更新日: 2022.03.31 セカンドライフ

教育訓練給付とは? 定年後から始めるキャリア形成・資格取得を支援!

執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部

教育訓練給付とは? 定年後から始めるキャリア形成・資格取得を支援!
2017年4月1日以降、新規雇用を含む65歳以上の労働者は「高年齢被保険者」として雇用保険の対象になりました。その影響もあり、65歳以上でも「教育訓練給付」を受けられる可能性があります。
 
教育訓練給付を利用できれば、資格やスキルアップ講座にかかる費用に関して、数10万円レベルの補助が受けられるかもしれません。当記事では定年後のキャリア形成や資格取得を考える高齢者の方向けに、教育訓練給付やその他の雇用保険制度を解説します。
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執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)

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教育訓練給付制度とは?

教育訓練給付制度とは、厚生労働大臣が指定する教育訓練を受ける際に、受講にかかった費用の一部を支給してくれる制度です。大手専門学校や通信教育でも指定を受けた講座を実施しています。
 
教育訓練給付の受給条件は次のとおりです。

●現在が高年齢被保険者(一般被保険者)、または被保険者でなくなった日から1年以内である(やむ得ない理由があるときは最長20年まで延長)
●支給要件期間が原則として3年以上である(初回給付に限り一般・特定教育訓練は1年、専門実践教育訓練は2年)
●ハローワーク等でキャリアコンサルティングを受けている(特定一般教育訓練と専門実践教育訓練に限る)

支給要件期間とは、雇用保険の被保険者として企業で働いていた期間です。初めて教育訓練給付を受けるときは、1年間働いて雇用保険料を納めていれば条件はクリアできます。
 
65歳以上でも利用できる教育訓練給付制度には、「一般教育訓練」「特定一般教育訓練」「専門実践教育訓練」の3種類が存在します。
 

・一般教育訓練に係る教育訓練給付金

一般教育訓練に係る教育訓練給付金は、対象の教育訓練にかかった費用の20%(上限10万円)までを補助する制度です。主に公的・民間資格や就職促進になるスキル取得を目標とするものが対象になります。
 
例えば6万円の講座を受講したときは、給付金額は6万円×20%=1万2000円です。
 
一般教育訓練の対象となる資格講座には、ファイナンシャル・プランニング技能士や中小企業診断士、日商簿記検定、TOEICなどがあります。一般的にもよく知られた資格も多いため、比較的申請しやすい給付金といえるでしょう。
 

・特定一般教育訓練にかかる教育訓練給付金

特定一般教育訓練にかかる教育訓練給付金は、「再就職やキャリア早期形成につながるキャリアアップ効果が高い教育訓練」にかかった費用の40%(上限20万円)までを補助する制度です。業務独占資格取得や、文部科学大臣認定のプログラム履修などを目標とするものが対象になります。
 
特定一般教育訓練の対象となる資格講座には、電気主任技術者試験や税理士・行政書士・社会保険労務士などの士業資格などがあります。受講金額の負担が大きいものも多いですが、40%を補助してくれるなら受講ハードルも下がるのではないでしょうか。
 

・専門実践教育訓練にかかる教育訓練給付金

専門実践教育訓練にかかる教育訓練支援給付金は、「中長期的なキャリア形成に資する専門的かつ実践的な教育訓練」にかかった費用を補助する制度です。最高で3年分、栄養管理士など一定のものは4年分まで受け取れます。
 
原則の補助額は受講料の50%(年間上限40万円)です。もし教育訓練を修了後1年以内に目標とした資格取得等の条件をクリアし、雇用保険の被保険者として雇用された場合は70%(年間上限56万円)に上がります。
 
最高支給額は56万円×4年の224万円です。
 
専門実践教育訓練の対象になるのは、業務独占資格講座、専門職大学・大学院の課程、第四次産業革命スキル習得講座などです。年単位の学び直しで、新しいセカンドキャリアを送りたい高年齢者はぜひ利用してみてください。
 

教育訓練給付以外の高年齢者が受けられる雇用保険

教育訓練給付以外にも、60歳以上が利用できる雇用保険制度があります。
 
例えば65歳以上で定年退職した後にハローワークで求職の申込みをすれば、基本手当の代わりに「高年齢求職者給付金」が一時金として受け取れます。金額は基本手当日額の30日または50日分です。
 
基本手当日額6500円・50日分だと、32万5000円が支給されます。再就職を目指す高齢者の転職活動費や生活費としてうってつけです。
 
また、求職の申込みを行った60歳以上65歳未満の求職者が安定した職業に就けたときは、「高年齢再就職給付金」が受け取れるかもしれません。
 
他にも、60歳以降も働く人が60歳時点の賃金の75%未満になったときに、減少分を補てんする「高年齢雇用継続基本給付金」もあります。
 
このように、高年齢者のキャリアアップ・キャリアチェンジを支援する雇用保険制度は整っています。定年以降も働く想定の方は、これらを活用したキャリアプランを計画してはいかがでしょうか。
 
出典
教育訓練給付制度|厚生労働省
(PDF)
教育訓練給付の講座指定について|厚生労働省
ハローワークインターネットサービス – 教育訓練給付制度
教育訓練給付制度のご案内
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部

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