84%の人が「年金だけでは不十分」。プロがおすすめする老後の不安解消のための最初の一歩
配信日: 2022.03.31
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
ファイナンシャルプランナー
FinancialField編集部は、金融、経済に関する記事を、日々の暮らしにどのような影響を与えるかという視点で、お金の知識がない方でも理解できるようわかりやすく発信しています。
編集部のメンバーは、ファイナンシャルプランナーの資格取得者を中心に「お金や暮らし」に関する書籍・雑誌の編集経験者で構成され、企画立案から記事掲載まですべての工程に関わることで、読者目線のコンテンツを追求しています。
FinancialFieldの特徴は、ファイナンシャルプランナー、弁護士、税理士、宅地建物取引士、相続診断士、住宅ローンアドバイザー、DCプランナー、公認会計士、社会保険労務士、行政書士、投資アナリスト、キャリアコンサルタントなど150名以上の有資格者を執筆者・監修者として迎え、むずかしく感じられる年金や税金、相続、保険、ローンなどの話をわかりやすく発信している点です。
このように編集経験豊富なメンバーと金融や経済に精通した執筆者・監修者による執筆体制を築くことで、内容のわかりやすさはもちろんのこと、読み応えのあるコンテンツと確かな情報発信を実現しています。
私たちは、快適でより良い生活のアイデアを提供するお金のコンシェルジュを目指します。
アンケートから見える老後不安
公益財団法人生命保険文化センターが実施した令和元年(2019年)度の「生活保障に関する調査」によると、自分の老後生活に「不安感あり」と回答した人の割合は84.4%に達しました。「不安感なし」と回答した13.2%の6倍以上です。
不安の具体的な内容をみると、多い順で以下の通りになっています。
公的年金だけでは不十分:82.8%
日常生活に支障が出る:57.4%
退職金や企業年金だけでは不十分:38.8%
自助努力による準備が不足する:38.5%
圧倒的に多いのが「公的年金だけでは不十分」で8割以上です。老後に不安を感じている人の大半が、公的年金では老後生活を賄い切れないと考えています。
老後不安を解消する最初の一歩
確かに、老後に発生する支出全てを公的年金だけで賄うのは難しいでしょう。介護やリフォーム費用など、一時的に発生する支出については、ある程度の資金を確保しなければいけません。
ただし、老後の生活費には個人差があり、人によっては公的年金だけで賄える場合もあります。賄えない場合でも、公的年金がどれくらいもらえるかイメージをつけておくことで、いくら準備すればよいかはっきりします。
ただ漠然と「老後が不安だ」ではなく、「老後の生活にはこれだけのお金が必要」とわかれば、不安は解消されるのではないでしょうか。
平均的な老後生活の収支を把握する
まずは、平均的な老後生活の収支を確認しましょう。総務省統計局が実施した「家計調査年報(家計収支編)2020年(令和2年)平均結果の概要」によると、1ヶ月当りの老後の平均的な支出は、一人暮らしと夫婦二人暮らしの場合で以下の通りです。
一人暮らし:14万4687円(非消費支出1万1541円を含む)
二人暮らし:25万5550円(非消費支出3万1160円を含む)
老後の平均的な収入のうち、年金による収入は以下の通りです。
一人暮らし:12万1942円
二人暮らし:21万9976円
年金受給額から支出額を引けば、一人暮らしの場合は2万2745円の不足、二人暮らしの場合は3万5574円の不足となります。65歳から一切働かず年金のみで90歳まで同じ生活費だと仮定すると、一人暮らしの場合は682万3500円、二人暮らしの場合は1067万2200円の不足です。
あなたがどんな老後の生活を過ごしたいか考える
上記は、老後生活の平均でしかありません。一人暮らしで月15万円未満、二人暮らしで26万円未満の生活費は、持ち家なら多少旅行へ行くなどの余裕もありますが、賃貸ならギリギリの生活です。
「慎ましく暮らすからそれでも構わない」という人もいれば、「もっと贅沢で優雅な老後を過ごしたい」という人もいるでしょう。どんな老後生活を過ごしたいかによって、必要な金額は増減します。
公益財団法人生命保険文化センターが実施した令和元年(2019年)度の「生活保障に関する調査」によると、ゆとりある夫婦二人暮らしの老後生活費は平均36万1000円です。ゆとりある老後生活費から収支を計算すると、年金受給額からは14万1024円不足し、90歳まで同じ生活費と仮定すれば4230万7200円不足します。
どれくらいのお金が必要かを明確にするのが第一
上記の通り、あなたがどのような老後を過ごしたいかによって、必要金額が変わります。ここで紹介したのはあくまで平均値なので、平均値をもとにして不足金額を計算したのは参考にすぎません。
まずは現在の生活費を把握し、老後の生活費をどのように増減させるのか明確にしましょう。必要金額が明確になれば、65歳から逆算してどれくらいの金額を貯めていけばよいのかわかります。貯金だけでは難しい場合は、iDeCoやつみたてNISAなどの資産運用も一つの手段になるでしょう。
老後の生活が不安になるのはわかりますが、漠然とした不安では何も行動できません。まずはどれくらいのお金が必要になるか明確にしていきましょう。
出典
公益財団法人 生命保険文化センター「生活保障に関する調査」令和元年(2019年)度「老後の生活にどれくらい不安を感じている?」
公益財団法人 生命保険文化センター「生活保障に関する調査」令和元年(2019年)度「老後の生活費はいくらくらい必要と考える?」
総務省統計局 家計調査年報(家計収支編)2020年(令和2年)平均結果の概要
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部