は高くなります。一人暮らしなら月500円〜1000円程度、夫婦二人暮らしで月2000円前後の違いかもしれませんが、イメージとは大きなギャップになるでしょう。
 

地方移住は都市部に持ち家があるかどうかで考えよう

地方移住が家賃や物価の面からありかなしかは、都市部に持ち家があるかどうかで変わります。都市部に持ち家がある人は、物価は地方と大差ないので移住しない方が生活費は安く済みます。一方で、持ち家がない人は、家賃が安くなるので地方移住はありでしょう。
 
なお、この記事ではあくまで物価や家賃の面から地方移住についてお話していますので、住みたい場所があって地方移住するのを否定しているわけではありません。価値観は人それぞれですので、資金面で問題がないなら、第二の人生を地方でのんびり過ごすのも一つの幸せでしょう。
 
老後にどう過ごしたいかを資金面・資金面以外の両方から考え、あなたにあった場所で後悔のないようにしてください。
 
出典
住民基本台帳人口移動報告 2021年(令和3年)結果
小売物価統計調査(構造編)年報 2020年(総務省統計局)
総務省統計局 平成30年住宅・土地統計調査 住宅及び世帯に関する基本集計 結果の概要平成30年住宅・土地統計調査 住宅及び世帯に関する基本集計 結果の概要(総務省統計局)
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部

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