更新日: 2022.03.31 その他老後

終の棲家はマイホーム? 老人ホームや賃貸、同居との費用の違いとは?

執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部

終の棲家はマイホーム? 老人ホームや賃貸、同居との費用の違いとは?
生涯を終えるまで生活するための住居を、終の棲家(ついのすみか)といいます。終の棲家にマイホームをイメージする人は多いですが、老人ホームや賃貸、家族との同居など、ほかの選択肢もあるでしょう。
 
ここでは、マイホームとマイホーム以外を終の棲家とする場合にかかる費用を比較します。
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マイホームに一生住むとかかる費用

マイホームに一生住むと仮定すると、生涯でいくらかかるのでしょうか。ここでは、リフォームや住宅修繕費、固定資産税や不動産取得税などを除いた費用を試算します。住宅ローンの金利はフラット35の35年固定金利(最頻金利)1.43%、融資手数料や保証料はないものとし、物件にかかる費用は住宅金融公庫が実施した「2020年度フラット35利用者調査」の所要資金(全国平均)を引用します。
 

マンション

購入費:4545万円
住宅ローン込総支払額:5779万5013円

毎月のローン返済額を計算すると、ボーナス払いなしで13万7607円となります。マンションの場合は、ローン返済額のほかに管理費や修繕積立金の負担が必要です。管理費や修繕積立金は定期的に変動することがあり、築年数11〜20年前後にかけて高くなる傾向があります。そのため、90歳まで生きると仮定した場合、実際の総支払額は6500〜7000万円まで想定しておくべきでしょう。
 

土地付注文住宅

購入費:4397万円
住宅ローン込総支払額:5591万3034円

毎月のローン返済額を計算すると、ボーナス払いなしで13万3126円となります。住宅はマンションと異なり管理費や修繕積立金の負担がない代わりに、住宅の修繕は自分で都度支払わなければいけません。実際には、上記費用より必要金額は高くなります。
 

注文住宅

購入費:3534万円
住宅ローン込総支払額:4493万8972円

毎月のローン返済額を計算すると、ボーナス払いなしで10万6997円となります。住宅の修繕については、土地付注文住宅と同様です。
 

建売住宅

購入費:3495万円
住宅ローン込総支払額:4444万2910円

毎月のローン返済額を計算すると、ボーナス払いなしで10万5817円となります。住宅の修繕については、土地付注文住宅と同様です。
 

中古マンション

購入費:2971万円
住宅ローン込総支払額:3777万9635円

毎月のローン返済額を計算すると、ボーナス払いなしで8万9952円となります。管理費や修繕積立金を考慮すると、90歳までに支払う総額は4500〜5000万円まで想定しておくべきでしょう。
 

中古戸建

購入費:2480万円
住宅ローン込総支払額:3153万5982円

毎月のローン返済額を計算すると、ボーナス払いなしで7万5086円となります。毎月の負担額は最も安く済みますが、修繕費やリフォーム費用が新築住宅と比べて高くなる可能性があるので、ある程度余裕を持って将来の出費に備える必要があるでしょう。
 
なお、上記マイホームにかかる費用には、将来介護が必要になった場合の介護費用は含まれていません。
 

マイホーム以外を選択した場合の費用

では、マイホーム以外を選択した場合の費用はどうでしょうか。マイホームを平均取得年齢前後で取得したと仮定し、以後かかる費用を計算してマイホームの総支払額と比較します。
 
マイホームを取得した種別ごとの世帯主の平均取得年齢は、国土交通省 住宅局が実施した「令和2年度住宅市場動向調査報告書」によると、建売住宅(分譲戸建住宅)が39.6歳で最も若く、中古マンションが47.1歳で最高齢です。ここでは、マイホーム以外の費用について、老後は90歳まで生きると仮定し、マイホームを40歳から取得した場合と比較します。
 

老人ホーム

老人ホームは、要介護者のためだけのものではありません。健康なうちから有料老人ホームへ移り住み、将来の介護サービスも含めて一括でおまかせできます。老人ホームの入居可能年齢は60歳〜65歳前後のため、ここでは入居を65歳と仮定します。
 
LIFULL介護がまとめた「老人ホームの費用相場」によると、入居時費用の相場は590万円、月額費用の相場は23万8000円(入居費用がある場合)です。90歳までにかかる費用は7730万円となり、マイホームより高くなります。
 
実際には、40〜65歳までは賃貸やマイホームに住むため、その分の費用も別途必要です。
 

賃貸

総務省統計局が公表した平成30年住宅・土地統計調査 住宅及び世帯に関する基本集計によると、全国平均は月5万5695円です。40〜90歳の50年分の家賃は3341万7000円となり、中古戸建の次に安い金額です。
 
ただし、結婚している場合や子供を産んだ場合は広い部屋が必要なため、家賃は全国平均よりはるかに高くなります。適切な広さの部屋に何度か引っ越したとしても、実際にかかる費用は6000~7000万円程度になるでしょう。
 
独身の場合は、都市部以外のワンルームなら全国平均程度の家賃で住めるため、3341万7000円を一つの目安と考えてよいでしょう。
 
ただし、介護が発生した場合は介護費用が追加で必要です。
 

家族との同居

ここでは、75歳までは賃貸に住み、75歳以降は子が建てたマイホームに移り住む場合を想定します。全国平均の家賃を元に計算すると、40〜75歳の35年分の家賃は2339万1000円で、家族の分の家賃を考慮すれば4500~5000万円程度になるでしょう。75歳以降は子供が身の回りの世話や介護をしてくれる可能性も高く、介護費用はある程度抑えられます。
 

マイホームを終の棲家とするなら中古がおすすめ

介護を含めたトータルコストを考えるなら、家族との同居が最も安く済むでしょう。ただし、独身の場合はそもそも選択肢として存在しません。どうしてもマイホームで生涯過ごしたいという考えもあります。
 
マイホームを終の棲家にしたいなら、できる限り中古物件を選ぶことをおすすめします。
 
理由としては、購入費用が少ないためローンの金利負担も少なく、実際に支払う固定資産税も新築よりは少なく済むためです。住宅修繕費やリフォームを最小限に抑えれば、マイホームの中では最もローコストで生涯過ごせるでしょう。新築のマイホームは1日でも住めば中古になります。コストを考える場合、新築物件か中古物件か、紹介したことをふまえ終の棲家のご検討ください。
 
出典
国土交通省 住宅局 令和2年度住宅市場動向調査報告書
住宅金融公庫 2020年度フラット35利用者調査
LIFULL介護 老人ホームの費用相場
平成30年住宅・土地統計調査 住宅及び世帯に関する基本集計 結果の概要(総務省統計局)
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部

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